個性を生かし、うまくまとまるのが「ブレンドコーヒー」だ | B&Fab「本」と「ものづくり」と「珈琲」

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「ブレンドコーヒー」の定義って何だろう?

コーヒーを扱っているお店では必ずあるブレンドコーヒー、通称「ブレンド」。

缶コーヒーやインスタントコーヒーでも「ブレンド」の名が付いているものは、とても多い。

なぜ「ブレンド」なのだろうか?


ブレンド(blend):よく混ぜ合わせる、混和する、(茶、酒、タバコなど)混合する
*出典:リーダーズ英和辞典(研究社)

そう、「ブレンドコーヒー」は、いろいろな種類の豆を混ぜ合わせて作るコーヒーだ。


コーヒー豆の種類は産地で分類される。

例えば、ブラジル、コロンビア、キリマンジャロ、モカ、マンデリン、ガテマラ……。

それぞれの産地で風味に特徴があるとされている。

例えば、ブラジルは苦味と甘み、キリマンジャロは酸味、モカは香り等々。


それぞれのコーヒー豆を単独でそのまま飲むのをストレートと呼ぶ。

ストレートでも十分にコーヒーの美味しさを味わうことができる。

それでも、みな「ブレンド」を作る。

なぜなら、「ブレンド」がそのお店の顔になるから。


「ブレンド」を作るには、まず味のベースになる豆を決める。

ストレートでの味の特徴を踏まえて、自分の作りたい「ブレンド」のイメージを頭に描きながら。

そして、ベースに合わせる豆を考える。

ベースと同系統で個性をより引き立たせたり、ベースの特徴を抑えるように配合したり。

ベースに少ないテイストを加えてみたり。

その組み合わせは無数で、自由で、そしてなかなか思うイメージに近づかない。


何度も何度も試行錯誤を繰り返す。

出来たと思っても、次の日になると何か違っている気がする。

足したり引いたり何度もやっていると、根本的に間違っているのではないかと不安になる。

自信がなくなり、他人に聞いてみてひと安心するが、しばらくすると余計にわからなくなる。


「ん……?」

「これは……、何かに似ているぞ!」

そうだ、プロジェクト管理をしているときの感覚と同じだ。


個性の強いメンバーを集めて、新たなものを生み出そうとするときのプロジェクト。

プロジェクトの体制を、どうすればメンバーの特徴を活かせるのか?

どうすればケンカしないのか?

どうすればより良い結果を生み出せるのか?


試行錯誤を繰り返し、問題が発生し、ようやく解決したと思ったら、また別の問題が。

良かれと思ってやったことが裏目に出て。

まとまりかけたものが、ちょっとしたきっかけで崩れていく。


たいへんなプロジェクトほど、目的を達成したときの喜びは格別であることは間違いない。

癖の強い連中を、なだめたりスカしたり、褒めたり咎めたり。

苦労して、投げ出したくなって、逃げたくなって、それでも何かを信じて続けてきて。

そんなプロジェクトだからこそ、人の心に届くようなものが作れるのだ。


「……」

そうか、ブレンド作りはプロジェクト作りに通じるのか。

だとすると、完成することは永遠にないのかもしれない。


僕はいま、終わりのない道の一歩を踏み出してしまったのだ。

飲む人が笑顔になることを、ただそれだけを思いながら。


(了)