中国、「スペイン風邪上回る」武漢ウイルス、2月に感染者25万人「全世界へ拡散」 | 勝又壽良の経済時評

中国、「スペイン風邪上回る」武漢ウイルス、2月に感染者25万人「全世界へ拡散」

 

 

 

【お知らせ】

「勝又壽良の経済時評」をメルマガ発信。

*毎週木曜「まぐまぐ」からのメルマガ(有料)を発信いたします。

予約はこちらから。⇒https://www.mag2.com/m/0001684526.html

 

引き続き『勝又壽良のワールドビュー』もよろしくお願いいたします。

 

武漢市の総人口1100万人のうち、500万人以上の人々が脱出した。武漢市長が明らかにしたもの。これが、「動く病原体」として中国全土は言うに及ばず、全世界へ病原菌をばらまくことになった。発表されている感染者数と死亡者数は、病院で確認しただけである。病院で診療を受けるまでに2日も待たされている。このことから、今後の感染者数と死亡者数はどれだけ増えるか見当もつかない状況である。

 

海外の感染症専門家は、一様に感染力の強さを指摘している。WHO(世界保健機関)は、中国発表の資料によって実態よりも軽症と見誤った可能性が指摘されている。至急、「緊急事態」という認識を発表すべきであろう。WHO事務局長は直接、中国へ赴き実態調査を迫られている。

 

『大紀元』(1月27日付)は、「新型肺炎、米専門家『熱核反応のようなパンデミック』2月に感染者25万人と推定」と題する記事を掲載した。

 

中国では、新型コロナウイルスによる肺炎の感染が急速に拡大している。米国の専門家は、新型肺炎は「熱核反応のようなパンデミック(世界的な感染の流行)」になる恐れがあると警告した。中国当局は27日、1月26日24時までに、30の省・市で感染者が2744人確認され、うち461人が重症者と発表した。また、死亡者が80人にのぼり、感染した疑いのある患者は5794人だという。

 

(1)「ニュージーランド・メディア『Newshub』(1月20日付)によると、欧米の伝染病学者は、新型肺炎の基本再生産数、RO(1人の患者から何人に感染させるかを示す数値)は3.8~3.3人と推測している。さらに4人と指摘する声もある。世界保健機関(WHO)の推定値である1.4~2.5人を上回った。研究家らは、一部の感染者に明らかな症状がないことに注目し、「移動する隠れた感染者」と呼んでいる」

 

WHO推定のRO(感染拡大率)は、1.4~3.3としている。欧米の専門家は、このWHOの推測するROが小規模として疑問視している。今回の新型ウイルスは、潜伏期間が長く、その間にも感染能力が高いことから、「移動する隠れた感染者」を生み出す危険性が高くなっている。こういう悪条件を考えれば、素人にもWHO予測が低すぎることは理解できるのだ。WHOともあろう権威ある機関が、どうしてこういうことになったのか。私は、中国政府の圧力があったと見る。春節期間に当るだけに、「緊急事態」という表現を避けたかったのであろう。

 

(2)「『Newshub』は、米ハーバード大学の公衆衛生学教授のエリック・ファイグルーディン博士のツイッター投稿を引用した。ファイグルーディン博士は、新型コロナウイルスのROは3.8人と主張し、「熱核反応のような世界的大流行になるとした。同氏は投稿で、新型肺炎に関する研究図表を並べ、「誇張していない」「恐慌を煽っていない。私は科学者である。このウイルスは非常に恐ろしい」とした。ROの数値が大きいほど、まん延を防ぎにくい。ファイグルーディン博士によると、季節性インフルエンザのROは1.28人。2009年に世界的大流行になった新型インフルエンザ(H1N1)は1.48人。1918年、全世界に流行ったスペイン風邪のROは1.8人だった。同博士は、2月4日までに、新型コロナウイルスによる肺炎の感染者は13万2000~27万3000人に拡大すると推算した」

 

(3)「米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)26日によれば、英国のランカスター大学、グラスゴー大学ウイルス研究センター、米国のフロリダ大学の伝染病学者4人が、新型肺炎のデータ分析をした後、1月23日、研究報告を発表した。同報告によると、新型肺炎のROは3.6人から4.0人となっている。武漢市で明らかになった症例は全体の5・1%に過ぎないとの見方を示した。新型コロナウイルスの伝播のスピードは、2002~03年にかけて広がった重症急性呼吸器症候群(SARS)よりも速いとした。また、「感染の拡大が抑えられず、または伝播のスピードに変化がなければ、今後、中国の他の都市でも爆発的に感染が広がり、海外へのまん延も加速化すると予測する。将来14日間内(2月4日まで)の武漢での感染者は25万人を超えると推測」とした」

 

過去のRO比較

季節性インフルエンザ 1.28人

2009年 世界的大流行の新型インフルエンザ(H1N1)1.48人

1918年 全世界に流行ったスペイン風邪 1.8人

 

武漢ウイルスRO予想比較

WHO(今回) 1.4~3.3人

英米4学者   3.6~4.0人

ファイグルーディン博士 3.8人

 

WHO予測のROが1.4~3.3人とかなりの幅を持たせている。これは、自信を持って予測できなかったことを示している。ならば、むしろ未発表の方が混乱を生まなかったであろう。WHOは、最悪事態を想定した対策を立てる役割を放棄した。

 

(4)「英国のランカスター大学、グラスゴー大学ウイルス研究センター、米国のフロリダ大学の伝染病学者4人は、感染の拡大が抑えられず、または伝播のスピードに変化がなければ、今後、中国の他の都市でも爆発的に感染が広がり、海外へのまん延も加速化すると予測する。将来14日間内(2月4日まで)の武漢での感染者は25万人を超えると推測」とした。報告は、湖北省政府が感染拡大防止の対策として武漢市を封鎖したことについて、効果は乏しいと指摘した。「他の突発的コロナウイルスと比べると、新型コロナウイルスのROが非常に高い。感染まん延の防止が非常に困難になるだろう」

 

武漢市の都市封鎖の効果は乏しいとしている。全人口の半分近い500万人がすでに市を脱出しており、「移動する隠れた感染者」の危険性を負っているからだ。2月4日までに武漢の感染者は25万を超えると警鐘を鳴らしている。

 

(5)「米ハーバード大学のファイグルーディン博士は、スペイン風邪が流行った1918年と比べて現代社会は飛行機、列車などで地域間の移動が迅速になったため、「われわれは1918年以来の大まん延に直面している」と警告した。スペイン風邪の死者は5000万人を上回ったと言われる。博士はWHOに対して、新型肺炎について早期に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に宣言すべきだとした」。

 

スペイン風邪当時と現在では、人々の移動距離は飛躍的な伸びとなっている。ウイルス感染は、この移動距離に比例して増えると見なければならない。スペイン風邪の死者は、5000万人である。今回は厳戒体制を取るべきとしている。傾聴すべき見方だ。