朝は余裕がなくてめったに新聞など読まないのに、今朝はちょっと時間ができて朝日新聞をめくった。
社会面にきたとき、えっと思わず声を出す。
現代舞踏のマース・カニングハムさんが90歳で亡くなっておられた。
うちの夫は彼の創り出すダンスのファンであり、私もマース・カニングハム舞踏団の公演を見たことがある。
マースさんの作り上げる舞台は彼だけのものであり、見ているあいだ夢をみているような、うっとりする気分に浸れる。覚醒しつつ瞑想するような。
98年の6月のこと。東京文化会館の公演で、たしか最終日に私たちは前の方の席だったので花束を持参した。
公演のあいだには渡すことが難しそうだったので、終演後スタッフの方にこれをマースさんに、と委ねようとした。
するとその方(舞台監督さん?)は少し考えた後、ちょっと待って下さいとおっしゃって、直接渡せるかもしれないと教えてくれた。
うちの夫にとっては夢のような展開である。
楽屋で私たちはマースさんと対面できた。大きな、でも威圧感のない方だった。夫はかなり感激していた。
その時、もしくはその後の公演で花束に私たちはファンレターを入れたが、夫のはジョン・ケージの字のフォント(というものがあるのだ)を使ってMacで仕上げていた。マースさん、わかって下さったでしょうか?
新聞を閉じて耳を澄ますと、夫は子どもたちと一緒にすやすや眠っている。彼が今日、いつの時点でこのニュースを知るかわからないが…かなりショックを受けるだろう。
寝室には98年公演のポスターが飾ってある。長男は「マースさん」をそれで知っているが、彼に動いているマースさんを見せられなかったことが残念である。合掌。