韓国、「文政権」高い失業率が破滅的出生率の低下招き「国家衰退」 | 勝又壽良の経済時評

韓国、「文政権」高い失業率が破滅的出生率の低下招き「国家衰退」

 

 

 

出生率「1.0」を割る不気味さ

「生きずらい」社会の行く末とは

「新たに、『勝又壽良のワールドビュー』を開設します」

http://hisayoshi-katsumata-worldview.livedoor.biz/

 

韓国経済は、米中貿易戦争の狭間で大きく揺れている。輸出依存度が、対GDP比で50%を上回っているからだ。世界が平穏であれば問題ないが一度、思惑違いが起こって関税引き上げ騒動が起こると、てきめんにその影響を受ける脆弱体質である。現在、韓国はこの米中貿易戦争に巻き込まれて、たちまちにその渦に吸い込まれる危険性を抱えている。

 

実は、さらに大きな問題に直面している。

 

今年の出生率が、世界最低に落込む懸念が強まっているのだ。正式には、合計特殊出生率(一人の女性が生涯に出産する子どもの数)が、ついに「1人」を割り込むことが決定的になった。人はよく冗談に、「人間の数は少ない方が、交通機関も空いているし、受験競争率も低くて助かる」と言う。これは、経済的に言えば大間違いである。国家の経済運営においては、潜在的な成長率を引下げ、年金財政の逼迫原因になる。

 

現在、先進国は労働需給が逼迫化している。日本の完全失業率は2.2%と55年ぶりの低下である。同じような失業率の低下が他の先進国でも起こっている。それにも関わらず、賃上げ率が低いという共通現象を抱える。その理由は、出生率の低下がもたらす潜在成長率の低下懸念と指摘されている。

 

人口は増えなくても結構だが、せめて横ばいを維持して欲しい。その目安は、合計特殊出生率が2.08=人口置換率を維持することだ。韓国が今年の出生率で「1人台」を割ることは社会的にも経済的にも大きな「警戒信号」を発したと言える。大袈裟に言えば、「韓国滅亡」への否定しがたいシグナルだ。

 

日本では、安倍政権になって出生率引き上げに全力を挙げている。合計特殊出生率は、2025年までに1.08(現在1.4台)へ引上げる計画である。そのための政策として、幼児教育の無料化を実現し、高校や大学へと無料化の範囲を拡大する取り組みを始めている。

 

韓国では、「人口危機」が叫ばれるものの、体系的な取り組みがない。韓国は儒教社会ゆえ、子どもの教育に全力を挙げる美風がある。まさに、「孟母三遷」の教えの通り、親は子どもの教育のためには、あらゆる犠牲を払っている。だが、それだけ子どもの教育にカネをかけても、就職難という問題が控えている。大学卒業=失業者という環境では、結婚ができないどころか、出産はさらに高嶺の花という事態だ。この問題を解決できない限り、出生率の向上はあり得ない。雇用問題の解決が出生率向上のカギを握っていると言える。

 

出生率「1.0」を割る不気味さ

『朝鮮日報』(7月6日付)は、「韓国の合計特殊出生率、世界で唯一『1.0』割れ」と題する記事を掲載したい。

 

世界銀行統計では、合計特殊出生率が「1.0」を割った国の記録はない。今年の韓国は、その意味では有り難くない「前人未踏の記録」になる。韓国のこれまでの推移を見ると、2005年に1.08まで低下したが回復して、2012年には1.30にまでなった。だが、その後はまた低下しており、ついに今年の「1.0」割れという事態を迎えた。

 

この記事では、対策として住宅問題の解決を取り上げている。これも重要だが、雇用問題解決こそ喫緊の課題と思われる。日本でも、非正規雇用者が「年収200万円では結婚もできない」と訴えていたように、経済力をつけさせることが出生率回復への切り札になろう。その点で、韓国の対策はピントが外れているようだ。

 

(1)「今年の韓国の合計特殊出生率は1.0にも届かない、という韓国政府の見通しが出された。低出産・高齢社会委は7月5日、『今年の新生児はおよそ32万人を記録し、出生率は1.0以下に落ちるものと見込まれる』と発表した。これは、新生児の数が歴代最低のおよそ36万人を記録し、合計出生率が1.05に低下した昨年よりも低い数字だ。また低出産委は『2022年より前に新生児の数が20万人台になる恐れがある』とコメントした」

