立て板に水の如くいつも流暢でそして堂々とした発言で有名なアライさんですが、今季最終戦後のファンに向けた挨拶は彼としてはとても珍しい「噛み噛みのスピーチ」でした。それくらいに彼にとっても本意ではない内容でありながら、それでもやっていかなければならないというまさに「覚悟と決意」をもって、彼が身を削って心の底から絞り出したコトバだったからだと思います。
来季は変化の年。決して少なくない数の代表的な選手達が、チームの中心からそしてこの球団から去っていくのかもしれません。ココロとカラダの強いチームと選手を育てていく。痛みを伴って変わっていかなければならない。それを受け止めなければならない我々ファンも同じ痛みを伴う変化になるのでしょうね。
アライさんの「最終盤のチームの失速は監督である私の力不足」というコトバに、励ましの拍手も痛烈なヤジもなく、シンと静まり返ったスタジアム。「監督の責任」というコトバに対して誰も異を唱えないシラケた静寂の厳しさを感じるとともに、小生には「そうじゃねえぞアライさんよ!」という鯉党の無言のエールのようにも思えました。
9月の無策の大失速で優勝を逃したことを捉えて「全く何の意味のない、まさに何もなかったシーズンじゃったの」と偉そうに総括して今シーズンの新井カープの戦いを全否定する奴がいます。そんな奴らには勝手に言わせておけばいいのです。そりゃ確かにそうじゃけどの、という思いとともに、そんな訳ねぇだろ、貧打に苦しむ鯉諸君がそれでも必死のパッチの戦いで8月まで首位を走ってきた今季の彼らの姿をテメェは見てこんかったんかよ、という思いもあります。
そりゃ9月の失速は間違いなく大失態でしたけど、それでも8月まで鯉の野球に一喜一憂で十分楽しませてもろうたよ、今年もありがとう。来年はさらに厳しいがよろしゅう頼みます。負け惜しみながら、それが小生の素直な率直な思いでございます。まぁアライさんの挨拶話はこの辺までにしておきます。
もとい。
野村クンの引退試合。140キロのストレートの球威を見るに、まだまだ投げれるじゃろという思いもありましたが、最初の打者から彼の生命線である「制球」「コマンド」がままならない球道を見ると、やはり厳しいのかなという思いも交錯する投球でしたかね。ホントにお疲れ様でした。
ルーキーイヤーからの大活躍、その後は少し苦しみましたが見事に蘇り、2016年の25年ぶりの鯉の優勝はマエケンが抜けた後の野村クンの16勝最多勝がなければ成し遂げられなかったと思いますわ。三連覇の投手陣をどっしり支えてくれました。
まぁ150キロ超を投げる投手が殆どのスピード時代ですけどね、直球とフォークだけでガンガン三振とって勝ちまくる投手も素晴らしいのですが、これぞ投球術!という野村クンのピッチングはまさに野球の面白さが凝縮された「投手と捕手と打者の駆け引き」を堪能させてくれました。これが見れなくなるのはホントに寂しい限りです。
試合後の引退セレモニー、それまで冷静を保っていた野村クンの顔が一瞬にして崩れた場面がありましたね。広陵高校時代の恩師の中井監督と明治大学時代の恩師の善波氏が二人揃って花束を持って場内に登場した瞬間でした。いやぁこれは反則技でしたな。そりゃ泣いちゃいますって。
プロ野球の華やかな世界に飛び込む前の、自分のいい時もそして苦しい時もその全てを知っている恩師達。小生も思わず目頭が熱くなりました。引退セレモニーに高校と大学の野球部の監督が揃って登場!なんて小生も過去にあまり記憶にありません。それだけ野村クンが「広陵&明治というキャリアを持つ選手の代表格、まさにその代名詞」ということですわな。素晴らしいシーンでした。
因みに野村クンの最終登板。先頭の長岡クンにセンター前ヒット打たれ(最多安打記録もかかってますからね)、2番並木クンにもボール球が先行しますがセカンドゴロ(この辺から燕さんの「青木&コータロー引退試合の恩返しモード」でしたかね、笑)。3番丸山クンは明治大の直系後輩ですからね。これまたボール先行しちゃいますが最後はきっちり空振り三振(ちょいとスイングが芝居がかってましたな、笑、さすが明治魂)。
