12月4日待ちに待ったユジャワンピアノリサイタルへ。




チケット発売日直後の7月から5ヶ月近くもずーっとこの日を待っていた、なんてこと自体、生まれて初めて?かもしれない。

今年オープンした札幌市民芸術劇場hitaruで公演を観るのも初めてだったので、とにかくこの日は何があっても仕事は入れぬ!と誓ったので珍しく前日に急遽オファーが入ったものの見事にスルーしコンサートへ備える。


という私の意気込みはさておき、、、


ユジャワン、中国出身の若手ピアニスト。
いろいろ規格外の彼女。




まず私が彼女を知ったのは、他でもないYouTubeなのだけど、エレクトーンプレイヤーでもありピアニカ奏者の松田昌先生が
「こ、これは凄い・・・」と驚愕されていた記事に導かれ最初に見た映像が

「熊蜂の飛行」

たしかこの映像だったと思う。




初めて見た時は、正直ふざけているのかと思った。

いや、ふざけようもないし、たとえふざけていたとしても、、驚愕な演奏には変わらないのだけど。


ありがちなのが、こういった超絶技巧を「すごーい人間離れー」と曲芸的に楽しんで終わるものもあるけれど、クラシックの専門家ではない私でも、ユジャワンの演奏(衣装も好き)はなにかそれだけではないとてつもないエネルギーと世界観を持った音楽家、というより芸術家なのではないかな、という予感が。


他にもいろいろな演奏を検索してみたところ、やはり彼女が凄いのは超絶技巧だけではなく、1音1音を愛でるようにコンサート会場に飛び立たせた繊細な音もとてつもなく美しかった。


そして彼女のビジュアルもカッコよくて好きだった。


もちろんクラシック界ではすでに世界中で評価されている有名なピアニストではありましたが、初めて見た時は生で見たい!というよりは、なんだかYouTubeの中の世界の人という、現実離れした存在に感じていました。


が!


生で見ることになるとは、、、、、、。



真っ赤なロングドレス。
なーんだミニじゃないのかーと思いつつも10センチ以上のヒール、しかも厚底!なお靴で登場。

ちなみに、演奏予定曲は出ておらず、前日までに「当日の空気感で決めたい」という主旨の告知がなされておりまして、
「え?クラシックのコンサートってこんなに即興的だったっけ?」という意外性もあり。


前半は短調の曲が続き、道民のシャイな空気感を察しているわけ??なんて思ったりもしましたが、この辺りは当初予定されていた曲だったようです。

クラシック音楽に精通しているわけではないので、音楽的な評論は避けますが、前半は徐々にボルテージがアップして、どんどん超絶技巧炸裂し始め、1部最後は彼女の演奏で有名な
「ビゼー(ホロヴィッツ編曲):カルメンの主題による前奏曲(第2 ジプシーの歌) 」

では凄すぎて声出して笑ってしまいました。


そして、休憩明けは、まるでピンク・レディーのような、全身スパンコールの膝上30センチ以上はあるであろう超ミニミニの、「あ、見えちゃう!」くらいのドレスでご登場。

で、休憩中にピアノに設置されたのが、iPad(おそらく大きさからいってiPadProの大きい方)

ま、まさかの?


登場したユジャワンが足元を気にしていたので、やはりペダルで譜めくりするのでしょう。




1曲目から「みなさんこういうの見たかったんですよね?」と言わんばかりの難解奇天烈な、手が途中で3本くらいに見えたような気がする。

マイクを手にスピーチを。

「では・・・次は・・・んと・・・そうね、、」と言いながら、iPadをスクロールして選曲している(笑)

そして、超ミニスカで足を組み直す!危ない!

なんだこれは!(笑)
演奏も規格外ですが、本当に会場の雰囲気で決めている。面白すぎる。


めくるめく演奏は続き、あっという間に17曲。
特に後半は超絶技巧が続いたかと思いきや鍵盤から浮いているようなタッチでコロコロとピアニッシモのつぶつぶを放出したり、本当にワクワクしっぱなしでした。
何度も言いますがクラシックのピアノ曲の教養がそれほど深くないわたしにとっても十分楽しめて感動、そしてクラシックコンサートでこんなに興奮するものなのかと、驚愕でした。
これでもっともっと深い専門知識を持ち合わせていたなら、さらに感動も深まるんだろうな、と、ちょっと悔しかったりもしましたので、せめて今回の演奏曲目についてはおさらいしてみようと思いました。

アンコールは3回。鳴り止まない拍手に最後は、「今日はもう演奏はしませんが、また札幌に来ますね」と言い残して高ーいハイヒールの不安定な重心なんて彼女の演奏には全く関係ない、アスリート並のスレンダーな引き締まった身体はステージ袖へと消えていきました。

カッコイイ!!

「また、来ますね!」
といっていたけど、本当かな、、、。



もちろん来て欲しい!



というのは今回のユジャワンのコンサート、もちろんステージそのものがとてもエキサイティングで心に残ったのですが、開場で配られたご案内の中に、彼女からのメッセージでこんなことが書かれてありました。これがとても印象的で、、、。

パリでのコンサートのことを振り返った一文に

「私と彼らとはただ一度の出会いのはずでしょ。私はコンサートを終えたら次の町へ行ってしまうわけですし、もう二度とその会場のピアノに触れることもないでしょう。それなのに、みんなと一体感をかんじていました。それほど素晴らしい雰囲気で、私はその雰囲気にうっとりしたんです」


という部分。ただの一度の出会い、私は二度とその会場のピアノに触れることもないでしょう、、、


世界中を演奏して回る彼女とスケールの大きさが違いすぎるけれど、

もう、二度とここへは来ないかもしれない、今日のお客さんとはもう会わないかもしれない、という気持ちと覚悟・・・ちょっと心にズドンと来ました。

ステージに対する向き合い方にも、なにかとてもステキなヒントを頂いた気がするのです。

もちろん「また、見に来てね」とか「また呼んでくれたらいいな」という庶民的な感覚も引き続き持ち合わせつつ(笑)


ユジャワン、ますますファンになりました。