過去数十年間、広島県が管理する区間の三篠川で改修が遅々として進まない実状に地元住民の不満は高まっていました。そこに発生したのが7月の豪雨災害です。三篠川のうち国が直轄で管理する安佐北区の狩留家と三田の境から下流の区間では、発災当日7月6日22時から24時間体制で堤防侵食の緊急復旧工事が実施。7月17日0時までにすべての箇所で応急対策が完成しました。それに比べて県管理区間では、復旧の基本である被害状況の把握すら十分に行っていないことが、私が現地視察をする度に明らかになりました。被災地の自治会長さんたちからは「もう広島県は本当にあてにならん。白木町の三篠川はぜんぶ国の直轄河川に変えてほしい」と訴えられるほどでした。


被災地の声を受けた私は発災直後から、緊急災害対策派遣隊の投入や、県へ復旧支援を行なうよう、国土交通省に対して繰り返し働きかけました。また8月10日には、国土交通省水管理・国土保全局長に会い、県管理区間を含めた三篠川全体の治水に国の関与を格段に強めることを要望しました。


その結果、安佐北区の三田6ヶ所、高南2ヶ所、井原4ヶ所、安芸高田市向原町の長田4ヶ所、坂1ヶ所の計17ヶ所で県や広島市による応急復旧工事が行われ、7月〜9月にすべて完了しました。また、三篠川支川の関川や河津川でも県が応急復旧を実施しました。


そして今日、県管理の三篠川のうち、三田・柳瀬吊橋付近から井原・宮古頭首工付近までの18.7キロメートルに約95億円を投じて、築堤、河道拡幅、河床掘削を実施することが公表されたのです。実質県負担分は、災害費の2.2%、改良費の27.3%に留まる見込みで、残りは国の負担で賄います。


改良復旧を行う区間は、①三田(JR第一三篠川橋梁周辺)、②三田(竜王橋上流~栗原頭首工)、③三田~秋山(八幡橋~三篠橋)、④小越~井原(堀越頭首工~松田頭首工)、⑤井原(福田頭首工~宮古頭首工上流)。残りの区間では原形復旧を行います。事業期間は2018年度から2022年度までの4年数ヶ月間ですが、事業費の5割弱は今年度中に集中投下。迅速な復旧を実現します。


国による事業採択への強力な後押しと予算獲得への厚い支援がなければ、おそらく県による災害復旧はまた数十年かかっていたかもしれません。今回の災害で国の災害復旧助成事業が採択された河川は、広島県内で三篠川だけ。7月豪雨災害の一日も早い復旧・復興に私はこれからも全力を尽くします。