中国、「高速鉄道故障」車両事故頻発も欠陥技術で解決不可能 | 勝又壽良の経済時評

中国、「高速鉄道故障」車両事故頻発も欠陥技術で解決不可能


   エコノミック・ショート・ショート



中国の高速鉄道は、日本の新幹線技術をベースにして開発したが、あくまでも「独自技術」と言い張っている。「エッ」と驚くほどの厚かましさだ。日本人の82%が「中国を好かない」と言うのも致し方ない。それほど見栄で塗り固めているのだ。


この厚かましさは、さらに膨らんでいる。海外へ高速鉄道を売り込み、日本から受注横取りするという信じがたい行動に及んだ。インドネシアでは、日本側が数年掛けて下調査して決めた建設計画を、たったの数ヶ月の時間でさらってしまった。天罰てきめんで、準備不足を露呈して散々な目に遭っている。良い薬になるであろう。


中国の高速鉄道は、借り物技術であることは明白である。いくら「独自技術」と大言壮語しても、高速鉄道の車両面で欠陥が出ており、解決できずにそのままで運行している。今さら、日本へ教えを請うわけにも行かず、四苦八苦している。中国人の見栄とメンツが絡む話しだが、日本では高見の見物だ。この際、徹底的に反省させなければならない。


米華字メディア『多維新聞』(3月22日付)は、車両故障率の高さや事故の頻発など、その悪影響が次々に明るみとなっていると報じた。


①「中国鉄路総公司が山東省青島市で行われた鉄道車両の生産品質に関する会議で明らかにしたところによると、2015年に発生した列車事故は210件余りで、前年と比べて18%増加。車両の故障による事故は45%も増加し、故障による事故が最も多いのは高速鉄道だった。事故が頻発した背景には、車両メーカーである中国中車の生産やメンテナンスの質が基準を満たしていないことや、地方の鉄路局の車両管理・報告が徹底されていないことがあると指摘されている。基準を満たせない原因は、納車が追いつかないこと、技術的な問題があることは分かっていても解決できていないことなどがある」。


中国の鉄道車両で故障が最も発生しているのは高速鉄道であるという。「独自技術」で開発したはずでなかったのか。とんだインチキな宣伝をしているわけだが、原因は、車両メーカーである中国中車の生産やメンテナンスの質が、標準基準を満たしていないと指摘している。のけ反るほど驚く話しだ。完全な製造技術も持たないにも関わらず、「独自技術」を売り物にしているデタラメさに恐怖を感じる。


中国の民衆は古来、野放図な生活を送ってきた。およそ「規律」とは無関係であり、勝手気ままにその日暮らしを続けてきた民族である。規律と無縁な中国労働者が製造する工業品に、欠陥が出ないはずがない。日本では5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾け)が、日々の生活のなかで自然に備わっている。こうした枠組みによって、世界最高の品質が生み出されている。中国製品に欠陥品が出るのは当然だろう。今それが、高速鉄道という最高レベルの技術を必要とする場で露呈している。危険極まりない。


②「例えば、高速鉄道のCRHI型車両には軸受装置の不具合が長年残ったままになっており、2015年だけでも17件もの故障が起きている。中国鉄路総公司は品質問題の改善プランの作成と即時実施を中国中車に求めるとともに、各地方の鉄路局に車両検査の実施と報告システムの確立を指示し、重大な過失による事故は中国中車に賠償を求めることにするという。西南交通大学の専門家は、中国鉄路総公司と中国中車は列車を使用する側と生産する側で、故障に対する見解を一致させるのは困難だとし、調査に客観性を持たせるためには第三者機関を設ける必要があると指摘している」。


高速鉄道のCRHI型車両は、川崎車両の技術がモデルと見られる。借り物技術であるから、軸受装置の不具合が起こっても直せない。中国は、「独自技術」を売り物にしている手前、日本側へ支援を求める訳にはいかないのだろう。改善する技術がないから放置している。この程度の技術レベルで大法螺を吹く。不思議な民族である。


大量輸送を使命とする高速鉄道車両が、軸受装置の不具合とは死命を制せられる問題だ。軸受けとは、ベアリングであり、その故障が頻発しているのだ。ベアリングは、日本が世界に誇る産業である。自動車や車両などの乗り心地に大きな影響を与えると言われている。中国のベアリング製造は、高級品が生産できない欠陥を抱えている。中国当局は、今になってみれば、「独自技術」などと戯言を言わなければ良かった、と悔いていることだろう。


高速鉄道の故障事故は頻発している。


中国紙『京華時報』(2月9日付)によると、中国河北省内で2月8日午後、高速鉄道の列車が「路線の故障」で緊急停止し車内が蒸し風呂状態になったという。この種の事故は頻繁に起こっている。


③「北京市から湖北省宜昌市に向かっていた高速鉄道G555は、北京西-石家荘駅間で20~30分ほど緊急停止し、その後、石家荘駅でも1時間半近く停車した。乗客によると、石家荘駅に停車している間は、車内の電気が止まり蒸し風呂のような状態になったという。乗客が乗務員にドアを開けるよう求めたが、乗務員は安全を理由に応じなかった。車内では、乗務員が状況を説明しないことに腹を立てた乗客がガラス窓を割ろうとして制止されるなどしたほか、気を失う子どもも出たという」。


