インターネット上で大きな話題を集めた「100日後に死ぬワニ」は、漫画家でイラストレーターのきくちゆうきさんが昨年12月12日から自身のツイッターで連載を始めた4コマ漫画。
主人公のワニのほのぼのとした日常を描きながら、漫画の末尾では「死まであと○日」とカウントダウンが進むギャップで反響が広がり、きくちさんのツイッターのフォロワーは増え続けて200万人を突破した。
100日目を迎えた20日夜に完結し、「マジ泣けた」「最後まで素敵なワニでした。ありがとう」などと感想が飛び交ったが、完結と前後して発表された書籍化決定、映画化決定、グッズ販売やイベント開催もといった内容告知が批判を集めた。
個人のツイッターアカウントから始まった漫画の大がかりな展開に、全ては広告会社が裏で仕組んでいたのではという見方が広がり、21日には「電通案件」という言葉がツイッターでトレンド入りし、「ワニはステマ(ステルスマーケティング)」「怒濤(どとう)のメディア展開されると冷めた目で見てしまう」と、感動から一転して否定的な意見が次々に投稿された。
Twitterは活用していない私ではあるが、「100日後に死ぬワニ」は存じ上げていた。
純朴で優しいワニがノホホンと楽しく送る日常を4コマ漫画にしているが、日々過ごす日常にドラマなど無い。
テレビを見て「ハハハッ!」と笑い、また見ては「ハハハッ!」と笑う。
早起きした朝に喫茶店でモーニングを食べる。
正月に引いたおみくじは大吉。
花見を楽しみにして「明日はおおむね晴れるでしょう!」と笑顔。
通販番組で紹介された人気布団が1年後の納品だが、笑顔で「はい!」と注文。
ソレら我々とも変わらない日常の4コマ漫画の下には、必ず「死まであと○日」と付く。
ワニの日常が普通である程に、100日後の死がどの様に描かれるのか、否応無く注視させられる。
ドラマティックな展開が無い程に、漫画としてのアイデンティティのみが浮き彫りとなり、深読み過ぎる考察が飛び交う事態ともなった。
とは言え、不肖かとぅこと私は、最終回を迎えた後の炎上騒ぎで、ワニの死を知った。
まあ、最終回には様々な考察がなされる様な含みを持ったラストで、「ワンピはやっぱおもしろ~。最終回、どうなるんだろ!?(ワクワク)」などと、お気楽なワニは一切登場しない。
私はワニとの100日を過ごして来た訳では無いので、大それた事は言えないのだが、ソレでも作者の意図は十分に理解出来たし、死も我々にとっての日常で有ると言えよう。
奇しくも同日、スペインで猛威を振るう新型コロナウイルスの患者インタビューを拝見した。
彼は感染する10日前まで、コロナウイルスを意識する事無く、甘く見て、日常生活を送っていたと言う。
しかし、自身が出張中に感染したであろうコロナの二次感染により、同居していた父親が死亡。
入院中に弟より父親の悲報を聞いたが、死に目にも会えず、葬儀も終わってしまった事を嘆いていた。
彼自身、酸素マスクを付けて、何とか呼吸している状況であり、予断を許さない状況に見受けられるが、そんな状況下に於いても、我々の為にメッセージを遺してくれている。
何ら変わらない日常も健康あっての事。
空の青さも、質の高い仕事も、公園での午後も、家族との時間も、その全てが健康あっての事だと、彼は涙ながらに訴えている。
我々の日々は続くし、私自身がコロナ対策として何か特別な事を提議する事も無い。
しかし重要なのは、改めて我々は我々の日常を理解するべきで有ろう。
100日後にワニは死んだ。
しかしソレは、決して特別な事では無く、我々自身にも平等に、時に意図せず訪れる。
日常の幸せと感謝を知り、ソレを守る努力をしよう。
そして、意図せずソレが現れた時にも、せめて清々しく逝きたい。
その為にも私は、PC内「野生動物フォルダー」に保存したわいせつ画像だけは、完全に抹消させて頂く事とする。
ワニの死の直後に展開された大がかりなメディア展開に、「電通案件」という言葉がツイッターでトレンド入りし、「ワニはステマ(ステルスマーケティング)」「怒濤(どとう)のメディア展開されると冷めた目で見てしまう」と、感動から一転して否定的な意見が次々に投稿されたと言うが、悪い事は言わない。
批判する暇が有ったら、サッサとPC内わいせつ画像を消去したまえ。
間に合わなくなっても、知らんぞ~ッ!
かとぅ