2017年1月22日(日)

河津郡湯ヶ野

明治二十二年創業

伊豆の踊り子の宿

 

 

踊り子号に乗って、伊豆の踊子の宿へ。

日本秘湯を守る会の福田家

 

 

言わずもがなですが、

川端康成の「伊豆の踊子」の

舞台になった宿です。

 

2階の部屋にいる主人公が、

対岸の共同湯から裸で手を振る

踊子を見て驚きながらも、

まだ子どもなんだと安堵する描写は、

日本文学史上の名シーン。

 

 

「伊豆の踊子」は、

1933年の田中絹代さんと

大日方傳さん主演の無声映画を始めとして、

これまで計6本撮影されています。

美空ひばりさんと石濱朗さん(1954年)、

吉永小百合さんと桃太郎侍(1963年)も、

主役になっています。

 

 

僕の世代だと、なんといっても

山口百恵さんと三浦友和さん(1974年)の

映画という印象が強いですね。

もちろん映画の全作品に福田家さんは、

ロケ地としても登場しています。

 

館内には、出演者のサインが多数。

ただ面白いのは、宿のご主人も言ってましたが、

内藤洋子さん(1967年)と

山口百恵さん主演の2作品は

原作に忠実だけど、前の4作品は、

オリジナルなストーリーが付け加えられています。

 

89年前の1933年の作品を見たのですが、

かなりアレンジされていました。

興味深いのは、字幕の日本語が

現代の話し言葉とほとんど変わらない事。

 

そうそうテレビドラマでは

荻原聖人さん(1992年)、

木村拓哉さん(1993年)も、

主人公の一高生を演じているんですね。

 

 

僕が泊まった部屋は「思ひ出」。

 

 

増築した時に川端康成が、

最初に宿泊して名付けたとの事です。

 

 

文豪の息吹を感じます。

 

 

「伊豆の踊子」の文庫本が

部屋に置いてあったので、

作品の舞台で読む至福の時を過ごしました。

 

 

館内の地下、脱衣所から階段を降ります。

 

 

主人公である一高生の

「私」も入浴した榧(かや)風呂。

 

 

源泉掛け流しの露天風呂

 

川端青年が泊まった部屋、

 

撮影に使われた部屋も残っており、

宿泊できます。

 

日本の文学史に大きな影響を及ぼした宿。

日本の貴重な財産ですね。

 

 

そうそう、昔の宿泊台帳。

太宰治も泊まっています。

ばっちり三鷹の住所も記載w

 

昭和15(1940)年7月かな。

「走れメロス」を世に出した後。

精神的にも安定していた時期。

 

裸で手を振る踊子とは

出会えませんでしたが、

日本文学史上の希少な財産と、

出会うことができた旅でした。