岸辺の旅 | カトネの小部屋

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福岡在住。日々の徒然を書き留めます。

「岸辺の旅」を観てきた。私にとって、初の黒沢清監督作品。

浅野忠信が素晴らしい。この世とあの世のあわいを漂う存在。ねじ式を思い出す。

幽霊たちがたくさん出てくるが、それらはこちら側が出てきて欲しいと渇望している存在だったり、または自分自身が死んだことがわかっていない幽霊である。なので、まったく怖くない。むしろ怖いのは、生きた人同士である深津絵里と蒼井優の場面。映画「羅生門」に、人間が一番怖い、というようなセリフがあったかと思うがそれを思い出した。

ライティングの効果の美しさ。浅野が村で最後に講義する場面で、天井の明かりが順々に灯ってゆく。「啓蒙」の原語に明るくする、という意味があったかと思うが、村民の頭の中が明るくなっていることも示しているのか。

私にこの映画を勧めた夫は、村の場面で畑に人が多すぎだろう、と笑っていたが私は全然気にならなかった。なぜなら、この映画は頭から私の中で「ファンタジー」であり、美しい村には働く大勢の村人がいても変ではないから。

小松政夫さんのすごさ。最初、小松さんと気づかなかった位の役柄へのなじみ感。

映画が終わってエンドロールが音楽とともに流れる時、泣いたまま外に出るのが恥ずかしいし、この高ぶった感情を抑えるのにしばらく時間がかかると感じた。映画館の外は賑やかな川辺であり、夜風に当たりながらふらふらと帰宅した。

(最初に書いた記事、変なボタンを押してしまって消えた。これも幽霊のしわざ?そういえば今日は祖父の命日です。祖父、そんないたずらはしないと思うけど…)