で、2死2塁で4番村上クン。いやあ村上クンに容赦無く特大2ラン打たれそうだなぁ、まぁそれもええ思い出か、完全なストライク球をボールに判定された後にライトスタンドに放り込んでもらう演出でもええかの、佐賀北かよ!(笑)とか思いながら見てましたが、村上クンは1球目と2球目の真ん中付近の139キロのホームランボールを静かにそっと見逃しました。2ストライク。場内が盛り上がります。立ち上がりスタンディングオベーションの鯉党たち。
3球目はベース盤の上を通過して低目のボールゾーンに沈んでいくチェンジアップでした。まさに野村クンの生命線の球。これに村上クンが思い切りスイングしてくれましたよ。バットとボールは50センチくらい離れてましたけどね(笑)。見事なまでの「忖度チックな空振り三振」でしたわ。大歓声に包まれるマツダスタジアム。アツがマウンドに歩み寄り、菊池が加わって歓喜の輪が出来ます。あれ?そういえば今日はコースケさんがショートを守る筈だったんでは?野村の後ろを守るたタナキクの二遊間が見たかったですなぁ。ほいで何をしよんならコースケさんよ(苦笑)。
ありがとう村上くん!大人になったなぁと思いつつ、そういや村上クン自身の初ホームランは神宮球場で鯉の岡田クンからライトスタンドにぶち込んで、ルーキーがいきなりド派手なガッツポーズしながらダイヤモンド一周したもんだからクソ生意気だとか批判を買ってたなぁとか思い出しちゃいました(懐かし)。
そんな村上クンももう球界のリーダー。青木先輩の帝王学を学び、野球界全体を見渡す視野を学ぶ男。別に引退試合で相手に花を持たせる八百長もどきの対戦を褒めて推奨する訳でもなんでもないですし、それこそ燕さんは「勝てば5位負ければ最下位」という大事な試合の中でしたが、それでもこうやって相手をリスペクトする彼の振る舞いに少しだけ感動しちゃいました。改めてありがとう、丸山くん、村上くん、そして高津さんはじめ燕選手諸君!燕応援団の皆さん。来季はお互いに10月の主役となりましょうぞ!
もとい。
最終戦では、多くの「鯉の新人」が躍動してくれましたな。投げる方では滝田クンも高クンもサウスポーから繰り出す150キロ超のストレートが素晴らしかったです。来季は更に左腕天国となるのでしょうか、楽しみです。
打線の方は、なんと4番ファースト仲田侑仁(19歳沖縄尚学)、7番サード内田湘大(20歳利根商)でございます。二人とも初ヒットを放つ強心臓っぷりを見せてくれましたな。おめでとう。ここから長いプロ野球人生です。
しかし二人とも身体が上にも横にもデカイですよね。内田クンが183センチ、仲田クンは187センチで100キロ超え。今でこそマッチョな身体の鈴木誠也クンも二松学舎から入団した時は細身でヒョロっとしてましたが、この二人はもう既にプロ野球選手の身体ですもんね、いやぁ楽しみです。イケメンという意味ではなく(笑)、野球人としての面構えもかなりイイ!感じですので活躍してくれる筈(この「面構え」ってかなり重要な要素だと小生は思ってます、笑)。
この超若手の二人に加えて、田村(21歳)、二俣(21歳)、小園(24歳)、奨成(25歳)、矢野(25歳)あたりが並ぶこの打線はワクワク感たっぷりでした。ここまでのフル入れ替えとは言いませんが、それこそ1ヶ月前に若い力を少しだけで投入して新しい風を入れてみて欲しかったですね。
もとい。
鯉の今シーズンが終了。最終戦は色んなことが詰め込まれた1日でございました。ということで、今シーズンはCSも日本シリーズもないので(悲)、弊ブログを書くのもあと何度かだけになりそうですがドラフトも含めてもう少しだけ更新する予定でおりますのでよろしくお願いいたします。
皆様、今シーズンもお疲れさまでした!
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