遅くなりましたが、思わぬ形で落ち着いてしまったので、今こうしてブログを書いています。
皆さん、不安な日々が続いていますが大丈夫ですか?

残念ながらWSS3も延期になってしまいましたが、まだ諦めていないし、きっと公演できると信じ、やれることは全力で取り組んでいますのでどうか今しばらくお待ち下さい。


さて、ミュージカル フランケンシュタインが幕を閉じてしばらく時間が経ってしまいましたが、振り返りたいと思います。

3年前、初演が幕を開けて再びこの作品が上演されると知ったときはとても嬉しかったです。
自分の中でも特に思い入れの強い作品、そして役だったので。

アンリ

怪物

3年という年月を経て、俺自身が変化したように、彼らもまた変化をしていました。
いや、俺が変化したから、かな。

まず、アンリ。

演出の板垣さんと、今一度アンリの在り方について稽古で話し合いました。
その中で、初演とは違った彼の「生きる」という考え方が違って見えてきました。
初演の頃は、ビクターと出会うことで、生にしがみついていた部分がありました。もっと彼と研究がしたい、もっと一緒にいたい…と。
しかし再演では、彼の望みは生きることではなく、ビクターの研究の成功なんだという事に着目し、アンリを再構築しました。
その結果、君の夢の中で、の彼の心情は大きく変わりました。
もともと、生きているのに死んでいるという不可思議な気持ちを抱えていた彼ですから、死というものに対する恐れはなかったんだと思います。
何故なら、自分が死んでもビクターが研究を成功させ、また生きて出会えると心から信じていたから。
そう考えたら、悲しかったはずのシーンも、心地よくいられるシーンになった。
きっと常人には理解できない感情でしょう。俺も役者じゃなかったらそんな考え方にはならないし。でもアンリと一つになったからこそたどり着けた境地だったのだと思います。

しかし、それが悲劇…怪物を生んでしまう事になるとは…


怪物

初演の時は怒りよりも、悲しみの方が強かったように思う。そして今回はビクターへの怒りだけではなく、アンリに対しての怒りも見えてきたのです。愚かさ、と言いますか、腐っても自分自身だったアンリに対して、何故こんな馬鹿げたことをしでかしたのか?お前がいなければ俺も生まれなかったのに、というなんともやりきれない思いがありました。
演じれば演じるほど憎しみが湧き上がり、それに比例して心には虚しさ、悲しみも蓄積されていった…という感覚。
初演はアンリの記憶も宿していた瞬間があったけれど、今回は不意に現れる…みたいな現象が起きていました…(自分ではそうやっている自覚が無いから芝居って面白い笑笑)

言ってしまえば、一つの歪んだ愛情表現なのかも…とさえ思う。
怪物の唯一の生きる意味であり、繋がりはビクターしか存在しないのだから。

とはいえ、2人とも俺にとってはかけがえのない存在であり、かわいい子供のような、パートナーのような存在。

再び出会えて、共に生きることができて幸せでした。


アンリ、怪物…また出会ってくれてありがとう。

またいつか力を借りる日が来るかもしれない。
来たら…いいな。

その時まで、今はおやすみなさい。



最後に、

この作品に関わった全ての方々、観に来てくれた皆様、応援してくれた皆様に最大の感謝を。

ありがとうございました。