チカとショウコの矛先がモモに向いた


「一昨日チカの機嫌を損ねてしまった」と昨日ショウコとソーマが落ち込んでいた

模試のあと廊下に出たらショウコとソーマがお通夜みたいなテンションでうなだれていた

カデナちゃんとモモもいた

学校終わるとすぐ帰る私だが様子がおかしいから付き合った

ショウコとソーマはチカに土下座してでも許しを請うつもりだといった

私は教室に行ってチカの様子を見た

その後教室でチカとさりげなく喋って様子を見たり廊下でショウコやソーマと相談したりした

まるでスパイみたいだとみんなで笑った

その後私がタイミングを見てショウコとソーマを誘ってチカの元へ行き、あとは二人に任せた

チカは全く気にしていなかったことが判明し、ショウコとソーマは泣いて喜んだ

カデナの目が潤んでいた

その後チカとショウコとソーマは一緒に去って行った

チカの日記には「いい友達がいっぱいで幸せ」と呟かれていた



今朝、チカに会うとニコニコして「昨日は楽しかった」と言った

最近チカは進路の悩みもあり不眠症気味で暗い表情ばかりだったけど今日は明るい表情だったから安心した


お昼になって、珍しくチカとショウコが教室に残ってモモとソーマが買い出しに行った

いつもは全員で行くのにな、と思った

そしたらショウコが「あいつ嫌い」とか言い出した

へ?と思ったらチカも続けた

私は「誰のこと?」と返した

ショウコが嫌いな人は多過ぎた

そしたらモモのことだった

私はショウコとモモは仲がいいんだと思っていた

趣味も同じだし、よく二人で話していた


ショウコとチカの話はこうだ

昨日あのあとファミレスへ行った

すると堰を切るようにショウコとソーマはモモへの不満と怒りをチカにぶちまけた

あの時、ショウコとソーマが本気で落ち込み、カデナちゃんもうなだれている中でモモだけはニコニコしていた

まあモモはいつだってニコニコしているんだけどさ

カデナちゃんは一昨日の事件のときその場にいなかった

でも本気で心配してショウコ達の成り行きを見守っていた

ところが一昨日の事件のとき一緒にいたモモは自分は関係ないと公言していたしニコニコしていた

二人が真剣に悩んでいるのに彼女は空気を読めずにいつもの調子で喋っていた

それで二人の逆鱗に触れた


一度逆鱗に触れると溜め込んだ怒りや不満が爆発した

ファミレスでずっとソーマとショウコからその話をされたらしい

相手をしたチカの声は嗄れた



「だからあいつのゴミ捨てなくていいよ」とショウコは言った

俺を巻き込むなよ

あの4人は毎日買い食いをしていて、彼女らの出したゴミを私が纏めて捨てていた

私はどうせ自分もゴミを捨てるから、と気にしないでやっていた


悪いことにレイナや他の子の時と違って私はモモに対してはそんなに苛立ちを覚えていなかった(むしろ好き)ため共感がイマイチできなかった

言いたいこともわかるんだけどさ

そして決定的に違ったのは、彼女らが不満に思ったり怒りを覚えたりしていることに私に関することが含まれていること

モモの私への対応が気に入らないらしい

私は別に気にしていないし、それならもっと他につっこむところがあるのだが、言わない

モモにとって私は故郷に残した幼なじみの代わりだし(実際彼女はそう言ってる)

私は別に「ああこの子は田舎が恋しいんだな」で流しているけど

そのことについてチカやショウコは何も言ってないから気にしてないのかもしれないし知らないのかもしれない



とにかく、二人が話している間、ただ呆然とした

何を言えばいいのだろう

レイナのときはチカは緩やかに時間をかけて丁寧に離れていってからレイナが嫌いだと私達に言った

隣のクラスの子のときははっきりと相手に嫌いだと宣言したしそもそも学校が終わった後のチカの夜の遊び友達だったからチカとは校内でしか付き合いのない私には関係なかった

でも今回は昨日まで仲良くどんなときも一緒にいた仲間なわけで、距離も置いていなければ私にとって他人でもなかった


私は引き攣った笑みを浮かべて「どうせ試験始まれば会わなくなるんだし、モモは故郷(隣県)に帰ってもう仕事で会うこともなくなるんだから、もう少しの辛抱だから、ね?」と言った

彼女らは隣のクラスの子のようにはっきり本人に嫌いだと宣言するようなことはしないと言った

その会話の直後にソーマとモモは帰ってきた

私は俯いてお弁当の残りを食べた

やっと味がした

彼女らの会話を聞きたくなくて、隣のメグミと話をしていた

テンション下がっていたから今までの面接の懺悔になった

お弁当食べ終わった頃にはチカ達もほとんど食べ終わっていた

ショウコがお弁当のゴミを手渡してきた

目で合図する

引き攣った顔で首を振る

俺を巻き込むな

モモの後ろには弁当のゴミがあった

モモはまだ食べていた

私はジュースを出来るだけ時間をかけて飲むことで時間をかせいだ

ショウコはこちらを見る形でチカにもたれていた

いつもの光景

ただ時折ショウコの目がモモを睨んでいた

アピールすんな

モモのゴミも纏めて捨てた

ゴミをモモから受けとったとき、ショウコの目が怖かった

その後も私は自分の席でうなだれていた

いつもなら彼女らのとこで喋るのだが、今日は無理だった

ショウコの目が怖い

これ以上彼女らに深入りするのはやめようと思った

特に彼女の私を呼ぶ呼び方が気に入らないらしいから、私は近づかない方がいいと感じた

だって、まだ二年生残ってる

怖い


放課後、チカとショウコとソーマが廊下に固まって楽しそうに話していた

私はその横を通るときに確かに聞いた

「あの子全然気にしてないよ」
「今日一日話してないのに」
「気づかないのかな」

他の教室にモモはいて、カデナちゃん達と何かを話していた

内容は聞こえなかったが楽しそうだった

これ以上進行しなければいいのにと思った

怖いから私は早々に学校を去った



心のどこかで次は自分かもしれない恐怖と自分が標的じゃなかった安堵が共存している

どこで踏み外したんだろう

あの時ソラについて行けばよかったなあ

あと、彼女らと一応距離を保っていてよかった

大分接近したけどあくまでも私は「校内のお付き合い」に留めていた

放課後一緒に勉強もしないしご飯も行かない

カラオケにも飲みにも行かない

その距離が少し寂しかったこともあったけど、今はそれが有り難い


やっぱり近すぎると相手の粗が見えるからね

チカやショウコはそれが駄目だった


受験期だからってお前ら荒みすぎ

明日からどう接すればいいんだよ

つらすぎんだろ


私には矛先が向かなければいい

結局自分が一番かわいいんだよ

私を大事な幼なじみとほとんど同一視するモモの幻想は壊したくないんだけどな

もう面倒だから遠方組みんなまとめて田舎帰れよ

それでいいじゃない


そして来月の合宿の存在が更に絶望的にさせる

はあ