読書は好きである。そのほぼすべてが小説だが最近一部のエッセーも。これは後述。
若いころから、新田次郎、吉村昭、井上靖、推理系では横溝正史、江戸川乱歩、海外ではヘッセ等々。
他にも最近では楡修平、白川道、志水辰雄、古いところでは、田山花袋、菊池寛、歴史ものでは、司馬遼太郎、大仏次郎等々
そして作品では「フランケンシュタインの怪物」「透明人間の告白」「ジキルとハイド」「リプレイ」・・・

簡単に言えば乱読。手あたり次第。

その中でこの二三年、よく読む作家、池波正太郎。
言うまでもなく、テレビの「鬼平犯科帳」の原作者。
あまたある作品の中で、代表作は一般的には、鬼平の他に「仕掛人藤枝梅安」「剣客商売」となるが、そこに「真田太平記」は加えたい。もちろん他にも、色々あるのだが、大作というとこれら。(決して彼の作品全てを読破したわけではありません)

池波正太郎の作品で、もう一つ重要なジャンルがエッセイ。

「食卓の情景」「散歩のとき何か食べたくなって」「銀座日記」は外せない。
食いしん坊の私は、食卓の情景を読んだところから池波ワールドに取り込まれてしまった。

その内容云々を言うことはしないが、好ましく感じるのは、自分の考え、というものを非常に強く持っている人で、それを素直に表現されている感がする。彼のもつ文化論、価値観をストレートの表現されているのが気持ちいい。
私個人は彼の考え方すべてに共感するわけではないし、彼の書く映画論についていくだけの知識もない。
ただ、一人の人間としての考え方、それが生き方につながるような強烈な主張を含んだ文章、独特のリズム感を持った文章を読むのは、とても楽しい。

もう一つ重要なのが、生と死に関する考え方。生きている間に何をすべきなのか、ここでいう何、というのは具体的なものではなく、どのように生きるべきか、ということに置き換えた方が良いのかもしれない。

この点は50歳台の半ばを過ぎた今だからこそ、強い共感を覚えるのかもしれない。

そして彼の考え方のようなものをある程度理解したうえで読むと同じ文章でもまた新たな発見が生まれる。これが彼の本を繰り返して読む醍醐味のひとつ。

娯楽小説、と言ってしまえばそれまでであるが、その味わいは格別。

ちなみに、神田の「まつや」という蕎麦屋は彼のお気に入りだったそうです。