フランスとアフリカの「特別な関係」 丸谷 元人著 | ウインのワクワク「LIFE」

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 なぜフランスがアフリカ諸国をそんなに統治できるのか、という問いについては、あまり日本では聞かれることはありません。その最大の秘密というのは、フランスが通貨を支配しているからということであります。

 

 14か国がアフリカフラン(C*AF)を使用しております。彼らは実はフランスとの協定によってアフリカフランの使用を義務付けられているわけなのですけれども~。

*CはColonise植民地の意味

 

 実はこのアフリカフラン、フランスフランとは全く切り離された通貨ではあるのですが~ユーロとの交換レートの決定権は、実はフランスが独占的に占有している。

 

 政府金利ですとか資金の市場への投入等、いわゆるすべての政府の金融政策というものがフランスとの各種協定によって制限されており、彼ら、このアフリカの14カ国には自主決定権がないということなのです。

 

 実はフランスというのは大きな税収があるのです。それが実は、この14カ国のアフリカ諸国はフランスに対して「植民地税」をまだ払っているということなのです。

 

 「この協定をのめば独立させてやる」ということで、フランスは1960年ごろから独立をいろいろと認めたのですが、「このCAF諸国、14カ国の外貨準備金の85%は、自動的に共同準備金としてフランス政府に預けなければならない」というふうなルールがあります。

 

 自分たちの預けたはずのお金に14カ国がアクセスできるのはなんとわずか15%しかない、ということなのです。

 

 15%を0.1%でも超えた分に関しましては、実はフランス中央銀行からの借り入れになってしまうと。借り入れということは利子を払わなければならない、ということになってしまうのです。それから借り入れの上限額に関しましては借主の税収の20%まで~。

 

 14カ国の国々が、資源の輸出等さまざまなビジネスや、自分たちが頑張ったビジネス等で得た外貨というのは、フランス中央銀行が当然海外の金融市場でもこの通り運用するわけですけれども、そこで得たその「運用益」というのは、実は再びこの14カ国に対する「借款」という形で使用されます。~つまり、われわれのお金ではないということです。使わせてはくれますけども、経済援助や借款で返ってくる。

 

 例えば、このアフリカフランを使用する14カ国の多くは豊富な天然資源を有しているのですけれども、統一されてフランスの強い支配下にある通貨を使用することで、フランスは価値ある資源を実に安価に、かつ安定的に自国に供給することができるのです。

 

 この14カ国のアフリカ諸国、CFA使用諸国は、今日もなおフランスに対して「植民地税」、植民地からの税金、「コロニアルタックス」というものを支払っています。その額は何と毎年5000億ドル、日本円にして56兆円です。日本の政府の税収がおそらく50兆、60兆ぐらいかと~。

 

 これを初めて勉強しましたとき私は、「だからフランスはあれだけ働かなくてもあれだけ良い暮らしができて、国際社会に対する大きな発言力もあり~」ということを納得したわけです。

 

 CAF使用国の食料もまともにないようながりがりの人たちが、自分たちの作ったものを全部フランスにただで食べさせてあげているという状況がフランスの力の根源ということなのです。

 

 この14カ国の新興独立国家、旧植民地諸国、フランスの植民地諸国は、「植民地時代にフランスが建設した各種インフラの代金を独立にあたって支払いなさい」ということを約束させられています。

 

 すべての政府関係の事業、例えば「インフラを造ります、新たに橋を造ります」と、そういうものは、フランス企業が最初に契約先として検討され、あるいは入札対象として検討されなければならない。

 

 フランスは、旧植民地諸国軍の兵器についてフランス製を独占的に販売する権利をを持ち、しかもその旧植民地の軍人たちはフランス軍によって訓練を受けなければならない、というものです。

 

 事実、フランスで訓練を受けた将校の多くが、これら旧植民地国で産まれてきた独立派リーダーたちをクーデター等で殺害してきたのです。そのバックでフランスがうごめいていた、この状況は本当に今日でも続いています。

 

 フランスは旧植民地において、フランス軍を事前に駐屯させて必要に応じて軍事介入を行う権利を有する、と言われています。

 

 旧植民地における公用語はフランス語とし、すべての教育はフランス語でなければならない、というふうになっているのです。

 

 一方面白いのが、旧植民地諸国における年次財務状況、政府の年次財務レポートというのは、すべてフランス政府に遺漏なく報告されなければならないのです。

 

 当然これはマフィアのシマと同じ話ですから、フランス政府の許可なしに第三国と軍事同盟を結んではならないと。

 

 こういう状況は実は、フランスとアフリカ諸国の「特別な関係」と言われるものの実態ではないかな、というふうに思っています。