前回記事『日本は立憲君主制ではなかった?ΣΣ(゚д゚lll)』が結構反響があって、コメント欄で面白い議論になっているので、いくつかのコメントを紹介して解説します。

 解説の前に、いくつか私の認識と客観的な事実確認をしておくと、まず、あべちょん氏のよる「現行憲法がGHQによる占領憲法」「押しつけ憲法」であるということは事実でしょう。そして、ここは議論が分かれる部分ではありますが、(私はそのような議論の詳細については知りませんが)現行憲法がしっかりとしてた法的プロセスを経て成立し存続したものであるのか?という点にも大いに疑問がある、ということもおそらく事実なんでしょう。

 そのような確認をした後で、今回問題にしたいのは、「ではその押しつけられた憲法は、今すぐ停止しなければ支障をきたすほどに酷いものであったのか?」「押しつけられた憲法であるがゆえに国民に全く受け入れられず、現在に至るまでに何らの正統性を獲得し得なかったのか?」といった点です。

1. 無題
正論ですね
占領者が作った憲法が意味をなさないなら、アメリカもオーストラリアも立憲国家じゃないって乱暴な理屈も通るでしょうからね。そもそも「アメリカが作った憲法だから無意味!」と言ってる連中が、アメリカの為に命を落とせ、と言ってるに等しい安保法案に賛成なのが草生えます。矛盾した二つのスローガンを受け入れるのが全体主義の特徴らしいので、日本はかなり危ない瀬戸際に来てるのかも・・・
ひょっとこ公太郎

5. 無題
おっしゃることは、たぶん、たいていの日本人に違和感なく受け入れられる見解だと思いますね。法に正当性を与えるものの一つが、法の支配を受ける者の同意なんじゃないでしょうかね。いま時の日本人に「主権在民や民主主義はけしからん、間違っているから、改めるべきだ」と言って果たしてどれほどの賛同者を集められるものでしょうかね。曲がりなりにも、自分は主権者として尊重される存在であることを拒否したがる人がどれだけいるのか。ところで、自分は主権者ではないとすると、生殺与奪の権を誰か別の人に委ねて、一切の苦情は言わない、という覚悟があってのことなんでしょうかね。どれほどむごたらしく惨めに扱われようが一切の不平は口にしないというような。
ソウルメイト 2015-08-07 00:15:06


 私もおおよそこのような認識です。果たして、作成時点で海外から押しつけられたという理由のみで60年以上一度も変更せずに使い続けてきた憲法が一切の正統性を持たないと決められるほどの根拠となり得るのか?と疑問に思います。

 ここで、またいくつかの問題を整理しておくと、日本国憲法はGHQの押しつけ憲法であり、その内容が完璧でないのは当然で、また同時に、60年以上一回も変更しなかった憲法が時代にそぐわなくなってきた点が存在し、この二つの理由から憲法を改正すべきという議論自体は正しいと思います。

 また、明治憲法にしても、別に日本人が完全に自主的に作成したというよりも、不平等条約を改正し欧米と対等な立場の近代国家として認められるために作ったものであり、その内容も当然ながら100%純粋に日本の国体を表現したものというより、むしろ相当に欧米の価値観に対して妥協的につくられたものであるといえるでしょう。もちろん、このような論理が極論であることは確かですが、何にしても仮にソウルメイトさんの「法に正当性(正統性?)を与えるものの一つが、法の支配を受ける者の同意」であるとするならば、非常に重要な要素であることは認めつつも、「自分たちで作った憲法である」ということは、法の正統性を担保するための一つの要員でしかないのではないかと思うのです(もちろん、押しつけられた憲法の内容があまりにもメチャクチャで到底国家の根本規範として認めることが許されないような代物であるなら話は別ですが)。

