マンチェスターの中心部からトラムに乗って30分ほど北に行った終点の街、ベリー(Bury)にて、ランチタイムコンサートでした。
初めていくところです。
1999年9月から2000年7月までマンチェスターで生活した私にとって、こうして、マンチェスター近郊の街で演奏させていただける、というのは特別な想いがあります。
トラムの駅に着いて、塔が見える方を目指して、5分もかからずに、Bury Parish Church。
素敵な教会でした。
教会内部に入って、思わず美しさに息を呑みました。
すぐに目に入ったのは、既に用意してあった、フルコン!!
メーカーは、Otto Stanleyみたいな名前(あやふや)。
ランチタイムとしては、少々長めで、完全に1時間、とのこと。
プログラムは、
モーツアルト: ピアノ・ソナタ ハ長調 K.330
リスト: 愛の賛歌
ブラームス: 幻想曲集 作品116 より、第3番 カプリチオ
チャイコフスキー: ロマンス ヘ長調 作品51-5
ショパン: 4つのマズルカ 作品67
ショパン: ノクターン ロ長調 作品62-1
ショパン: 幻想ポロネーズ 作品61
本当は、モーツアルトは、ニ長調 K.576を弾く予定でした。
リハーサルの時間を費やしたにもかかわらず、このピアノが非常にこしがなく、スポンジのような感覚のピアノ。 このソナタを弾くにはかなり厳しいものがあって(まだまだ3度目の本番でしたし)、急遽変更しました。
このK.330の方が、ずっとここのピアノと音響にあっていました。
最初のフレーズから、聴いてくださっている方々をひきつけている感覚。 久々です。
このところ、演奏に戻る不安があって、今までとは違って、トークをいれずにコンサートをしていました。
が、今回は、ぜひ、どうしてこの曲を弾くのか、とか、ちょっとした曲の説明をしてほしい、ということで、本番5分前になって、急遽トークが入ることに。
今まで、あれだけトークを入れてやってきていますから、心配していたほど問題はありませんでした。
リストの愛の賛歌は、初めて弾く教会では、積極的にプログラムに含めているもの。
この曲は、教会で奏でるのが一番美しい響きになるように思います。
ブラームスのカプリチオは、一昨日に続いて、2度目。
一昨日よりも、ずっと手ごたえを感じました。
あの恐ろしいDr.Sの顔は消えて、弾いている間に浮かんできたのは、4月に観た、ロイヤルバレエのリアム・スカーレットの新作、『Sweet Violets』でした。
ショパンのマズルカも、一昨日よりも、ずっと自由な演奏。
やはり、10時間の練習よりも、1度の本番の方が、ずっと多くを学びます。
ロ長調のノクターンは昨年の夏以来。
やはり、大好きで、自由なファンタジーが湧き上がる曲です。
そして、幻想ポロネーズも、だいぶ調子が戻ってきました。
ポーランドに行ってから、早いもので、既に7年が経ってしまったようです。
また、何かをつかむ為に、そして、行く口実がありそうだから、来年こそは、ポーランドに行くことができたら、と思っています。
4月2日に演奏復帰をして、4回目のコンサート。
4月2日は、とにかく、自分が自分でないような演奏。
重くて、ねじがぎゅっと詰まった鎧を着ていました。
それが、4月18日のコンサートでちょっと緩んで、先週、5月22日のコンサートでは、ねじが外れました。
今回、鎧が自分の体からはずされたのを感じました。
そして、2月まで、某オーディションの為に必死に練習した、リストのピアノソナタ ロ短調、これを学んだのだ、と思える手ごたえを感じました。
あの曲で得たテクニック、その他諸々が、今回演奏に生かされてきている実感がありました。
ですが、このピアノ、最初に書いたようにスポンジのようなアクションで、音色命の私にとって、コントロールが効きにくく、リハーサルでは苦しみました。
それでも、以前の演奏、いや、それ以上?が取り戻されていることを感じたので、一安心です。
いつまでかかるのか、と心配していましたので。
またお声をかけて頂けそうです。
とにかく、生活は楽しかったけれど、ピアノは苦しむことが多かったマンチェスター時代。
ここに再び戻ってきて演奏をさせて頂けたこと、非常にうれしく思います。
まだ詳しい日にちは決まっていないものの、来年は北イングランドからいくつかの演奏のオファーが来ているので、楽しみです。
夏休みまで、あと2つの本番が残っています。
しっかりさらいたいと思います。