「死せる孔明生ける仲達を走らす」

 

三国志の最終盤に出てくる

故事成語にもなったエピソードです。

 

蜀の劉備、魏の曹操ともに既に亡く、

2代目の時代の話です。

 

時代を超えた天才軍師、

蜀の諸葛孔明は

魏を攻略するべく北進し、

魏軍は後に魏呉蜀全てを制圧し

晋を建国する司馬一族の初代であり、

魏の大軍師司馬仲達が迎え撃ちます。

 

しかし、

寿命には勝てなかった

諸葛孔明が陣中で没し、

それを察した司馬仲達は

全軍に攻撃を命じます。

 

蜀軍は指揮官を失うも整然と撤退し、

司馬仲達率いる魏軍が迫ると、

そこには諸葛孔明の姿が!!

 

この光景に

撤退は孔明の計略と察した司馬仲達は

全軍に撤退を命じます。

 

真相は、

諸葛孔明は確かに陣没しており、

その死期を察していた孔明は

自らの木像を作らせ、

死後の撤退方法まで

全て細かく指示を出していました。

 

仲達が孔明の死を察したことも、

攻撃を命じた事も

的確な指示なのですが、

孔明を恐れるあまり、

孔明の木像に踊らされました。

 

全軍での攻撃、全軍での撤退と、

敵である孔明は既に死しているものの、

仲達は一人西へ東へと

走る事となったという故事です。

 

 

これは現代の安全保障的に言えば

「情報戦」の勝利です。

 

 

危機なのは稀代の大軍師孔明を失った

蜀軍の方ですが、

 

「天才軍師孔明が生きている」

 

という情報に

仲達は絶好の攻撃の機会を逸しました。

 

それを分かった上で、死んだ後への

計略まで立てた孔明の勝利です。

 

 

情報を制する重要性は

現代の戦争も同様です。

 

ベトナム戦争と言えば

「アメリカの負け」

の印象が強いですが、

アメリカ軍としては

「苦戦はしたが勝利目前」との認識でした。

 

しかし、世論に引っ張られた

政治主導で撤退が決まり、

「アメリカの負け」が決定付けられます。

 

このアメリカの敗戦の要因は、

見るに堪えない「戦場のリアル」が、

マスコミを通じて

世界中に流れた事にあります。

 

 

これを教訓としたアメリカは、

80年代に数多くの戦争を起こしますが、

メディア規制をかけ、

「綺麗に掃除した後」の戦場しか

メディアに提供しませんでした。

 

敵も敵や住民の死体も無く、

ただ敵の都市を進む勇敢な米兵、

血の無い戦場に世論は沸き立ち、

アメリカの戦争への支持は

拡大していきました。

 

イギリスも

フォークランド紛争において、

同じメディア戦略を行っています。

 

 

湾岸戦争時の重油に苦しむ

水鳥の写真は世界中を駆け巡り、

フセインの非道として報じられましたが、

現実は米軍の攻撃による

重油流出の被害の写真でした。

 

自軍の攻撃の結果の被害を、

「フセインの非道」

として世界中に配信し、

国際世論を味方に付けます。

 

以降も、

捏造、印象操作、偽証など

様々な手段を用いて

アメリカの軍事介入への大義名分を得て、

国内、国際世論の支持を

得てきたアメリカ。

 

メディア戦、情報戦は

アメリカのお家芸とも言えます。

 

 

一年を迎えるウクライナでの戦闘でも、

アメリカの情報戦は冴え渡っています。

 

ロシア経済は破綻する。

ロシアは武器も兵力も枯渇する。

世界は反ロシア。

ロシア軍は苦戦中。

 

現実は異なろうとも、

表メディアに踊るのは

御用専門家の分析含めて

これらの情報です。

 

また、ウクライナの住民が

爆撃で被害を受けている映像は多くとも、

ウクライナ軍が被害を受けている映像は

表メディアにはほぼ無く、

悪のロシアと

ウクライナ軍の善戦

という印象を

世界中に発信する事に成功しています。

 

・・・表メディアではですが。

 

 

先日のバイデン大統領のキエフ訪問。

 

空襲警報が鳴り響く中でも、

ロシアに屈することなく

堂々と市内を歩く勇姿!!

 

しかし、現実としては

訪問はしっかりと外交ルートを通じ

事前にロシアに通告されており、

ロシアも直接対決は望まないので

ロシアがキエフを攻撃する

心配の無い中での演出でした。

 

「不屈のリーダー」

を演出する為の舞台装置が

恐れの無い中で鳴り響いた

空襲警報というBGMでした。

 

その事実が明らかになろうとも、

一旦欲しかった画が世界に報じられれば、

その印象と効果は長く続きます。

 

情報戦を制する事、

この分野においては、

ロシアより、勿論日本より、

アメリカは一日の長があるなぁと

改めて示すキエフ訪問でした。

 

 

 

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