3月22日、国土交通省新たなトラックの標準的運賃を告示しました。本年6月1日より施行されます。

 

トラック運送業の標準的運賃は、トラック事業者による荷主との運賃交渉の参考指標等として令和2年4月に告示され、「物流革新に向けた政策パッケージ」(令和5年6月)において、「2024年問題」も踏まえ、ドライバーの賃上げの原資となる適正運賃を収受できる環境を整備するため見直しを図ることとされたのを受け、「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」において見直しが進められていました。

 

また、上記検討会で見直しを進めていた新たな標準運送約款も同日告示され、6月1日より施行されます。

 

資料では、今般の運賃・約款の見直しのポイントを次のように示しています。

 

1 荷主等への適正な転嫁

運賃水準の引上げ幅を提示

 ・運賃表を改定し、平均約8%の運賃引上げ

 ・運賃表の算定根拠となる原価のうちの燃料費を120円に変更し、燃料サーチャージも120円を基準価格に設定

 

荷待ち・荷役等の対価について標準的な水準を提示

 ・現行の待機時間料に加え、公共工事設計労務単価表を参考に、荷役作業ごとの「積込料・取卸料」を加算

 ・荷待ち・荷役の時間が合計2時間を超えた場合は、割増率5割を加算

 ・標準運送約款において、運送と運送以外の業務を別の章に分離し、荷主から対価を収受する旨を明記

 ・「有料道路利用料」を個別に明記するとともに、「運送申込書/引受書」の雛形にも明記

 

2 多重下請構造の是正等

「下請け手数料」(利用運送手数料)の設定等

 ・「下請け手数料」(運賃の10%を別に収受)を設定

 ・元請運送事業者は、実運送事業者の商号・名称等を荷主に通知することを明記

 

契約条件の明確化

 ・荷主、運送事業者は、それぞれ運賃・料金等を記載した電子書面(運送申込書/引受書)を交付することを明記

 

3 多様な運賃・料金設定等

「個建運賃」の設定等

 ・共同輸配送等を念頭に、「個建運賃」(注)を設定

 (注)複数の荷主からの貨物を混載(共同輸配送)する場合などを念頭に、貨物の最大積載可能個数または重量と事業者が定める基準積載率とを用い、「(貸切運賃)÷{(最大積載可能個数)×(基準積載率)}」にて算定します。

 ・リードタイムが短い運送の際の「速達割増」(逆にリードタイムを長く設定

した場合の割引)や、有料道路を利用しないことによるドライバーの運転の長時間化を考慮した割増を設定

 

その他

 ・現行の冷蔵・冷凍車に加え、海上コンテナ輸送車、ダンプ車等5車種の特殊車両割増を追加

 ・中止手数料の請求開始可能時期、金額の見直し

 ・運賃・料金等の店頭掲示事項のインターネットによる公表が可能に