マトリズム vs 麻薬をやめ続ける人生 | katoo the world

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覚醒剤を使用したとして、大阪府警鶴見署は、覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで、大阪市立大宮小学校の男性教諭(33)を逮捕したと発表した。「ストレス発散のために使った」と容疑を認めている。


同署によると、容疑者が「部屋が盗聴されているようだ」と110番。言動が不審で駆け付けた同署員に「覚醒剤を使った」と話したため尿検査をしたところ、覚醒剤の成分が検出された。同署は覚醒剤の使用状況や入手経路を調べる。


鈴木マサカズ著「マトリズム」と言うマンガが面白い。


現代社会に蔓延する薬物とその中毒者。

そして、彼等を捜査する麻薬取締官、通称「マトリ」。


善良な一般市民がどの様に麻薬に溺れ、溺れた事でどの様な顛末を辿るのかを、淡々と描く薬物犯罪ドキュメント。


衝撃的なのが社会人、主婦、大学生、フリーターと言った我々と何ら変わらない平凡な人々が、麻薬に手を出してしまう心理だ。


疲れていたから。

興味が有ったから。

退屈だったから。

友達に勧められたから。

寂しかったから


そんな誰しもの心に潜む闇に、麻薬はスルリと入り込む。

一度入り込んでしまえば、自らが麻薬の異常性に気付く事も無く、「そう言うモノ」として受け入れてしまう。


生活は徐々に荒んで行き、引き返せなくなった時に麻薬の恐ろしさに気付くが、もう遅い。


正直な所、私も麻薬に全く興味が無いと言うとウソになる。

いや、非常に興味が有ると言っても過言では無い。


そんな私であるから、この漫画に出会えて本当に良かったと感じている。


本作のテーマになっているのが「誰もがみんな、あちら側に墜ちる可能性がある」と言うフレーズ。


登場人物が正義の味方や超人、スーパーサイヤ人、極悪人で無く、我々と変わらない一般人であり、自然と登場人物視点で観れる。


あちら側に墜ちる瞬間ですら、違和感無く観れてしまう現実にハッとする。


そう、コレは有ったかも知れない、別の世界線での私自身なのだ。


マンガ内には、生徒から取り上げた大麻にハマって人生を狂わせた教師が登場する。


学校でも明らかに挙動がおかしくなった教師は、ついに教え子によってマトリに通報されてしまい、職を失ってしまう。


今回、「部屋が盗聴されているようだ」と110番した、小学校教諭が覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕された。


幻覚、幻聴、妄想が実感出来た時点で、既に手遅れな中毒状況になっているのだが、それでも自ら110番出来ただけ運が良かったのかも知れない。


「マトリズム」の麻薬中毒教師は逮捕された事で、「これ以上麻薬に溺れなくて良かった」と涙を流すのだ。


ただ、一度あちら側に墜ちると、その後の人生は決してこちら側には戻れない。


麻薬中毒から社会復帰した人物が言っていた。


「麻薬中毒に完治は無い。一日一日、麻薬をやめ続ける為に必死で生きている」


私も近々で非常に辛い想いをしたし、心が闇に包まれもしたが、この言葉を覚えておけば、少なくとも薬物に手を出す可能性は、幾分か減ると思いたい。


かとぅ