5月22日、厚生労働省より、特定受託事業者の就業環境の整備に関する報告書が示されました。

 

これは、フリーランス法第3章「特定受託業務従事者の就業環境の整備」において講じることとされている事項について、同法の委任に基づき、政省令および告示において具体的な内容を定めることとされている事項について検討してきた結果を取りまとめたものです。

 

主な内容は次のとおりです。

 

【募集情報の的確な表示(法12条関係)

的確表示義務の対象となる募集情報の提供方法

 ① 書面の交付

 ② ファクシミリの送信

 ③ 電子メールの送信

 ④ パソコン等をインターネットに接続してする方法

 

的確表示義務の対象となる募集情報の事項

 ① 業務の内容

 ② 業務に従事する場所、期間および時間に関する事項

 ③ 報酬に関する事項

 ④ 契約の解除(契約期間の満了後に更新しない場合を含む)に関する事項

 ⑤ 特定受託事業者の募集を行う者に関する事項

 

【妊娠、出産もしくは育児または介護に対する配慮(法13条関係)

継続的業務委託の期間

 6カ月

 

継続的業務委託の期間の考え方

 ・業務委託契約を締結した日を始期、業務委託契約が終了する日を終期とする

 ・業務委託に係る給付に関する基本的な事項についての契約(以下、「基本契約」という)を締結し、基本契約に基づいて業務委託を行う場合においては、基本契約を締結した日を始期、基本契約が終了する日を終期とする

 ・契約の更新により継続して行うこととなる業務委託の期間については、最初の

業務委託または基本契約の始期から最後の業務委託または基本契約の終期までを算定する。①契約の当事者が同一であり、その給付または役務の提供の内容が少なくとも一定程度の同一性を有し、②前の業務委託に係る契約または基本契約が終了した日の翌日から、次の業務委託に係る契約または基本契約を締結した日の前日までの期間の日数が1カ月未満、の2つの要件を満たす場合、「契約の更新により継続して行うこととなる」と判断される

 ・期間の定めがない業務委託または基本契約は、継続的業務委託に含まれる

 

【ハラスメント対策に係る体制整備(法14条関係)

法14条1項2号の「特定受託業務従事者の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるもの」

 ① 妊娠したこと

 ② 出産したこと

 ③ 妊娠または出産に起因する症状により業務委託に係る業務を行えないこともしくは行えなかったことまたは当該業務の能率が低下したこと

 ④ 妊娠または出産に関して法13条1項もしくは2項の規定による配慮の申出をし、またはこれらの規定による配慮を受けたこと

 

【中途解除等の事前予告・理由開示(法16条関係)】

事前予告の方法

 ① 書面の交付

 ② ファクシミリを利用してする送信

 ③ 電子メール等の送信(記録の出力により書面を作成することができるものに限る)

 

事前予告の例外事由

 ① 災害その他やむを得ない事由により予告することが困難な場合

 ② 再委託した場合であって、再委託業務の大部分が不要となった場合その他の直ちに当該再委託業務に係る契約の解除(契約の不更新の場合を含む)をすることが必要であると認められる場合

 ③ 基本契約に基づいて業務委託を行う場合または契約の更新により継続して業務委託を行うこととなる場合であって、契約期間が短期間(30日間以下)である一の契約(個別契約)を解除しようとする場合

 ④ 特定受託事業者の責めに帰すべき事由により直ちに契約を解除することが必要であると認められる場合

 ⑤ 基本契約を締結している場合であって、特定受託事業者の事情により、相当な期間、個別契約が締結されていない場合

 

理由開示の方法

 ① 書面の交付

 ② ファクシミリを利用してする送信

 ③ 電子メール等の送信(記録の出力により書面を作成することができるものに限る)

 

理由開示の例外事由

 ① 第三者の利益を害するおそれがある場合

 ② 他の法令に違反することとなる場合

 

なお、法15条の「特定業務委託事業者が適切に対処するために必要な指針」については、別紙にて示されています。

 

今後は、本報告書や公正取引委員会と厚生労働省が連名で実施した「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(案)」等に関するパブリックコメント募集(5月11日受付終了)の結果等を踏まえ、政省令等の公布の準備が進められます。