月華でございます。
この度、月華はとある企画に参加させていただく事となりました。
日頃、お世話になっておりますし、少しは恩が返せるかと思いまして。
その企画というのが……
【メロキュンプレゼンツ!!
《ハッピー♡プレゼント!!》】
……でございます。
風月様、ピコ様、sei様の立案による大イベントです。
詳しくは下記のイベント会場にて。
風月のスキビだより*風月様:http://s.ameblo.jp/wind615-song/entry-11749429897.html
Bubble Shower*ピコ様: http://ameblo.jp/picopico5/entry-11749474172.html
リク魔人の妄想宝物庫*sei様:http://ameblo.jp/sk56-crpa23-46vv/entry-11749086875.html
その壮大な企画の片隅にこっそりお邪魔させて頂いております。
……で、書いたわけですが、ちーっとも恩返しにならん駄作になってしまいました。
失敗したなぁ。
そんな失敗作でもよければ、どうぞお進み下さいませ。
………一日一歩。後戻りなし。
365日スケールの蓮キョ話しです。
では、では、どぞ。
【メロキュンプレゼンツ!!
《ハッピー♡プレゼント!!》】
『恋花時計』
女優業に専念して一年。
下宿させて貰っていただるまやを出て、今は事務所に用意して貰った部屋で一人暮らしをしている。
私には広過ぎる部屋。
広過ぎたはずなのに…広過ぎて寂しいって思っていたはずなのに…今はそうじゃない。
この部屋を満たすものが私を包み込んでくれるから。
ゴージャスで、かわいくて、きれいで、優しくて、色鮮やかで、香しくて、華やかなたくさんの花たち。
キッチンにも香りの少ないものをそっと置いている。
あるだけでキッチンも気持ちも華やぐ。
「うまく焼けてるかしら?」
稼働しているオーブンレンジをガラス越しに覗けば、パイ生地がドーム状に膨らんで程よく色付いている。
「よし!いい感じ。」
サラダもデザートも出来ている。
このポットパイが出来上がりを待つだけ。
時計をみれば、ちょうどいい時間。
チーンというオーブンレンジの音と共に来客を告げるチャイムがなった。
来た!
私は訪問者を出迎えるべく玄関へと急いだ。
鍵をはずしてドアを開ける。
そこには大きなバラの花束を抱えた敦賀さんがいて。
「いらっしゃいませ。敦賀さん。お仕事お疲れ様でした。」
「こんばんは、最上さん。……ダメだよ。ちゃんと確認してから開けないと。」
「今、7時ちょうどですよ。約束の時間ピッタリです。敦賀さんが遅れてくるはずがありませんから。」
「仕事が押してね、今着いたとこ。部屋にもよらずにここに直行したんだよ。それで何とか間に合ったんだ。……君はもっと危機感を持つべきだよ。」
「次は気をつけます。それよりも早く入って下さい。寒かったですよね?」
「車での移動だし、大丈夫だよ。」
「今夜は特に冷え込むってテレビで言ってましたよ。身体が温まるようにポットパイ作ったんですよ。」
「器にパイ生地をかけたヤツ?」
「それです。中のシーフードたっぷりのクリームシチューは自信作です。パンに付けても美味しいですよ。」
「そのパンも手作り?」
「はいっ!」
「楽しみだな。」
12月25日。
今日は私の二十歳の誕生日。
敦賀さんと二人きりでお祝いをする。
私達は恋人同士じゃない。
まだ、良き先輩後輩で、良きライバルで、良き同士で……それ以上の関係にはなってはいない。
今はまだ……。
まだ進展の途中なのだ。
事の始まりは10ヶ月前の2月14日。
今年のバレンタインデーまで遡る。
あの日、敦賀さんとラブミー部の部室で待ち合わせをした。
先に声をかけてきたのは敦賀さんの方。
バレンタインのチョコも渡したかったし、私の方から会いに行かないとと思っていたんだけど。
仕事が終わってから急いで部室に向かった。
その日は敦賀さんの方が仕事が早く終わる日で、既に部室で待っているはずだった。
だから、急いだ。
早くチョコを渡したかった。
どうしてもチョコを渡したかったから。
敦賀さんの為に初めて作ったチョコを食べてほしいって思ったから。
恋していることは告げられないけれど、せめて心の中でだけは彼を好きだって思っていたかったから。
せめてチョコにだけでも思いを込めたかった。
