『本屋さんに行くと言ってウルグアイの競馬場に行った』 | 本がともだち

本がともだち

本とのつきあいについての徒然
時々ロードバイクのことも。

本屋さんに行くと言ってウルグアイの競馬場に行った/鍜治 真起

¥1,155 Amazon.co.jp




タイトルに惹かれての入手です。

近所の書店で「取り寄せ不可」と言われたので、Amazonマーケットプレイスで。
一応出版業界の端っこでなんとか食べている身としては、世間的に幅を利かせている大型古書店は利用したくないので、マーケットプレイスはたまに便利です。




内容 「BOOK」データベースより

パズル通信「ニコリ」を創った男が初めて明かす直販雑誌の軌跡と、名馬「ニコリ」を探してどたばたと世界の競馬場をさまよう旅の記録。





筆者が「ニコリ」を起こすきっかけになった話と、「ニコリ」という名の元となった名馬に会いに行く話、パズル雑誌「ニコリ」が大きくなっていく経過などがかなりバラバラな感じ(笑)で描かれています。
なんでこんなにバラバラ? と思ったら、あちこちに寄せた随筆をまとめた本のようです。
文章も、決して上手な訳ではありません。
わたしが一番気になった名馬ニコリに会いに行く話はP44までの第一章『ウルグアイへ』で終了するというスッキリさ(笑)。


しかも、ニコリがどう名馬なのか、そして筆者がなぜそんなにニコリに執着するのかはまったく説明されません。
それでも、実はわたしは全く別の理由でウルグアイという国にも興味があったので、そこにほんの少しだけ描かれるウルグアイの情報がうれしかったり。
筆者は観光とかその国の歴史や人には興味がない様子で(なんだかこれもある意味すごい)、短い日程の中でも競馬場やカジノへ行きたがるという根っからのギャンブラー気質。

肝心のニコリに会っても、「飲みたいよ、おまえと飲み明かしたい」……訳がわかりません(笑)。




パズルの本を出版しよう! ということになったきっかけから始まる二章以降は、ハッキリ言ってどうでもよかったのですが、意外におもしろく読めました。
しかしここで判明する「ニコリ」の由来にビックリしました。
パズル雑誌の名前をどうしようかと思っているときに見た競馬新聞の記事「今週末行われるイギリスダービーの一番の人気馬はニコリ」。
この「ニコリ」という名前が『カチンとはまった』とかで。

ニコリという馬の走りをどこかで見てニコリが好きになって、とか、遥かイギリスの地の競走馬ながらずっと応援していた、とかではないのです。

それだけの理由で、その後会社名にまでなるニコリ。
そしてウルグアイの地までわざわざ会いに行くまで、ニコリの写真も見たことがないというあたり……絶句

思うに、筆者は別段「馬が好き」な訳ではなく、「競馬が好き」な人なんですね。




わたしが期待していたのとは「ずれている」内容でしたが、パズル雑誌の売り込みや会社が大きくなっていく経過はなかなかおもしろかったので、結果オーライな本でした。