本日夕刻、安倍晋三内閣総理大臣と面会。発災直後の9日(月)につづき、豪雨災害被災地の実状と課題についてご報告しました。また、菅義偉内閣官房長官には17日(火)に報告しました。総理、官房長官ともに「被災者の皆さまの声をよく聞いて報告してほしい。政府としてやれることはすべてやる」と、力強くおっしゃっていただきました。


私が国会に来てからだけでも、広島県内で土砂災害によりお亡くなりになった方は169名に達します。「平成11年6.29.」豪雨が24名、「平成26年8.20.豪雨」が77名、そして今回は既に68名。 これだけ犠牲者が繰り返しうまれる背景は、「天災だから仕方がない」とか、「地球温暖化による異常気象だから仕方ないんだ」では済まされないのではないかと、私は考えるのです。


甚大な土砂災害が頻発する原因に、広島県による土砂災害危険箇所の整備が遅々として進まないことが挙げられます。県内で土砂災害の恐れがある箇所数は全国最多の49,500ヶ所に上ります。そのうち砂防ダム整備済みは3,514ヶ所に留まります。それにもかかわらず、平成29年度の整備実績はわずか8ヶ所。つまり、人家が5戸以上ある未整備箇所7,858の事業を完了するには、なんと982年3ヶ月かかる計算になります。【写真①】広島県の砂防行政が既に破綻していることはこの事実から明らかです。このままでは、次の豪雨でも必ず犠牲者が出るに違いありません。もはや地方自治体レベルでは対処は無理、なんです。


そこで私から安倍総理大臣に、①土壌が崩れやすい真砂土、②斜面にへばりつくように開発された住宅地、といった一定の要件を満たす危険箇所の整備は、今後すべて国が直轄で迅速に行う新たな仕組みを作っていただくことを要望いたしました。

 

それに対して安倍総理大臣からは、土砂災害防止法に基づく基礎調査の進捗が、広島県が全国で最も遅れている事実への言及がありました。広島県で多くの犠牲を生んだ平成11年豪雨をきっかけに土砂災害防止法ができ、再び多くの犠牲を生んだ平成26年豪雨を踏まえて基礎調査を加速する法改正を行いました。それにもかかわらず、他県がとっくに完了した基礎調査を、広島県は未だ59パーセントしか実施していないのです。【写真②】


このことは、今回の豪雨で死亡した方々の被災場所に大きな影響を及ぼしました。【写真③】他県では基礎調査を行なっていなかった地区で亡くなった方は一人もいなかったのに、広島県ではなんと3割(20人)が基礎調査未実施の地区で死亡していたのです。もし基礎調査が完了し、土砂災害警戒区域等に指定され、砂防ダムが建設されていれば、命を落とさなくて済んだ方がいたかもしれません。本当に残念無念の極みです。


21日(土)の視察で安倍総理大臣は、広島県固有の問題を踏まえ、土砂災害で次なる犠牲が出ない方策をお考えになるものと思います。


【写真①】


【写真②】


【写真③】