韓国、「OECD最低圏」去年の名目成長率予想、なんと1.4%「日本を下回る」あ | 勝又壽良の経済時評

韓国、「OECD最低圏」去年の名目成長率予想、なんと1.4%「日本を下回る」あ

 

 

 

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昨年7月以降の「反日不買運動」で、韓国は日本に大きな打撃を与えたと喜んでいた。日本製ビールを初めとして、徹底的に「メード・イン・ジャパン」を排撃したと胸を張っていた。「韓国は独立を守れなかったが、反日不買はできる」と敵討ち精神であったのだ。当欄では、反日不買が必ず、消費者心理を不安にさせるので、個人消費に影を落とすはずだ、と指摘してきた。どうやら、そういう結果になったようである。

 

OECD(経済協力開発機構)による昨年の最新名目GDP成長率予測は、前年比1.4%にとどまった。韓国統計庁発表の昨年の消費者物価指数は、0.4%の伸びに過ぎなかった。単純に言えば、昨年の実質GDPは僅か1%成長に止まることになろう。これは、衝撃的な話である。文政権の大幅最低賃金引き上げと輸出不振、それに「反日不買」に伴う不安心理が消費を直撃した。「人を呪わば穴二つ」で、韓国自身がその穴に飛び込んで大損をしたのである。

 

『朝鮮日報』(12月31日付)は、「過去57年で初めて日本に負けた成長率、OECDでビリになった韓国経済」と題する社説を掲載した。

 

(1)「韓国は物価上昇を反映する名目経済成長率が今年は1.4%にとどまり、経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国で34位にとどまる見通しだという。2017年の16位から18ランクも後退し、過去57年で初めて日本(1.6%)にも抜かれた」。

 

昨年の名目成長率予想が、OECD予測では1.4%増である。日本の1.6%増(同)を下回ったと悔しがっている。何でも、日本を上回らなければ気の済まない韓国だ。切歯扼腕(せっしやくわん)しているに違いない。

 

(2)「これまで韓国経済は悪材料に直面してもすぐに反発する復元力を誇ってきた。オイルショック当時の1980年に1.7%に落ち込んだ成長率は翌年7.2%を記録。通貨危機当時の98年にはマイナス5.5%まで低下したが、翌年には11.5%の成長を達成した。世界的な金融危機の際にも0.8%から6.8%へと急反発した」

 

過去は、GDP成長率が急落しても、反発力が強くすぐに回復した。これは、総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)比率が上昇局面(人口ボーナス期)であったからだ。2015年以降は、生産年齢人口比率が下降局面(人口オーナス期)入りしている。この結果、景気反発力は低下している。こうした人口動態変化を計算に入れなければならない。

 

韓国の総人口に占める生産年齢人口比率

2010年 73.21%

  11年 73.28%

  12年 73.35%

  13年 73.40%

  14年 73.41%  ピーク

  15年 73.36%

  16年 73.16%

  17年 72.92%

  18年 72.61%

(資料:世界銀行)

 

韓国経済が15年以降、人口オーナス期入りしている現実を認識すれば、文政権による経済政策の失敗は大きな傷跡を残すはずだ。韓国経済は、「初老期」に入っている。

 

(3)「現政権が発足して以降は通貨危機のような突発的事態がないにもかかわらず、経済の不振が続いている。政府は米中貿易戦争のせいにするが、他国は同じ影響を受けながらもよく持ちこたえている。米国だけでなく、欧州、日本の株式市場は好調で、デモに直面している香港の株価も年初来12%上昇した。これに対し、韓国の総合株価指数(KOSPI)の上昇率は3.6%にとどまり、86カ国中で58位だ」

 

韓国株価の不振は、企業業績が低調であることを反映している。新年は全業種の格付けが引下げられる方向だ。このような状況で、株価が本格的に上がるのは難しいであろう。

 

(4)「一連の反企業・反市場政策は企業の意欲をそぎ、経済の活力を失わせている。政府は企業ではなく、全国民主労働組合総連盟(民主労総)と同じ船に乗った。世界で最も厳しい環境・安全規制が加わり、企業の代表理事(代表取締役)になった瞬間に2200項目もの刑事処罰法規の対象になる。国民年金までもが経営に干渉すると宣言し、怖いものがない強硬労組は企業の理事会(取締役会)の掌握を試みている。「韓国経済が社会主義化している」という言葉が現実化し、多くの企業が生産拠点を海外に移転したり、移転する準備を進めたりしている。韓国に投資しようとしていたグローバル企業は他国に投資先を変えている。「団体トップは新年のあいさつで「企業が政治に足を引っ張られた」「再起するのか、沈むのかの岐路に立っている」などと訴えた。それでも何の反応もないことだろう」

 

文政権は、企業経営に大きな制約条件をかけている。「企業性悪説」であり、企業に自由度を与えると労働者や消費者を食いものにするという、「古典的な企業観」である。これが、労組の経営介入を許すという本末転倒の事態を招いている。労使は、節度ある態度で臨むべきだ。労組の経営権挑戦は、百害あって一利なしである。