送電事故によって、車内の電気がすぐに止まるだろうか。蓄電池があれば、当座の送電は可能である。そういう設備はなく、一方的に乗客に累が及ぶシステムになっているのだろう。乗客の快適性などは、最初から考慮されていないのだ。この車内の蒸し風呂事故では、怒った乗客が、実際の高速列車のガラスを割った例も出ている。


中国紙『楚天都市報』2015年6月25日付)は、故障で高速鉄道車両が停車し、乗客が暑さに耐えきれず窓を割って換気した。


④「6月23日午前11時22分、湖北省武漢市の武昌駅を出発した上海行きの高速鉄道が、発車から5分で故障のため緊急停止した。エアコンも停止したため、車内は蒸し風呂のようになり、1時間半後、耐えきれなくなった乗客が、緊急用のハンマーを使って窓を割り換気をした。その後、乗客の要望に応えて乗務員がドアを開けた」。


この記事から分かることは、中国当局が事故からなんらの教訓も引き出さない点である。昨年6月23日で起こった事故が、今年の2月8日でも繰り返されている。大袈裟に言えば、「改革」しないのだ。これは、中国民族共通の現象であろう。国民の不満は権力で踏みにじって蹴散らす。「改める」というインセンティブが働かないのだ。民主主義国家で同じ事故が起これば、管理責任者は重大な責めを負う。


『サーチナー』(3月25日付)は、次のように伝えた。


鉄道輸送も、サービス業の一種である。車両製造は製造業で「ハード」に属するが、それを安全・正確に運行するのは「ソフト」であろう。日本の新幹線が時間どおりに運行し、駅のホームでは寸分違わぬ位置に停車できる正確性も「ソフト」の優秀性を示す。もう一つ、乗車券の発売でも中国メディアは絶賛している。


⑤「中国メディア『今日頭条』はこのほど、新幹線の『みどりの窓口』を紹介し、『乗車券の発券のスピードが凄すぎる』と伝え、『みどりの窓口』のサービスの品質は到底まねできない水準だと称えた。利用客が自分で手続きを行い、乗車券を購入する『みどりの券売機』とは異なり、『みどりの窓口』はスタッフが乗車券購入の手続きを行ってくれる窓口だ。乗車駅や下車駅のほか、乗車日時や片道か往復か、さらに指定席かどうかなどを確認のうえで新幹線の乗車券を発券してくれるわけだが、『窓口スタッフの入力手続きは正確で、間違いがない』と紹介した」。


「みどりの窓口」で乗車券を購入した経験を持つ者には、確かに正確・迅速な処理に驚く。乗車券を手渡す前に、もう一度確認作業をしてくれるのは本当に有り難いことだ。日本人ですらスピーディーな仕事ぶりには感心させられるから、初めての経験である中国人にとっては「神業」に映るであろう。


⑥「窓口スタッフの熟練した手続きについて、『一朝一夕で身につけられるものではない』とし、入力しながら利用客に情報を確認することで、『正確さと効率を両立させ、数十秒で手続きが終了する』と驚きを示した。中国人読者に向けて、『中国国内において、みどりの窓口のような速度と正確さで手続きが終わった経験がある人はいるだろうか』と疑問を投げかけ、一見すると効率が高く見える券売機ですら『みどりの窓口』の速度には敵わないと指摘。これほど凄まじい速度で乗客の発券手続きをこなしていく『みどりの窓口』について、『あの速度で利用客に対応してこそ、日本社会の速すぎるテンポについていくことができるのだ』と論じた」。


「みどりの窓口」は、正確・迅速・丁寧と3拍子揃ったサービスの極致とも言える。これは、前述の「5S」に通じるものがあることに気付くであろう。私はここまで書いてきて、新幹線東京駅ホームでの新幹線車両内の清掃が、まさに正確・迅速・丁寧と3拍子揃った「神業」に映る。この作業手順は、米国ハーバード大学ビジネス・スクールの教材に取り上げられたと記憶している。仕事さばきが鮮やかで、乗車を待っている乗客に対してもいたって礼儀正しいのだ。


『サーチナー』(2月13日付)は、次のように伝えた。


⑦「中国メディア『今日頭条』はこのほど、JR東日本のグループ会社であり、新幹線の清掃を行う企業について紹介する記事を掲載した。東京駅には毎日、新幹線が210回も停車する。新幹線の清掃は22人を1チームとして11チームから編成されており、清掃の出番は1チームあたり毎日20本ほどだと紹介。清掃が始まったら1人あたり100座席を清掃し、これを7分以内で終えなくてはならないことを紹介し、『乗客の降車時間が長引く場合、6分以内での清掃完了が求められる場合もある』と驚きを示した」。


⑧「効率よく清掃作業を進めるため、清掃工程は時間ごとに3段階に分けられていると伝え、忘れ物の確認や座席の整理、ゴミの掃き出し、カーテンの検査、座席の背もたれとテーブルを元の位置に戻す作業、拭き掃除、汚れた座席カバーの交換などを短時間で済ませていると称賛した」。


最短の清掃時間は6分間。しかも、車内の清掃工程が3段階に分けられているから、手抜きは不可能である。この限られた時間で、乗客に不快な念を与えないように完全な清掃を行う。こうなると、清掃というサービスが製造工程と同じ感覚で行われているのだ。日本のサービス業の過程は、製造業と同じ意識で取り組んでいる。中国の高速鉄道が、真似できないというのは当然だ。


(2016年4月2日)