韓国、「悲観論」中国経済、2月中の生産再開は困難と前提し負の「連鎖を危惧」
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韓国の現代自動車は、自動車部品の8割を中国に依存している。その中国は、新型コロナウイルスの蔓延で、国内生産はストップ状態だ。このため、現代自は7日から国内の組立て作業を全面的に休止せざるを得ない事態に追い込まれている。
韓国は、中国経済の操業再開に厳しい見方をしている。現在、新型コロナウイルスの蔓延防止策として、2月8日まで春節休暇の延長としている。中国政府は、さらに「14日間」を休暇延長にして、ウイルス感染を根絶する意向でないかというのである。こうなると、事実上、2月一杯は「ウイルス休暇」という突発的事態となり、韓国経済に大きな影響が出るとしている。むろん、それ以上に中国経済が疲弊する。
『中央日報』(2月6日付)は、「中国、2月中はシャットダウンの可能性、車や消費財のグローバル供給網まひ」と題する記事を掲載した。
中国の各地方政府が春節連休を他地域で過ごして戻ってきた中国人と外国人に14日間の自宅隔離を命じた。新型コロナウイルスによる肺炎が武漢と湖北省から中国全域に広がるのを防ぐための措置だ。今回の措置により、中国企業だけでなくグローバル企業の中国工場は稼動中断が長期化し、世界のサプライチェーンへの打撃が長引くだろうとの懸念が出ている。こうなると重大事態に直面する。
香港紙『文匯報』(2月5日付)などによれば、中国内の生産拠点が密集する主要地域の地方政府が、新型コロナウイルスによる肺炎拡散を防ぐため他地域で春節連休を過ごして戻ってくる人たちに隔離措置を下した。このためすでに亀裂が生じているグローバルサプライチェーンが、さらに深刻な打撃を受けるだろうとの懸念が大きくなっている。専門家は、上半期の中国は経済成長率がマイナスに落ち込む可能性もあると分析しているほどだ。
(1)「ほとんどの地方政府が、春節連休期限を9日以降に延長した。現代自動車が生産中断を決めるなどグローバル企業は部品調達に支障をきたし始めている。このように強力な措置を出した地域は、ほとんどが中国でもグローバル企業の生産拠点が集まっている都市である。上海にはフォルクスワーゲンとゼネラルモーターズの工場がある。吉林省はフォルクスワーゲンの合弁会社である第一汽車の本拠地である。広東省にはトヨタ、ホンダ、日産など日系自動車メーカーの工場が位置している。これら3地域は昨年世界の自動車生産量の10%を超える870万台を生産した。浙江省にはLG化学をはじめとする世界の化学企業が工場を運営中で、山西省にはサムスン電子西安工場がある」
ほとんどの地方政府は、春節連休期限を9日以降に延長した。「14日間」を指示している。これら地域は、上海市、吉林省、広東省である。3地域は昨年、世界の自動車生産量の10%を超える870万台を生産した地域だ。当然、部品企業も前記3地域に集中している。韓国の現代自の部品輸入先が、強制休暇による操業中止で生産がストップ状態である。
(2)「今回の新型コロナウイルスの震源地である湖北省は、13日まで全面休業を維持する。湖北省武漢は中国最大の工業都市で、ボッシュとヴァレオなど世界20大自動車部品メーカーの大部分が工場を置いている。中国乗用車協会の事務総長は「世界の自動車メーカーが重症急性呼吸器症候群(SARS)当時とは比較にならない部品難に苦しめられるかもしれない」と予想した。コンサルティング会社QIMAのセバスティアン・ブルトー代表は、「グローバルサプライチェーンが少なくとも2月末までは動揺があり、3月中旬まで続く可能性もある」と予想する」
湖北省は、新型コロナウイルスの震源地である以上、当面は13日まで全面休業する。それ以降も延長となろう。この休暇の自動延長は3月中旬まで続く可能性を予想する向きもあるほど。となれば、SARS(2003年)の時よりも深刻な事態を迎える。今から、覚悟が必要になってきた。
(3)「世界銀行(WB)のマルパス総裁は4日、米ジョージ・ワシントン大学で開かれた討論会で、「新型肺炎により上半期の世界経済成長見通しを下方修正しなければならないだろう」と明らかにした。世界銀行は先月初めに今年の世界経済成長見通しを2.7%から2.5%に0.2ポイント引き下げたが、これをさらに低くする計画を出したのだ。マルパス総裁は、「世界の航空会社が中国行き航空便を中断しており、グローバルサプライチェーンに問題が生じているため」と説明した。ともに討論会に参加したイエレン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は「新型肺炎が世界経済に及ぼす悪影響は短期衝撃にとどまった過去の伝染病問題よりも大きいだろう」と診断した」
世界銀行のマルパス総裁は、今年上半期の世界経済成長率を、すでに2.7%→2.5%へ下げている。さらに、引下げる意向を見せている。イエレン前FRB議長もSARS時よりも大きな影響を受けると診断している。楽観は危険である。
(4)「中国の国内総生産(GDP)が、上半期にかなり落ち込むという予測も出てきた。英市場調査会社エノドエコノミクスのダイアナ・チョイレバ首席エコノミストは、「新型コロナウイルスで中国の国内総生産増加率が3四半期連続でマイナスになりかねない」と予想する。世界最大の原油輸入国である中国の景気低迷への懸念で、国際原油価格は下がり続けている。今年初めに1バレル当たり63ドル以上だったウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)価格はこの日49.61ドルで取引を終えた。ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)は、「今年は、中国の原油需要が1日平均100万バレル減り、世界の原油需要増加率も40%ほど鈍化するだろう」と予想した」
今年の中国は、3期連続でGDPがマイナス成長になるとの予測も出てきた。中国の原油需要が、1日平均100万バレル減る。これにより、世界の原油需要増加率は40%ほど鈍化する、との見通しも出てきた。中国経済は、生存を賭けた大きな試練を迎えたようだ。