日本と西欧の500年史⓮  西尾幹二著(2024年発行) | ウインのワクワク「LIFE」

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本書から】

 

第四章 欧米の太平洋侵略と江戸時代の日本 

「科学」と「宗教」とは対立概念では決してない。一体化した相関関係にある。

 

コペルニクスの地動説の背後に非合理な太陽神話があったと私は書いたが、ケプラーが実験ですぐに正確に正したので~誤解の余地はない。ところが『種の起源』のダーウィンだけは今でも簡単ではない。「人間が猿から生まれた?とんでもない!」~。

 

信長と秀吉の時代のパワーは世界最強の陸軍であったとよくいわれている。なぜ16世紀の巨大な軍事力が、17世紀に入って間もなくほぼ完璧な域の武装解除を引き起こしたのだろう。~徳川幕府が全国の鉄砲をかき集めてお寺の釣鐘に鋳造し直したなどと伝えられる武力放棄~。

 

私はそもそも江戸時代の日本人は自国を取り巻く海、とりわけ太平洋がどういう存在であるかをほとんど認識できていなかったのではないかという疑念を抱く。

 

当時、シナ大陸とアメリカ大陸とを結ぶ太平洋航路は存在しなかった。それは当然である。1835年のペリーの浦賀来航時にもまだ開かれていなかった。ペリーを乗せた蒸気船は喜望峰を回ってインド洋経由で日本にやって来たのである。