昨日、仕事納めの日に、原爆投下直後に降った「黒い雨」の指定地域に関する有識者の検討会初会合が厚生労働省で開かれました。

 私は「黒い雨」の問題については、今年11月12日の衆議院厚生労働委員会において、細川律夫厚生労働大臣に質問をぶつけ、「できるだけ早期に検討会を発足させる」との答弁を引き出しておりました。ただ昨日の検討会発足に報道に接して、私は三点の疑問を抱いています。

 まず一つは、そもそもこの有識者検討会は「秋までには開きます」と長妻昭・前大臣が国会答弁や8月6日広島市での会見などで繰り返し言っていたのにもかかわらず、約束の時期を大幅に過ぎた今頃になってようやく発足したという点です。細川大臣が私に「早期に」と約束してからでも一か月以上が経っています。いかにも、今年中に作りましたというアリバイ工作にうってつけの仕事納めの日にすること自体が、役所がこの問題の解決に真剣でないことを立証しています。

 二つ目は、委員の人選についてです。厚生労働委員会での質問で私が危惧した通り、「黒い雨」指定地域を拡大したくない役所の意向に沿うような人たちしか委員に選任されていない疑いがあります。現地を何度も調査して、広島原爆由来の放射性物質セシウム137を安佐南区の民家の床下から検出することに今年初めて成功した星正治・広島大学原爆放射線医科学研究所教授がなぜ検討会に入っていないのでしょうか。現地調査を踏まえて現地の実状に最も精通している星教授が委員から外されたことで、この検討会の先行きはだいたい想像がつくというものです。星教授を選任しなかった合理的な理由はあるのか、今後確かめていきます。

 三点目は、この検討会がいったいいつ結論を出すつもりなのか、まったく不明だということです。ふつう政府がこの種の会議体を作る際には、初回に今後の会議の見通しを示すものです。ところが昨日の会議では、取りまとめ時期の目途などにつき一切説明はなかったと、現場で傍聴した人たちから聞きました。高齢化が進む関係者に対してきちんとした検討結果を一日でも早く報告する責務があることを検討会委員や厚生労働省は感じているのだろうかと、大いに疑問を抱きました。“学者による学者のための勉強会”なんてまったく意味がありません。これでは単に「政府はなんにもしなかったわけではありませんよ」、と後で言い訳をするために設けられた検討会ではないでしょうか。

 これからも私は引き続き「黒い雨」指定地域拡大の実現に取り組んでいきます。