5月9日、新しい資本主義実現会議が開催され、新しい資本主義の実行計画の改訂に向けて三位一体の労働市場改革の実行等に関する議論が行われました。

 

論点案として示されている主な内容は、次のとおりです。

 

三位一体の労働市場改革の実行、企業内・同一産業内・異なる産業間の労働移動円滑化

 ・我が国の若い世代の賃金が低く、勤続15~19年目以降から急速に上昇する傾向が、未婚率の上昇や平均出生子数の低さに悪影響を与えているのではないか。

 ・我が国においては、自分の才能を生かすため積極的に転職する方がよいと考える方が急増し、終身雇用や転職に対する考え方が変化していることに対する対応が必要ではないか。

 ・賃金上昇率を引き上げるためにも、企業内・企業間・産業間の労働移動の円滑化が必要ではないか。

 ・現下の人手不足や産業構造の変化に際し、個々の職務に応じて必要となるスキルを設定し、スキルギャップの克服に向けて、従業員が上司と相談をしつつ、自ら職務やリ・スキリングの内容を選択していくジョブ型人事に移行する必要があるのではないか。

 

ジョブ型人事指針

 ・導入企業の多くの事例を掲載した「ジョブ型人事指針」を策定するとともに、その内容については可能な限り多様な情報提供を進めるべきではないか。

 ・掲載する企業事例のそれぞれについて、①制度の導入目的、経営戦略上の位置づけ、?導入範囲、等級制度、報酬制度、評価制度などの制度の骨格、③採用、キャリア自律支援、人事異動、等級の変更などの雇用管理制度、④人事部と各部署の権限分掌の内容、⑤労使コミュニケーションなどの導入プロセス、などについてできるだけ具体的に各企業に情報提供を求める

 ・ジョブ型人事の導入にあわせて、役職定年・定年制の見直しなどを進めた企業から、能力のある若手が不満に感じることがないよう、いかにシニア層のスキルに応じた処遇を進めるかについても、情報提供を求める

 ・キャリアコンサルティングを我が国全体に広げていくべきではないか。

 ・同一労働・同一賃金制の徹底した施行においても、労働基準監督署が施行の徹底を図っていくべきではないか。

 ・人手不足の中小・小規模企業にAIツールの導入を加速すべきではないか。

 ・兼業・副業のさらなる導入加速を図るべきではないか。

 ・兼業・副業の導入にあたって、①契約条件を詳細に取り決める、?業務内容・期待成果を明確にしている、といった事前のすり合わせを重視すべきではないか。