3. legitimacy
実質的な承認と正当性(正統性)を与えてきたと解釈できる論拠を提示する必要があると思います。

アベウヨに怒り心頭なのはわかりますが、これに関しては冷静で慎重な議論が必要な論題です。

あと「アベウヨ=帝国憲法好き」というのは誤りです。寧ろ帝国憲法の精神を破壊するのがアベウヨです。
ヘドロチック名無しさん 2015-08-06 20:05:48


 当然、「実質的な承認と正当性(正統性)を与えてきたと解釈できる」か否か?という問題について「冷静で慎重な議論が必要」であることは認めます。だからこそ、押しつけ憲法であるがゆえにその正統性を一切認めないというような極端な意見に対して疑問を呈しています。

 現行憲法嫌いが、帝国憲法を肯定しているか?という問題と関連して、一応、私が考える今回の現行憲法の正統性の問題に対するスタンスは次のものがあり得ると思っています(私が思いつかないだけで、他の立場もあり得るかも知れません)。

1 現行憲法に正統性は存在しないので、現行憲法は停止して明治憲法に戻す
2 現行憲法に正統性は存在しないので、新憲法を制定する
3 現行憲法に正統性は存在しないので、何らかの方法で(後述するような手段を用いて)現行憲法に正統性を付与する
4 現行憲法には一定の正統性が存在する


 言うまでもなく私は4のスタンスとなります。

9. かったん質問です
もし自民党が自民憲法案に不利な報道をさせないように報道規制をしたり、批判的な憲法学者を弾圧したりして形式だけの国民投票で自民党憲法案が成立し、何十年も運用されてしまったら憲法として正当性を持ってしまうんでしょうか?
その憲法に憲法として批判的な時の政権が大胆な憲法解釈をしたら立憲主義に違反していると批判されるんでしょうか?

自民党をGHQに変えてもok

勘違いしてるようだけど自分も立憲主義が大事だから、 憲法の成立過程にもこだわる派です
時の政治権力や外国の介入を排除して自由な言論空間で国民が議論し憲法が成立するなら
憲法が国民のものであり立憲主義が意味を持つ事になりませんか?逆に今の憲法に立憲主義を持ち出すのは滑稽じゃないでしょうか

ちなみに動画の中で橋本大三郎が条文を全く変えずに改憲(通過儀礼としての国民投票)で憲法をまず国民のものにする提案をしてます
宮崎 哲弥&橋爪 大三郎 - 憲法って何?
https://www.youtube.com/watch?v=NnbWZQX9-A4
あべちょん 2015-08-07 11:55:49


 最初の質問に関しては、やはりそのような事態は例外状況であり、現行憲法の議論としては相応しくないように思います。例えば、現行憲法に改正条項が無かったり、未だアメリカが日本国内の言論空間に支配的な影響力を行使しており、「憲法を変えろ!!」「憲法を停止しろ!!」というような意見を完全に圧殺していたというなら、先の過程も成り立ちますが、戦後の情報空間を考えると、やはり、日本人はある程度自由な議論や言論空間の中で現行憲法を受け入れてきたと解釈すべきであると思います。

>ちなみに動画の中で橋本大三郎が条文を全く変えずに改憲(通過儀礼としての国民投票)で憲法をまず国民のものにする提案をしてます

↑こちらは一つの選択としてあり得るとは思いますが、やはり疑問に思うのは、たとえ通過儀礼として「条文を全く変えずに改憲」したとしても、なお、その憲法がアメリカからの押しつけ憲法であるという事実は変わらないという点です。アメリカからの押しつけであるから無効という論を唱えるなら、なぜ、橋本氏の提案が受け入れられるのかがイマイチ理解できません。

 また、改憲により現行憲法に正統性が付与される場合、「条文を変えない通過儀礼としての国民投票による改憲」と「現行憲法の正統性を認めていないが、状況対応として已む無く行う改憲」という全く違った性質をもつ二つの改憲の間で混同や混乱が発生するのではないでしょうか?そのような混乱を引き起こしたり、様々な煩雑な過程を経るくらいなら、とりあえず、60年以上改憲せずにその憲法に則って国家運営を行ってきたという実績が、実質的な国民による現行憲法への暗黙の承認であると解釈する方が私にはしっくり来るように思います。



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