大晦日のくるみ割り人形 | WITH HOPE!!

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在英14年目、イギリスの生活を愛し、楽しんでいるMiyukiです。
イギリスで細々と演奏活動をしているので、クラシック音楽の話題、日常、イギリスの姿をお伝えしたいと思います。
バレエが好きで、ロイヤルバレエの公演を主に観ているので、その感想も。

 非常に冷え込んでいます。

全く新年、という感じがしないままです。 やっぱり、日本の新年を迎える雰囲気、好きです。 

気分だけでも、昨日は年越しそば、ならぬ年越しうどんを食べました。


 昨日は今年の私の鍵となってくれるはず書類を提出して、今は祈るような気持ち。


 今日のことを書く前に、昨夜のロイヤルバレエ。


 くるみ割り人形、主な配役は28日と同じ。


 28日にクラーラとハンス・ピーターでデビューしたサビーナとジェームズ。 28日には、『どうするんだ???』と思ってしまうほど中途半端だった舞台。 さすが2回目、2人とも、『小さなお友達』から脱出。 2人の間に恋心、というかきちんと最後までお話がつながるものが見えてきました。 特にジェームズはこの前の『どうしたらよいかわからないのか??』と思っていたのから、きちんと一つ一つの動作に意味が出てきました。

 まさに、舞台は人を成長させる。 リハーサルスタジオで得られなくて、舞台のリハーサルでも得られないことが、お客さんの前に出て初めて得ることができる。 彼らの28日の舞台は問題があったかもしれないけれど、あれがなければ、昨日の舞台は生まれてこない。

 だから、常連さんたちはデビュー公演、というのを逃さないのかもしれません。

 次のシーズンで『くるみ』が含まれるのかは知りませんが、彼らが次に戻ってきた時、どのようになるのかとっても興味があります。


 私がオペラハウスに何度も通い、同じ演目、同じキャストでバレエを観ている理由はこれだけ。 別に若いダンサーだけではなくて、プリンシパルだって、ベテランのキャラクター・アーティストの人たちだって、毎回の舞台が変わってくる。 特に、若いダンサーに対しても暖かいのがここの常連さんたち。

 私もそうですが、別にプリンシパルだけではなくて、下のほうにもお気に入りとか特に応援しているダンサーがいる。 ここの常連さんたちは各々そういうダンサーがいて、人によってはロイヤルバレエスクールの後援会にも入っていて、スクール時代から応援しているダンサーがいる。

これって、とってもとっても素敵なこと。 バレエはプリンシパルダンサーだけでは成り立ちません。

 1人のダンサーを観ながら、成長を観て行く。まさに、観客がダンサーを育てているのです。


 さて話を元に戻して、くるみ、第1幕で目を惹くのは、クラーラの弟、フリッツ役の小柄な赤毛のトーマス君。 クラーラはカンパニーのダンサーが踊るものの、フリッツはロイヤルバレエスクールの生徒が踊っています。

 このトーマス君、何度か観ましたが、非常に演技もよいし、毎回その時々で違う演技をする子。 

 くるみ割り人形をわざと落として壊しても、悪気無し。 それどころか、壊れたくるみ割り人形を見て泣くクラーラを指差して笑う始末。 

 彼は30日の公演では男の子の1人を踊っていましたが、ちょっとした演技で目を惹きました。 


男の子がいたずらを企んでいて、それを阻止しようとする女の子に対して、両手を広げて通せんぼをする子がいたりする。 子供たちも演技がとても上手です。 まあ、女の子の方が男の子よりもしっかりしているのは現実の世界と一緒。 


 

 昨シーズンの『くるみ割り人形』の公演の後半では、雪の精たちが前半、手に持っていた雪片をジャンプしたり、手を上げた瞬間に撒き散らす、という素敵な演出があったのですが、今年はそれがなくて、ちょっとがっかりしていました。 そうしたら、昨日の公演ではこの演出が!! もちろん、無くてもきれいですが、あればあったで素敵です。


 第2幕、あの舞台装置と衣装だと、何度観ても飽きません。 マリアネラの金平糖はますます輝きを増していました。 彼女の踊りは丁寧で、でも自由奔放。 

 2009年の締めくくりに心が満たされました。