日本のヘビーメタルの代表格で、4人組バンドの「LOUDNESS(ラウドネス)」が、米国ツアーのために訪れたシカゴの空港で入国を拒否され、帰国した事が分かった。
公演を行う予定だったシカゴのライブハウスは店の公式サイトで「米政権による外国人への入国審査方針が厳格化したため」と説明している。
所属事務所によると、バンドはシカゴで入国を拒否され、数時間後に帰途に就き、7カ所を巡る予定の米国ツアーは全て中止となった。
所属事務所は「これまでは主催元などの招待状があれば、日本人は入国できていたので、今回も同じ段取りをしたが、『コンサートをする以上、ビザが必要だ』と言われた様だ。仕切り直して改めてツアーを行いたい」としている。
実にロックだ。
でなければ、トンデモない大馬鹿者だ。
この一報を確認してから、情報が錯綜していたが、ビザが無くアメリカ入国しようとしたと言うならば、コレはバンド側の手落ち以外の何物でも無い。
トランプ政権云々が取り沙汰されていた様だが、そんなモノは毛頭関係無く、ショービジネスの基本すら知らぬ愚かという事になる。
日本が世界に誇るバンドである筈のLOUDNESS程のビッグネームがこんな体たらくとは、至極残念な気持ちの私だ。
確かに渡米にはビザが不要なケースもある。
此れまでにビザを取得した事があれば、観光ビザや短期の就労ビザであれば、不要との情報もある。
しかし、刻々と変化する世界情勢も理解せず、「以前はこうだったから…」とか、「招待状があるから…」とか、世界的なバンドがそんな情けない事を言わないで欲しい。
これにより7カ所の公演中止となると、被害の程は如何程だったのだろうか?
いや、そんな事よりも、長年に渡るキャリアの積み重ねで勝ち得た信頼と、遥かアメリカの地でLOUDNESSの公演を心待ちにするファンがいるのだ。
それを一瞬で不意にした事実をLOUDNESSのマネジメントは軽く見ているのでは無かろうか?
てるみくらぶの旅行問題であったり、日々緊張が高まる韓国への観光渡航であったり、今回のLOUDNESSの入国拒否であったり、やはり日本人は海外渡航への危機管理が甘いと言わざるを得ない。
「頑張って帰ってきてください」 vs 決意のかとぅ↓
http://ameblo.jp/katoo-the-world/entry-12262120268.html
私自身、バックパッカーとして第三国を中心に放浪して来た経験があるから言えるのだが、日本の旅行サービスや交通機関の精度は圧倒的に世界一の水準なので、逆を言えば海外に出てしまうと、信じられない様な事ばかり起こる。
列車は予定通りに着く事など無く、どれだけ遅れるかのアナウンスすら無い、もしくは現地語だけなので英語すらままならない私には理解出来ない。
仕方が無いので、ホームで待っていたら一眠りしてしまい、気付くと真夜中。
月明かりがゆっくりと発車しようとする列車を照らす。
私の待っていた列車が、音も無く発車するこの列車なのかどうかは分からないが、ええぃ、ままよ!と、開けっぴろげの乗降口から飛び乗る。
飛び乗った列車の客席で「ディス!トレイン!チケッツ!オーケー!?」と先客に尋ねるのだが、鈍く光る白目の動きで、辛うじて間違いでは無い事を確認するのだ。
インド列車事故 vs 深夜特急2016かとぅ↓
http://ameblo.jp/katoo-the-world/entry-12228480044.html
流石にLOUDNESSクラスで、列車に飛び乗る様な事は無いだろうが、映画「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」に於いて、当時結成30年(今や40年!)のロートルバンドANVILは、給食の配送で細々と稼いだ無け無しの金を注ぎ込み、地元カナダから単身ヨーロッパツアーに挑むが、ヨーロッパの入り組んだ道に迷い、開演どころか終演時間を過ぎてもライブハウスに辿り着けず、待ちくたびれたファンからも大ブーイングを受け、無一文になりながらも、次の会場までのロードをひた走るのだ。
Metal Battle Japan2014を勝ち抜き、ドイツで開催される世界最大級のHR/HMの祭典“Wacken Open Air”フェスティヴァルに参戦を果たし、現地でも絶大な評価を得た日本が誇る“地獄の番犬”ことHELLHOUND。
そのリーダーCrossfire氏(Vo & Gt)が書き下ろしたWacken渡航記にも唸らされた。
出演日が差し迫る中、ドイツに着いたは良いが、集中豪雨で飛行機が飛ばず、預けていたギターが別の便に乗せられていたり、メンバーとはぐれたりと、様々に押し寄せる困難に打ちひしがれながらも、何とかステージに迄辿り着き、立錐の余地も無い観客に迎えられ、あまつさえアンコール迄頂いたというのだから、恐れ入る。
何せ彼らは、たった4曲のメタルをドイツに轟かせる為だけに、遥かなる旅路に踏み出し、様々な困難を乗り越え、遂にその目的を果たしたのだ。
渡独前にメンバーともお会いしていたので、その苦労を思うと、私は胸に込み上げるモノをビールで飲み下した。
私自身も、数々の海外バンドと対バンする中で、日本でのツアーは本当に快適だと驚かれる。
結構なキャリアのバンドですら、D.I.Y精神を以って過酷なロードに出て、夢を追いかけ続けている。
日本人は恵まれ過ぎているのだ。
だから、日本が世界に誇る数少ないロックバンドであるLOUDNESSが、今回の様な失態を犯し、「仕切り直して改めてツアーを行いたい」などと言って、のうのうと帰国している事に怒りを隠せずにいられないのだ。
ビザが無く入国出来ないならば、イミグレーション前でLOUDにカマしてやるのだ。
DreamにFANTASYしてやるのだ!
それをリアルタイムにネット配信して、アメリカのファンに熱いメッセージを送るのも良し、非礼を詫びるのも良し、取り押さえられるのも良し。
それがROCKってヤツだろ!?
実は私はLOUDNESSを、ここ最近まで聞いた事が無かった。
しかし、とあるイベントで響き渡る硬質で強靭なサウンドに、PANTERAか何かかと思ったら、それがLOUDNESSであった。
80年'sグラムロックと思っていた私の価値観をブチ壊し、流石は世界のLOUDNESS!と感嘆させてくれた超弩級のメタルを、改めてアメリカに轟かせる事を、今回のリベンジが果たされる事を切に願う。
ちなみに先のアンヴィルのリーダーであるリップス(Vo & Gt)は、公演に間に合わなかったライブに於いて、主催者に「ギャラを払え!」と詰め寄っていたが、コレは流石にどうかと思うし、LOUDNESSはくれぐれも真似しない様に頂きたい。
かとぅ