それだけ。
……それだけだったはずなのに。
「ありがとう。君からチョコレートをもらうのは初めてだね。嬉しいよ。……俺からも君に渡したい物があるんだ。」
そう言って差し出されたのはバラの花束。
とってもきれいなピンクのバラ。
美しく花開く前の蕾のバラ。
バラを優しく包むかわいらしいラッピングはとても品が良くて。
敦賀さんの事だから、実は凄く貴重な品種のバラなんじゃないかって思ったのだけど。
「これはね。俺の気持ち。バラにはたくさんの花言葉があるんだね。色だけじゃなくて、蕾にも花にも棘にも茎にも意味があるんだよ。花屋の人が教えてくれたんだ。」
詳しくはないけど、少しなら知ってるわ。
でも形にまで意味があるのは知らなかった。
「ピンクのバラの蕾の意味は『恋の告白』。」
「っ!?」
「最上キョーコさん。俺はあなたに恋しています。」
うそ…だって、私なんかに敦賀さんが……。
ありえないわ。
「まだ、怖い?恋をするの。」
「………。」
「それもしかたないよね。……でも、今はこれを受け取ってくれないかな?俺の気持ちだけでも知っていてほしいんだ。ちなみにトゲのない品種なんだ。……トゲのないバラの花言葉は”初恋”だよ。」
敦賀さんの好きな人。
初めて恋した相手は当時4つ年下の16歳の高校生だった。
あの時敦賀さんは20歳で私は16。
………敦賀さんの初恋の相手って私なの?
「少しずつでいい。俺を見て。」
敦賀さんの表情に嘘の影はカケラも見えない。
「俺は待つよ。君が俺を見てくれるまで。」
どこまでも穏やかで、どこまでも大人で、子供な私とは全然違う。
そんな人が何故私なんかを?
「今日はね、ただ君に俺の気持ちを伝えたかっただけ。バレンタインデーだからね。海外じゃ男性が好きな女性に愛を語る日なんだよ。」
敦賀さんは嘘をつく人じゃない。
敦賀さんの事は誰よりも信頼できる。
言葉に出来ないでいるけれど、私は敦賀さんに恋をしている。
でも、怖いの。
人の心は永遠じゃない。
今は私が好きでも、いつか素敵な人が現れて私から敦賀さんを奪って行くかもしれない。
その時、私はどうなるだろう。
私はもう子供じゃない。
恋をして盲目的に尽くすだけの一方的な恋で満足する程純粋ではない。
そんな今の私がこれ以上の欲を知ってしまったらどうなるの?
また捨てられたら……、敦賀さんが私を好きでなくなってしまったら……。
そんな時がきたら、私は……。
私はきっと壊れてしまう。
ショータローの時の比じゃないくらいに壊れてしまう。
きっと耐えきれない。
だって、これは本当の恋だから。
差し出されたままのバラの花。
敦賀さんの気持ち。
私の反応を見て切なそうな顔をしている敦賀さん。
これを受け取らず……敦賀さんの気持ちを無にするの?
敦賀さんは私が……好き。
私は敦賀さんが好き。
でも怖い。
でも……。
少しだけ勇気を出してみよう。
少しだけ前に進んでみよう。
私は震える手でバラに手を伸ばした。
受け取る際に彼の手に指先が触れ、頬が染まる感覚を覚えた。
「ありがとうございます。」
受け取ったバラの花束を抱き寄せて、顔を隠す。
「あの……。」
「何?」
「バラの花……また下さいますか?」
この花が敦賀さんの気持ちなら、もっと欲しい。
もっと欲しい。
「いいよ。あげる。毎日だって届けるよ。」
この日から毎日届くバラの花。
壊れて止まっていたはずの時計が動き出すように、私の恋も少しずつ動き始めた瞬間。
◆◇◆◇◆
案内したのはダイニング。
「どうぞ、座って下さい。」
そんなに大きくはないけれど、気に入って買ったテーブル。
それを高級レストランの雰囲気も意識してセッティングした。
後はメインのお料理をセットするだけ。
「先にプレゼント渡してもいいかな。」
引きとめられて正面から向き合う。
改まると…気恥ずかしい。
「二十歳の誕生日、おめでとう。」
今日のバラは思い出のバラ。
17歳の誕生日に貰ったクィーンローザ。
一抱えもある大きなバラの花束だ。
でもまだ蕾。
「赤いバラの花言葉は”あなたに尽くします”だよ。」
敦賀さんの気持ちはあの日から変わってない。
変わらず私を好きでいてくれている。
「…あ…ありがとう…ございます。」
恥ずかしさをおして花束を受け取った。
チャリっと音がして持ち手の部分を見るとリボンにキレイなチャームが付いていた。
「かわいい……。」
あれ?
