第二章「親の態度で子どもも変わる」
自分の子どもを「チャン付け」で紹介する親って?―その(1)
「ウチの○○チャンはねぇ」などと、他人に向かって言う親がいる。小さい子どもを紹介しての場面なのかと思っていると、子どもは、中学生や高校生だったりする。
大学教授が学内で殺される、という事件があった。犯人の母親が(顔を隠してだが)、テレビのインタビューに応じていた。殺人事件を犯した30過ぎの息子を指して「ウチの○○くんは・・・・なんです。」と答えている。そんな母親に育てられた息子は、事件を起こしても仕方ない育ち方をしてしまったのかな、と犯人である息子に同情のような気持ちさえ湧いてしまう。
当人である親は、いっこうに恥ずかしいとは思っていない。あたかも、「うちの○○くん」と呼ぶことによって、自分がどれほど我が子を愛し、どれほど我が子を大事にしているか、それを誇示するかのようである。
なんだか勘違いがある。前掲の「親子の友だち化」現象とともに、それとはまた違った次元で、「うちの○○ちゃん」「うちの○○くん」が広まっているように思われる。
私立中学から、公立中学校に転入してきた3年女子生徒がいる。私立から公立への転入理由は、経済的な問題によるもの以外、非行問題か不登校のどちらかである。彼女は非行による。私立学校で問題を起こした場合、高校では「退学処分」または「自主退学」という措置をとるが、中学校では私立といえども義務教育なので、退学という処置はとらず住居のある公立中学校に「転校」となる。
公立学校は、この転入を拒むことができない。ただし最近では、住居所在地の学校でなくとも、本人の希望や教育委員会の指示で、同じ市内の別の公立中学校に入れさせることがある。彼女は一つの公立中学校でトラブルとなり、公立中学校二つ目の転校となるが、こうしたケースは極めて珍しい。受け入れる側はたいへんである。
いわゆる昔の「スケバン」ではなく、暴走族との絡みもない。しかし、他県他市に友人が多く、ツルんでタムロし遊び回っている。彼女は手続きの翌日、自転車に乗って加えタバコで登校してきた。教師に向かって「うるせぇんだよ~。」という物言いである。
修学旅行が近い。学級担任としては、このまま修学旅行に連れて行くわけにはいかない。条件は、「修学旅行のコースに合わせて親が近くに宿を取り、問題を起こしたらすぐに引き渡す。」というものだった。親は、娘を不憫に思ったのか、それを受けて高級ホテルを予約した。裕福な家の子どもなのである。非行の背景に経済格差や貧困の問題がある、と説く人もいるが、こういう例を聞くと、そうとは言えない面もあるのだ。何せ母親は、大人になるまで自分でお金を払って「買い物」をしたことがなく、子どものころは全て親が支払ってくれていたという育ち方をしているくらいなのである。自分の娘は、どんな育て方をしたのだろう。
転入前の夏休みに、中3の彼女は事件を一つ起こしている。湘南の海の浜辺で、故意か偶然かは判然としないが、4~5人連れの女の子に、砂をかけられてしまった。激怒した彼女は、その女の子たちを近くのトイレに連れ込み正座させ、頭から水をかけたりするのだが、相手のグループのうちの一人がスキを見て110番通報し、警察官が駆けつける事態となった。

