えー、先日とある機会があって、立憲主義の問題について議論をしていた際に、「いや、そもそも日本国憲法は無効なんですよ!!」という日本国憲法無効論者の方とお話しする機会があったので少しその日本国憲法無効論について調べてみました。

 

 私としては、もともとおおよそ直観的に日本国憲法無効論は無理筋だと思っていたのですが、どうやら通説においてもネット上の議論においてもほぼ完全に論破されているようです。

 

 ネット上の議論を紹介する前に、私が思うのは、まず、単純に成立の過程に多少おかしな点があるからといって60年以上問題なく使われてきた憲法が無効であるという主張が正当性を持ち得るのか?という問題です。

 

 さらに、この日本国憲法無効論がおかしな議論であるように思えるのは、無効論者に言わせると「日本国憲法に則ったカタチでの憲法改正手続きを採ることは本来無効であるハズの日本国憲法を承認することになるのでやってはいけない!!」そうなのですね。いや、しかし、そもそも現在の日本の国会は日本憲法のルールにのっとって衆議院や参議院の議会を開催しているワケで、今の日本国が日本国憲法を承認していないなんて議論は完全に倒錯しているとしか思えないのですが・・・( ̄▽ ̄;)

 

 要は、憲法改正の手続きにおいてのみ、「日本国憲法のルールに従うことは日本国憲法を承認することになるのでやってはいけないこと」で、通常の国会運営を日本国憲法のルールに則って開催することは「日本国憲法を承認することとは無関係です」って、どんなロジックなんだ?っていう。つか、そもそも大日本国憲法が停止されている現在の状況で日本国憲法を承認してなかったら議会そのものを開けんだろ。

 

 まあ、そんなふうな意見をアレコレ書いてみたところで、通説及び、ネット上の議論を紹介すると、とりあえず、日本国憲法無効論の根拠は、ハーグ陸戦条約43条のこちらの文章が根拠になっているそうです。

 

 国の権力が事実上占領者の手に移った上は、占領者は絶対的な支障がない限り、占領地の現行法律を尊重して、なるべく公共の秩序及び生活を回復確保する為、施せる一切の手段を尽くさなければならない。

『米国のハーグ陸戦条約違反を教えてくれたバイデン発言』より)

 

 よって、占領期間中に制定された日本国憲法は無効であるというのが無効論の根拠であるそうです。

 

 しかし、これに関する反証は簡単で・・・

 

(5)この「ハーグ陸戦条約」は、その名称からもわかるように、戦時国際法です。
ですから、この条約の適用があるのは戦争(交戦)中の場合ですし、同条約第43条の適用があるのは戦争(交戦)中の占領者です。

それゆえ、交戦後(休戦中)の占領には適用がありません。

日本国憲法が”制定”されたのは、日本が不条件降伏した後ですから、そもそも「陸戰ノ法規慣例ニ關スル條約」=ハーグ陸戦条約の適用はないのです。

ですから、そもそも適用されない条約を考慮して日本国憲法”制定”過程を論述する必要はないのです。

『日本国憲法=押しつけ憲法」論は理論に値するのか?(8):ハーグ陸戦条約の適用はありません』より)

 

 さらに、条文には、「国の権力が事実上占領者の手に移った上は」とありますが、Wikipediaを見れば、GHQによる日本の占領は、主権の喪失とは見なされておらず、議会も開催されており、主権の部分的な制限であるとみなされているようです。

 

第二次世界大戦末期に連合国軍は戦後の日本占領方式について、日本政府を通じた間接統治案や、マッカーサーグループによる直接統治案、1国あたりが担当するコストを減らすためにドイツと同様に主要連合国による日本本土の分割直接統治などが検討されていたが、間接統治の方針に決定した。占領下において日本は主権の一部を制限された状態ではあったものの政府が存続し続けた。

(Wikipedia『連合国軍占領下の日本』より)

 

 なので、無効論者が主張するような「主権が喪失した状況で作られた憲法は無効だ!!」という意見に関しては、そもそも主権は喪失などしてないというのが概ね妥当な反論となるでしょう。

 

(7)また、千歩譲って、
かりにハーグ陸戦条約が同時に適用されるとしても、日本国憲法の”制定”は、ポツダム宣言に反しないですし、大日本帝国憲法の改正手続きに従って帝国議会で行われましたので、同条約第43条に違反しないという法的論理も、考えられるかもしれません。

(前ブログ記事より)

 

 で、別に私が別に頑張って無効論者を論破するために、これを書いているワケでもなくて(多分)、何が言いたいのかというと、以上の関連記事が全てネットで検索すれば5分で調べられる内容であるということです。Wikipedia記事は「占領期 日本」などでトップに表示されますし、無効論に反論するブログ記事も「ハーグ陸戦条約 憲法」などで検索すれば1ページ目に出てきます。

 

 何が言いたいのかというと、結局日本国憲法無効論を主張する人のほとんどは、おそらく無効論に反論するような議論についてほんの5分の時間すらかけて調べたこともないのではないか?ということです。

 

 結局、適菜収が言うところの濃縮されたバカってヤツですね。無限に情報が溢れる情報社会の中で、自分の脳みその殻にこもって都合の悪い情報に無意識にフィルターをかけて自分の見たい情報をだけを見て、聴きたい情報だけを聴いて、どこまでも世界を狭めていく。

 

 これが、「情報社会における新しい情報弱者」もしくは、「濃縮されたバカ」ってヤツだそうです。

 

 

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