GSOMIA離脱の韓国、米国が激怒し安保体制にヒビ、経済危機でも救援せず | 勝又壽良の経済時評

GSOMIA離脱の韓国、米国が激怒し安保体制にヒビ、経済危機でも救援せず

 

 

 

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国内事情で安保を決める

米中貿易戦争最大の余波

コリア・ディスカウント

経常赤字転落で地獄見る

 

韓国は8月22日、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)を破棄しました。GSOMIAは、日韓において軍事情報交換を行うという狭い意味だけでなく、日米韓三ヶ国の安保インフラを意味していました。このため、米国は韓国に対して自動延長を強く要請しました。日本も同様に、延長を要請したのです。

 

日米韓三カ国の安保体制は、中朝に対して盤石であることを示すシンボル的な意味を持ってきました。ところが、今回の韓国の離脱によってその意味合いが薄れる懸念が出てきたのです。安全保障は国家の基本的骨格です。これがぐらつく状況では、「カントリー・リスク」が高まらざるを得ません。その意味で、韓国は自ら「カントリー・リスク」高めるという行動を取ったのです。

 

国内事情で安保を決める

韓国は、なぜこういう行動に走ったのでしょうか。

 

韓国の国家安全保障会議(NSC)が、今回の離脱を最終決定しましたが、その際の討議では、最初から「結論ありき」のデータを提示して、それに基づき結論が出された形跡が濃いのです。

 

2016年11月にGSOMIAが締結された後、両国間の情報交流が行われた回数は29回。うち韓国が日本から受けた情報量が極めて少ないという不満だそうです。2018年度には事実上、情報交流の需要がなかったし、最近は北の短距離ミサイル発射によって日本側が韓国に要求した安保情報交流需要があった程度というのです。

 

日本は偵察衛星7基、沿岸の観測所や飛行機で北朝鮮の電波情報を収集し、弾道ミサイル発射などの情報を入手しています。日本の収集できる北朝鮮情報は、韓国側に貴重な情報源でした。事実、韓国国防省など情報機関は、GSOMIA継続の必要性を主張していたのです。

 

先に、韓国が日本から受けた情報量が極めて少ないという不満を述べています。これには深刻な「情報漏出問題」が起こっていたのです。韓国の情報機関、国家情報院の幹部が定期的に北京を訪れ、日本や米国が提供した機密情報を中国に漏らしているという疑いが、米国防総省高官から日本側に告げられていたのです。このため、日本側の情報を無条件に韓国へ渡すことは厳に控えてきたとされます。極端なケースでは、「韓国から提供された情報の中には、日本側を誤った方向へ誘導するためとみられる虚偽情報が含まれていたこともあった」と指摘されています。こうなると、日韓は友好国ではなく、韓国が日本を敵視していたとも言えるでしょう。

 

2)国民感情=反日世論の重視です。大統領府は、国民の意思がどういうものかを把握するため、ほとんど毎日世論調査を実施したというのです。GSOMIA破棄に賛成する意見が多数だったので、「世論」に従ったとされています。ここで重大な点は、安全保障という高度に専門的な判断を要する問題が、世論で決められるという「大衆迎合政治」の典型例が見られることです。

 

文政権が、世論重視でGSOMIAを破棄したことは事実です。それは、来年4月の総選挙で与党が勝たなければ、文政権の残り任期2年が「レームダック化」するのです。そこで、是非とも与党勝利を期すべくGSOMIAの破棄に至ったのです。総選挙で与党が勝利を握れば、次期大統領選も与党候補が選挙戦を有利に戦えるでしょう。その結果、2期連続で進歩派が大統領ポストを占めて、南北統一へ「ゴー」という期待を高めたいのです。

(つづく)