12月22日、第2回こども政策推進会議・第10回全世代型社会保障構築本部合同会議が開催され、「こども未来戦略」が決定されました。

 

次の4項目で構成され、具体的な施策の内容は「Ⅲ-1.「加速化プラン」において実施する具体的な施策」に示されています。

 

Ⅰ.こども・子育て政策の基本的考え方

Ⅱ.こども・子育て政策の強化:3つの基本理念

Ⅲ.「加速化プラン」~今後3年間の集中的な取組~

Ⅳ.こども・子育て政策が目指す将来像と PDCA の推進

 

ここでは、上記Ⅲ-1.から、主なものをピックアップして紹介します。

 

【ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組み】

個人の主体的なリ・スキリングへの直接支援

 → 在職者への学び直し支援策について、5年以内を目途に、効果を検証しつつ、過半が個人経由での給付が可能となるようにしていく

 → 2024年度中に給付率等を含めた拡充を行うとともに、2025年度中に訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度を創設するため、所要の法案を次期通常国会に提出

 

いわゆる「年収の壁(106万円/130万円)」への対応

 → 短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに引き続き取り組む

 → 「年収の壁・支援強化パッケージ」を着実に実行する。また、「年収の壁」を意識せずに働くことが可能になるよう、制度の見直しに取り組む

 

【すべてのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充】

幼児教育・保育の質の向上

 → 2024年度から、4・5歳児について、30対1から25対1への改善を図り、それに対応する加算措置を設ける

 → 2025年度以降、1歳児について、加速化プラン期間中の早期に6対1から5対1への改善を進める

 → 保育士等の処遇改善については、令和5年人事院勧告を踏まえた対応を実施するとともに、民間給与動向等を踏まえたさらなる処遇改善を進める

 → 事業者が施設ごとの経営情報等を都道府県知事に報告することを求めるとともに、報告された経営情報等の分析結果等の公表を都道府県知事に求めること等を法定化

 

すべての子育て家庭を対象とした保育の拡充

 → 月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付(「こども誰でも通園制度(仮称)」)を創設

 → 2026年度から全国の自治体において実施できるよう、所要の法案を次期通常国会に提出

 

新・放課後子ども総合プランの着実な実施

 → 2024年度から常勤職員配置の改善などを図る

 

ひとり親の就労支援等を通じた自立促進や経済的支援等

 → 高等職業訓練促進給付金制度について、短期間で取得可能な民間資格を含む対象資格に拡大

 → 自立支援教育訓練給付金について、助成割合の引上げ等を行うとともに、ひとり親に対する就労支援事業等について、所得等が増加しても自立のタイミングまで支援を継続できるよう、対象者要件を拡大

 

【共働き・共育ての推進】

男性育休の取得促進に向けた制度面の対応(1):男性育児休業取得率の目標引上げ

 → 2025年 公務員 85%(1週間以上の取得率)、民間 50%

     2030年 公務員 85%(2週間以上の取得率)、民間 85%

 

男性育休の取得促進に向けた制度面の対応(2):次世代育成支援対策推進法の改正、期限延長および育児介護休業法の改正

 → 一般事業主行動計画について、数値目標の設定や、PDCAサイクルの確立を法律上の仕組みとして位置付けるとともに、今後の次世代育成支援において重要なのは「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」であるという観点を明確化

 → 男性の育児休業取得を含めた育児参加や育児休業からの円滑な職場復帰支援、育児に必要な時間帯や勤務地への配慮等に関する行動が盛り込まれるよう促す

 → 育児介護休業法における育児休業取得率の開示制度について、常時雇用労働者数が300人超の事業主に拡充するため、所要の法案を次期通常国会に提出

 

男性育休の取得促進に向けた給付面の対応(1)

 → 給付率を現行の67%(手取りで8割相当)から80%(手取りで10割相当)へと引上げ

 → 子の出生直後の一定期間内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、両親がともに14日以上の育児休業を取得した場合には、その期間の給付率を28日間を限度に引上げ

 → 2025年度から実施するため、所要の法案を次期通常国会に提出

 

男性育休の取得促進に向けた給付面の対応(2)

 → 業務を代替する周囲の社員への応援手当の支給に関する助成の拡充や代替期間の長さに応じた支給額の増額、「くるみん認定」の取得など、実施インセンティブの強化

 

男性育休の取得促進に向けた給付面の対応(3)

 → 育児休業給付を支える財政基盤を強化するため、

    ・ 2024年度から、国庫負担割合を現行の80分の1から本則の8分の1に引き上げるとともに、

    ・ 当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、本則料率を2025年度から0.5%に引き上げる改正を行うとともに、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整する仕組みを導入する

   こととし、所要の法案を次期通常国会に提出

 

育児期を通じた柔軟な働き方の推進

 → こどもが3歳になるまでの有効な働き方の一つとして、テレワークも事業主の努力義務の対象に追加するため、所要の法案を次期通常国会に提出

 → ①フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整、②テレワーク、③短時間勤務制度、④保育施設の設置運営等、⑤休暇から、事業主が職場の労働者のニーズを把握しつつ複数の制度を選択して措置し、その中から労働者が選択できる制度(「親と子のための選べる働き方制度(仮称)」)を創設。さらに、所定外労働の制限について、対象となるこどもの年齢を小学校就学前まで引き上げるため、所要の法案を次期通常国会に提出

 → 事業主に対して、妊娠・出産等の申出時やこどもが3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向を聴取し、その意向に対する自社の状況に応じた配慮を求めることとするため、所要の法案を次期通常国会に提出

 → 「育児時短就業給付(仮称)」を創設し、こどもが2歳未満の期間に時短勤務を選択した場合に、時短勤務時の賃金の10%を支給することとし、2025年度から実施するため、所要の法案を次期通常国会に提出

 → 上記の短時間勤務についても、周囲の社員への応援手当支給等の体制整備を行う中小企業に対する助成措置の大幅な強化と併せて推進

 → 「子の看護休暇」について、対象となるこどもの年齢を小学校3年生修了時まで引き上げるほか、こどもの行事(入園式等)参加や、感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるように休暇取得事由の範囲を見直すため、所要の法案を次期通常国会に提出

 

多様な働き方と子育ての両立支援

 → 現在、雇用保険が適用されていない週所定労働時間10時間以上20時間未満の労働者についても失業給付や育児休業給付等を受給できるよう、新たに適用対象とし、適用対象者数や事業主の準備期間等を勘案して2028年度に施行するため、所要の法案を次期通常国会に提出

 → 国民年金の第1号被保険者について育児期間に係る保険料免除措置を創設。2026年度に施行するため、所要の法案を次期通常国会に提出