23日(火)に勃発した北朝鮮軍による韓国・延坪島への民家を含む無差別砲撃は言語道断の極み、まさに蛮行です。この事態に対して、現政権の対応はいつものごとく後手後手に回り、統一性のないものでした。内閣総理大臣への第一報の報告がテレビのニュースを見た秘書官によるものだったとの疑いや閣僚への報告がバラバラの時刻であったこと、さらには国民に向かって菅総理大臣が初めて語った際に北朝鮮を非難する言葉が一言もなかったこと、などなど。国家としての危機管理ができなかったことが明らかになりましたが、その危機管理を統括しているのが仙石官房長官。自民党など野党各党は先に衆議院において仙石官房長官への不信任決議案に賛成しました。理由は、尖閣諸島中国船衝突事件への対応の誤りなどです。つまり不信任案を出された理由が、危機管理への対応だったわけです。だからこそ、別の重大な危機が発生する恐れがあるいま、官房長官には一時間でも早く退いていただきたい、私はこう考えます。けっして政局を混乱させようという発想ではなく、これ以上国益を毀損しないためにこそ、仙石官房長官は即刻辞めるべきです。

 韓国は国防大臣を更迭しました。北朝鮮との最前線に位置する国が直接の担当大臣を代えたのです。信頼に値しない大臣では有事に対応できないというごく当然の判断の結果です。一方日本の政界では、与党ばかりか野党の一部にすら、危機管理を担当する仙石官房長官の問責提出はいまは控えるべきとの意見があります。私はこの主張はまったく論理が破綻していると考えます。有事に対峙する韓国の毅然とした姿勢とわが国政権とのあまりの落差に目を覆いたくなります。尖閣諸島事件の時もそうでしたが、問題の本質から逃げ回るばかりの政治家は、与野党問わずこの国には必要ありません。