~珍貸物件の奇妙な1日~』
3号室のお話は、ざっくり言うと…
・未来の地球人類が絶命の危機に瀕している
・それを救うべく未来のアンドロイド・安藤さんにより死の直前から現代に呼び寄せられた三人の英雄たち
・さらに誰を呼ぶべきか会議する
ってところから始まります。
人類滅亡
などとハリウッド映画でお馴染みの仰々しいテーマを提示しながら、八畳間で繰り広げられるはテレビの話や女の話…
終盤の青年を交えた死の話はこだま氏によるものですが、元々チーム久保信長が狙っていたのはあくまで馬鹿馬鹿しいものでした。
歴史に詳しい臣さんほどではありませんが、私もわりと歴史好きなので、さまざまな歴史ネタを提供しました。
豊臣秀吉なんかどうだ?
あやつだけはならん!
天下を横取りした相手と一緒だなんて嫌ですよね。
茶々に手を出しおって!!!!
これなんか自分としては会心の面白ネタだったのですが、お客様の反応はいまいち…
終演後、気付きました。
ある程度歴史に詳しい人じゃないと分からないんだ…
①秀吉が織田家の家臣でありながら、信長死後、大恩ある主家から天下を簒奪したこと
②茶々が信長の大事な妹・お市の方の娘、つまり可愛い姪っ子であること
この二点を知らなければ分からないし、しかも市を飛ばして信長→茶々直通ですから、まあ無理はありませんよね、反省。
ところで、この作品が通常の時代劇と大きく異なる特徴として、平安末期、戦国時代、幕末と三つの時代を股にかけている点があります。
お気付きになったでしょうか?
義経と信長が正座をしていないことを!
そう、正座が一般的になったのは江戸時代からなのです。
それまでは、正座は神仏に祈るときや征夷大将軍にひれ伏すときだけだったようです。
現代では正座が当然の茶道ですが、かの千利休ですら胡座をかいていたとか。
利休居士像(長谷川等伯)
また、平安貴族の十二単も正座には向かない作りで、あの下は胡座だったんだそうで、ちょっとビックリですね。
また、衆道(男色)についても注目していただきたい。
女人禁制の戦場にお小姓と呼ばれる美少年を同行させる習慣が武家社会に広まったのは鎌倉時代からで、戦国時代にその全盛を極めたようです。
その代表格とも言えるのが織田信長と森蘭丸の主従。
対して義経は嫌悪感を示します。
ただ、一説には義経も弁慶や佐藤継信と…ま、あくまでも一説ということで。
そして新鮮組については、隊内で衆道が流行して困っている旨を記した手紙が見つかっており、それを踏まえて信長が総司に「お主なら分かるであろう」と言っています。
亀田総司の意向により総司は誰にも抱かれていないことになりましたが。
まあ、女優が演じる総司が衆道では、何だかちょっと、って感は否めないので正解でしょうね。
という訳で、衆道に対する三者三様の態度が生まれたのです。
実によくできてる!
そこまで気付いたお客様は…さすがにいないでしょうね。
といった具合で、三英雄の時代がバラバラであるが故の面白さ、ご理解いただけたでしょうか?
あれっ、馬鹿馬鹿しい歴史ネタの話を書くつもりが、為になる話が長くなってしまった!
という訳で、また続く!