 

前述の通り、2005年に1.08まで低下した。その後に持ち直して2012年は1.30まで回復した。再び、息切れした理由をデータで検証すれば、完全失業率と出産率は逆相関関係になっていることが分る。出生率が高いときは失業率が低下している時である。この関係は当然のこと。失業しているときに出産を考える家庭は少ないだろう。

 

この私なりの見立てが妥当するならば、韓国の出産率向上には、雇用回復が不可欠である。その点で、韓国は硬直的な雇用環境にある。世界最強という労働組合が、政府に強い影響を与えている。労働規制の緩和は、「労働者の敵」という時代遅れの感覚に囚われているのだ。皮肉にも、文在寅政権が誕生して以来、出生率が急低下している。極言すれば、文政権が韓国の寿命を短くさせるのだろう。文政権への高支持率は、国民が韓国滅亡に賛意を表しているに等しい愚行である。

 

(2)「韓国の合計出生率が1.0未満にまで下落した場合、事実上、地球上で唯一の『出生率0人台』の国になる見込みだ。国連人口基金(UNFPA)の資料によると、調査対象およそ200カ国のうち、昨年の出生率が1.0以下だった国は皆無。かつて出生率が1.0未満を経験した国・地域としては台湾・シンガポール・香港などがあるが、相対的に人口が少なく、現在は出生率1.2~1.3のレベルを維持している」

 

人口5000万人台の韓国が、世界の統計上初めて「合計特殊出生率1.0」を割り込むのは、なんとも不名誉な話だ。その理由が、強い労働組合によって労働規制緩和に反対した結果、などということになると、ますます政治の空白が問題になってくる。文政権は、支持母体の労組と市民団体の声には100%応えるという律儀さだ。これが、国家の寿命を縮めることになるとは、逆立ちした話であろう。

 

(3)「韓国政府は5日、少子化対策の一つとして『新婚希望タウン』(公共分譲住宅)入居者に対し、30年分割払い(年1.3%の固定金利)で住宅購入費の70%、最大4億ウォン(約4000万円)を融資する案を打ち出した。さらに、人生初の小型住宅(専用面積60平方メートル以下)を構えようとする新婚夫婦に対し、取得税の50%を減免する方針だ。国土交通部(省に相当)は、2022年までに韓国国内各地で新婚希望タウン10万戸供給の実施など、163万戸を支援するという内容の『新婚夫婦・青年住居支援案』を発表した。このために、韓国政府は合わせて43~44カ所の公共宅地を新たに開発する計画。このうち、京畿道盆東・ソヒョン洞など首都圏の5カ所を含む13カ所の宅地地区を5日に追加公開した」

 

少子化対策として、住宅対策を行なうとは不思議な感じだ。先ず、雇用対策の一環として労働規制の緩和を行なうべきである。今の若者は世界的に「脱モノ」である。自己所有よりも「シェア」という認識が高い。多額の住宅ローンを抱えるよりも「賃貸住宅」という選択をしている。「持家意識先行」は年配者独特のこだわりである。こういうジェネレーションごとの行動分析が欠かせないであろう。

 

(4)「満6歳以下の児童の親には養育支援のため、仕事をする時間を1日1時間、賃金削減なしに減らす案を推進することとした。現在、配偶者の出産時に有給3日を含め最大5日まで取ることができる『配偶者出産休暇』の期間も、有給休暇10日に増やすこととした」

 

日本の育児休業制度に比べると、なんとも間延びした感じだ。日本では男子でも育児休業が取得可能である。1歳までは無条件で1歳半、2歳でも申請して認められれば休業可能である。ここまでやっても、合計特殊出生率はなかなか増えないものだ。そこで、働き方改革法によって、雇用をより柔軟にさせることになった。北欧のケースでは、妻の有業率が高いほど出産率が高まっている。ここにも。出産=雇用の関係が明白である。

 

「生きずらい」社会の行く末

韓国では、出生率問題は長いこと議論されてきたが成果は上がらず、計画はことごとく失敗してきた。次の記事は2016年12月21日の私のブログを採録した。

 

『中央日報』(2016年12月9日付)は、社説「急速に老いゆく大韓民国、手をこまねいて見ているのか」を掲載した。

 

