冬休みに男になった俺は新たな気持ちで後期を迎えた。何てことは考えていない


中期も短かったが後期はあっという間だ。

あれっ、後期の部屋っ子は誰だっけ?
と言うくらい覚えていない。

確か部屋長は覚えている。
陸上要員でがっしりした体格の柔道部、涙ぼくろが特徴のGJさん、とても優しい先輩
彼こそ後期部屋長の代表だ。
1度だけ卒業後に会った。
俺の方が階級が上だった。ごめんなさい。

覚えているイベントは留年がかかったリベンジの後期試験と卒業式くらい。
2学年になれるのは嬉しいけどカッター訓練が始まるのが怖かったなー

後期になると容儀点検に落ちることがほとんどなくなる。俺の場合は留年がかかっていたから、とにかく、試験だなー、やっぱり

① 後期試験

『防大1学年の教育訓練』俺は子供の頃からBCLやハム等の電気が好きで電気か電子に進みたかった。将来は社長になるのが夢だった。でも、残念ながら防大に入った。勉学意欲はあったが日々の学生…リンク死生観について…

 これに書いた通り、3科目6単位を落としたが、見事に比較的優秀な成績で1学年の後期試験が終わった。


② 卒業式
防大卒業後では自衛隊の最高指揮官たる総理大臣から直々に卒業証書を受けとる。
いつもかなりの数の報道者が来る。
首相の訓示がいつも取り上げられる。
定番は帽子投げ。
式典の終わりの「解散!」の号令を合図に、卒業生は、高々と帽子を投げる。


テレビ放送されるのは、首相訓示、卒業証書授与、帽子投げが定番だ。
たまには、その後を放送したら面白いのに。
なぜ、卒業生は走るのか?
投げた帽子はどうなるのか?
任官拒否はどうなるのか?

卒業生が走るのは忙しいから。
卒業証書授与式の後にはパレードがある。
まず、自分の部屋に戻る。
1学年が準備してくれた、ピカピカの陸海空曹長の階級章つきの制服に着替える。
直ぐに舎前に集合する。
代表学生(学生隊学生長)が指揮官になりパレードする。首相以下スーパーV.I.P.を待たせられない。なんせ首相は多忙だから…
式が終わると🚁で官邸に戻る。

卒業式で投げられた帽子は1学年が拾って4学年の部屋に一つ一つ配る。椅子が倒れてグチャグチャになった会場を撤収するのも、もちろん、1学年の仕事だ。

任官拒否者は卒業証書はもらえる。
でも、首相からではない。
卒業式にも出られない。
と聞いたことがある。
でも、真偽のほどは分からない。

華々しく見える卒業式が滞りなく進むのは裏で1学年達が汗を流して作業してるから。

人物紹介
〇中村3陸佐:中隊指導官、口ぐせ「老婆心ながら」は彼から初めて聞いた。そもそも、クソガキだったので漢字がイメージできない。老婆、ロバ??
18歳の若者から見るとジジイに見えた。当時はまだCGSを終わってきたとしても、30代前半なのに…
〇伊東1陸尉:前期の小隊指導官、真四角な顔して目が細かった。残ってるのは名前だけかな?
彼もCGSの勉強をしていたのかな?

防大生は、小・中・大隊指導官、訓練部長、監事などの自衛官は怖くない。
なぜなら、余程のことをしない限り、指導官に呼ばれて怒られることはまずない。指導官室の入室動作でやり直しを食うこともない。
だから、卒業して初めて、2陸尉が部隊に行くと、偉いことがわかる。

なんせ、俺の時の監事は、いつもニコニコしてジャージを着て走っていた。
俺達からするとただのジジイ。
後になって監事は総監待ちポストと知る。
同期のトップ3に入っている。
俺の同期が2019年から総監に就いてるから既に俺も監事の年齢を越えた。
防大監事なんて暇なんだろうなー
陸幕副長や師団長よりよほど楽だ。
防大では学生がよほど大きな不祥事したり、何百人の任官拒否が出ない限り、平々凡々とした日々が送れる。
迷彩服や戦闘靴を履くこともない。
検閲も視察もない。
防大卒の監事なら卒業以来の人もいる。
一般大卒だったら初めての人もいる。

辛くて長かったのは前期だけ。
中期~後期は加速度的に過ぎていく。
前期さえクリアー出来れば何とかなる。

とうとう、あのカッター訓練が始まる…

(防大1学年 完)