これって……。
「それはブレスレットだよ。貸して見て。」
持ち手にチェーンを巻き付けていただけだったようで留め金を外しただけで取り外せた。
チャームは薄いピンクの石がバラの花弁をおもわせるようにいくつも埋め込まれていた。
「ローズクォーツだよ。高い石ではないけど……。」
「でも、凄く高そう。……あっ…留め金にptっ刻印が。しかもアルマンディロゴまで!」
「気にしないで。今は黙って受け取って。」
「強引ですね。」
「たまにはね。強気で押す事も必要だよ。」
「今までの経験上ですか?」
「学習能力だよ。君にしか適用しない。ラブミー部のラスボスだからね。君は。貰ってくれるよね?」
「……高価なものはもうやめて下さいね。」
「それは約束できません。君とは将来も考えてるからね。」
いつになく強気の敦賀さんに押し切られ、ブレスレットが私の右手首を飾る。
「安心したら、お腹が空いたな。」
「……。」
まさか……。
「受け取って貰えなかったらどうしようって不安で食事が喉から通らなくてロクに食べてなかったから…。」
「!?」
まさか……。
まさか、まさかのまさか…。
「ここ連日そうだったなんていいませんよね?」
「……黙秘します。」
「沈黙は肯定って言ったのはあなたでしょ!」
「だって、ねぇ?」
「モーーーーーッ!」
「それ、琴南さんの口ぐせ…。あっ…だからモー子さんなの?今気づいたよ。」
「そんな事よりごはんです!敦賀さんったら、全然食生活進歩してないんだからっ!モーーーーーッ!」
敦賀さんを椅子に座らせて、キッチンに入る。
オーブンレンジは既に止まっていたけれど、中のポットパイは余熱でまだ熱い。
ミトンで掴んで、ポットパイを器ごと別の皿に乗せてテーブルに運んだ。
明日からの敦賀さんのごはんも考えた方がいいわ。
むしろ考えなきゃタメだわ。
「敦賀さん、明日から出来る限り私が食事を用意します。出かける前にここに立ち寄って下さい!」
たまにお食事を作りにお邪魔していたけど、たまにじゃダメだわ。
しっかり管理しないとまた食べずにいそうだもの。
「いいの?」
いいも何もそうするしかないでしょう!
「やっと同じ屋根の下っていう実感ごがわいたよ。」
「破廉恥な言い方はやめて下さい!」
そう、だるまやを出てからの私の新居は敦賀さんと同じマンションの階下だったりするのだ。
だから敦賀さんの食事の管理なんてやろうと思えばいつでもできたのだ。
…でも、敦賀さんは若くて素敵な男性なわけだし、私は未婚の女性なわけだし。
そんな私達が頻繁に互いの部屋を行き来するらのはどうかと思って控えていたのに……この人ときたら!
「明日からよろしくね。」
確信犯!?
「今日は泊まらせてもらおかうかな?」
「それはダメ!」
「………。」
少しずつ進む恋時計。
盤円を飾るのはバラの花。
バラの花に彩られた私の恋の花時計。
昨日より今日。
今日より明日。
バラの数だけ私は彼を好きになる。
恋する勇気が満たされるまで…あともう少し。
毎日バラのプレゼント。
普通ならドン引き間違いなし。
進行レベルは地球周期…小宇宙規模。
バレンタインから始まって、キョコ蓮誕生日経由のバレンタイン着地のつもりがまだここまで。
すいませんm(_ _)m
月華は今月末は不在。
故に続きは間に合わないかも。
ごめんなさいm(_ _)m
御三方、すいません。
それではまた。
月華