柳田稔法務大臣の辞任は遅きに失しています。今週火曜日午前の衆議院法務委員会で柳田大臣の広島市会合における暴言を私が取り上げてから既に四日が過ぎました。自民党は22日(月)に衆院に法相不信任決議案を、参院には法相問責決議案を提出することを決め、他の野党も足並みを揃えて賛成する構えでいます。野党多数の参院では問責決議が可決される可能性が極めて高くなっているばかりか、与党議員からも「法相辞任すべき」との声が公然と上がり始めています。にもかかわらず、菅政権は法相の進退を決められません。いたずらに時間ばかりが経ち、内閣支持率はじりじりと下がっていく。大詰めを迎えた補正予算案の審議にも悪い影響を及ぼすのは必至。いったい、民主党政権は何を守ろうとしているのか、さっぱり理解できません。こうなると菅総理大臣には柳田大臣を任命した責任に加えて、彼を擁護しつづけている責任も問われることになります。

 もしこれが自民党政権でしたら、私が法務委員会で追及した火曜日の昼には官房長官が事情聴取のために当該閣僚を官邸に呼び、さまざまな手段で情報の収集・分析を行い、もう庇い切れないと判断すれば、その日のうちに大臣辞任、そしてその日か次の日には新大臣を決め、午後の参院予算委員会を迎える。おそらくはそのような段取りだったでしょう。

 自らが任命した閣僚一人の辞任すら決断できない総理大臣が、安全保障や危機管理など国家の一大事に対応できるはずがありません。今回の柳田大臣辞任騒動で明らかになったことは、結局この政権では政治が何も決められないということなのです。そのうち何とかなるだろうと無為無策を重ね、状況が余計に悪化していく。悪くなった状況を前にして、一層手を出すことができなくなってしまう。昨年の政権交代以降、外交・内政の課題処理について、随所で見てきた「決められない連鎖」が今回もまた起きているのです。

 このような日本政府の足元を見透かし、新指導者への移行を急ぐ北朝鮮や、尖閣諸島問題で緊張が続く中国が新たな動きに打って出てきたら、いまの政権は対処できるのでしょうか。一刻も早く退場してもらいたいのは柳田法務大臣だけでなく、菅・仙石内閣そのものです。

 衆院に出される柳田稔法務大臣の不信任決議案は、私がその趣旨説明をすることになりました。自民党を代表するだけでなく、国を憂いている多くの国民の悲痛な叫びを代弁して、私は24日に予定されている本会議に臨む決意です。皆様のご意見・ご助言をどしどしお寄せください。