1月17日、厚生労働省のデータベースに、「「医師等の宿日直許可基準及び医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方についての運用に当たっての留意事項について」の一部改正について」(令和6年1月15日基監発0115第2号)が掲載されました。

 

本通達は、令和元年7月1日付基監発0701第1号「医師等の宿日直許可基準及び医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方についての運用に当たっての留意事項について」の解釈の明確化を図るために一部改正するもので、これまでの労働基準法の取扱いを変更するものではありません。

 

次のような留意事項が示されています。

 

【医師等の宿日直許可基準通達の運用における留意事項】

同通達の記の1?において、許可対象として近年の医療現場における実態を踏まえて具体的に例示した「特殊の措置を必要としない軽度の、又は短時間の業務」における「看護職員」については、業務を行う主体を当該例示において掲げられている業務を行う職種に限っているものである。

 

【医師の研鑽に係る労働時間通達の運用における留意事項】

医師の研鑽に係る労働時間通達と「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の関係について

 → 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)の考え方は医師についても共通であり、医師の研鑽に係る労働時間通達においても、この考え方を変更するものではない

 

医師の研鑽と宿日直許可基準について

 → 労働時間に該当しないと判断される研鑽については、当該研鑽が宿日直中に常態的に行われているものであったとしても、宿日直許可における不許可事由とはならず、または許可を取り消す事由とはならない

 

医師の研鑽に係る労働時間通達の記の3?の手続き(以下、「手続き」という。)について

 → 上司は、業務との関連性を判断するにあたって、初期研修医、後期研修医、それ以降の医師といった職階の違い等の当該医師の経験、担当する外来業務や入院患者等に係る診療の状況、当該医療機関が当該医師に求める医療提供の水準等を踏まえ、現在の業務上必須かどうかを対象医師ごとに個別に判断する

 → 手続きは、労働に該当しない研鑽を行おうとする医師が、当該研鑽の内容について月間の研鑽計画をあらかじめ作成し、上司の承認を得ておき、日々の管理は通常の残業申請と一体的に、当該計画に基づいた研鑽を行うために在院する旨を申請する形で行うことも考えられる

 

諸経費の支弁と労働時間該当性について

 → 医療機関は、福利厚生の一環として、学会等へ参加する際の旅費等諸経費を支弁することは、その費目にかかわらず可能であり、旅費等諸経費が支弁されていることは労働時間に該当するかどうかの判断に直接関係しない

 

医師以外の職種も参加する研鑽

 → 看護師等の医師以外の職種が参加するものであったとしても、当該研鑽が、労働時間に該当するかどうかの判断に直接関係しない

 

大学の附属病院等に勤務する医師の研鑽について

 → 大学の附属病院等に勤務し、教育・研究を本来業務に含む医師は、同通達で「研鑽の具体的内容」として掲げられている行為等を一般的に本来業務として行っているため、当該医師に関しては、同通達中の「診療等その本来業務」および「診療等の本来業務」の「等」に、本来業務として行う教育・研究が含まれる

 → この場合の労働時間の考え方として、当該医師が本来業務および本来業務に不可欠な準備・後処理として教育・研究を行う場合については、所定労働時間内であるか所定労働時間外であるかにかかわらず、当然に労働時間となる

 → 現に本来業務として行っている教育・研究と直接の関連性がある研鑽を、所定労働時間内において、使用者に指示された勤務場所(院内等)において行う場合については、当該研鑽に係る時間は、当然に労働時間となり、所定労働時間外に上司の明示・黙示の指示により行う場合については、一般的に労働時間に該当する

 → 当該医師は、研鑽と本来業務の明確な区分が困難な場合が多いことが考えられ、研鑽の実施にあたっては、本来業務との関連性について、同通達の記の3?の「医師の研鑽の労働時間該当性を明確化するための手続」として医師本人と上司の間で円滑なコミュニケーションを取り、双方の理解の一致のために十分な確認を行うことに特に留意する必要がある