人口問題は、国家の将来に大きな影響力を持つ。生活しやすく、将来への明るい見通しがあれば、結婚して家庭を築く気持ちにもなろう。だが、韓国では度を越した「受験競争」が控え、大学を卒業しても満足な就職先は少ない。これでは、結婚して子どもを生みたい気持ちも萎えて当然であろう。韓国社会に充満する不満が、合計特殊出生率を引き下げ、国家の存続すら危ぶむという極端な見通しが出てきた。本日のブログを読み下していただくと、韓国で子どもを生み育てたいという希望は、次第に小さくなるのは致し方ないと思われよう。将来の展望が開けないからだ。

 

(5)「韓国統計庁が、『2015~2065年将来人口推計』を出した。2011年の調査で2035年と2050年の合計特殊出生率は1.42人と予想されていた。今回の調査では2035年1.35人、2050年1.38人とさらに低くなった。現在は年間43万人の出生者数が2065年には26万人に急減する。一方、期待寿命の増加により高齢人口比重は過去予想よりさらに急速に高まるものと予想された。人口がピークを迎える時期が2030年から2031年に1年遅れたのも高齢化の憂うつな側面だ」。
 

韓国の人口推計(2011年当時)では、将来の合計特殊出生率を1.42人としていた。だが、最近の推計では、2035年1.35人、2050年1.38人と引き下げたという。これは、現在の出生率1.24(2015年)が、大きく改善できぬという現実認識が強まった結果であろう。日本の出生率は1.42(2015年)である。これを、1.80(2025年目標)まで引き上げようと諸施策を行っている。韓国の対策は、日本に比べて生温いというよりも、客観条件がそれを許さないものと見られる。

 

合計特殊出生率の低い社会は、何らかのブレーキが働いている。北欧社会の出生率が高いのは、社会が子どもを育てるという共通認識があるからだ。それだけ「生きやすい」社会とも言える。韓国の合計特殊出生率が低いのは、「ヘル朝鮮」という言葉が表すごとく、生きずらい社会を意味している。

 

(6)「これに伴う社会的負担はより大きく、早く降りかかってくるほかない。15~64歳の生産年齢人口は来年から直ちに減少する。2020年代初めには徴兵対象者を全て集めても今の兵力規模を維持できなくなる。2059年には生産年齢人口1人が老人1人を扶養しなければならない。国民年金など各種年基金が枯渇する時期も前倒しになる。潜在成長率と産業競争力の下落も避けられない」。

 

生産年齢人口は、17年から減少に向かう。全人口に占める生産年齢人口比率は、2年前から減少に向かっているのだ。いわゆる、「人口オーナス」社会へ突入した。韓国政府には、この厳しい現実についての認識が足りない。政治空白は、今回の大統領弾劾で始まったわけでなく、数年前か始まっていたと言える。人口対策という将来を見据えた政策が、それだけ出遅れていることを証明するのだ。

 

以上が、2016年12月21日の私のブログの一部採録である。この執筆時点から現在を眺めると予想通り、韓国社会は零落しつつあり、集団自殺に向かっているような悪い予感がする。この国家的な危機をどのように乗り切るのか。国民は頭を冷やして考え直すことだ。文政権による、「積弊一掃」という名の政治的な弾圧は決して良い結果を生まない。国民の間で対立を助長するだけだ。

 

今の韓国は、政治的な対立をしている余裕などないはずである。ここは、政治休戦をして与野党が謙虚にむきあうことしか解決法はない。繰り返すが、労働慣行の見直しによる労働市場の流動化を実現させる。就職難を解決して失業率を下げる。これが、婚姻率を高めて出産を促進することになるだろう。

【お知らせ】

ライブドアで「勝又壽良のワールドビュー」と題するブログを開設しました。「勝又壽良の経済時評」で取り上げられなかったテーマに焦点を合わせます。「経済時評」が中国論であれば、「ワールドビュー」で韓国論を取り上げるように工夫します。両ブログのご愛読をお願い申し上げます。『勝又壽良のワールドビュー

 

(2018年7月13日)

 

韓国破産  こうして反日国は、政治も経済も壊滅する 韓国破産 こうして反日国は、政治も経済も壊滅する

 

Amazon

 


勝又ブログをより深くご理解いただくため、近著一覧を紹介

させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

勝又壽良の著書一覧