ウクライナでの戦闘を単に

「プーチン大統領が狂った」

で片付ける傾向がありますが、

事はそんな単純ではありません。

 

様々なレベルでの失敗が積み重なり、

現在の状況となっています。

 

 

まず初めに、安全保障の基本となる

「抑止の三条件」

から始めます。

 

抑止力とは、

①相手に耐えがたい損害を与える

「報復能力」

②実際にそれを使用する「意思」

③事態の重大性への「相互認識」

 

が必要となります。

 

攻撃をする側が、相手から

より大きな損害を

受けると思っていたら

まず攻撃を仕掛けませんので、

報復能力とその意思は

大きな抑止力となりますが、

これ以上

事態をエスカレートさせると危険だな、

としっかりと互いが認識出来なければ、

所謂「一線」を越えることが起こり得ます。

 

この事を踏まえた上で、

「外交」「戦略」「戦術」

3つのフェーズで考察していきます。

 

まず、外交上の失敗について

考えたいと思います。

 

 

冷戦が終わり、ソ連が崩壊し、

西側が勝利に酔った

90年代から2000年代初頭、

NATOは東に拡大します。

 

米英仏独の、

以前の記事で記した「捨て駒」地域が

どんどんロシア側へと拡大します。

 

ポーランド、チェコ、ハンガリー

などの地域です。

 

一方のロシア、

プーチン大統領が就任し、

徐々に国力を回復していく中で、

NATOの東方拡大を強く非難すると共に、

最後の「一線」を明確に示します。

 

それが隣国となる

ベラルーシ、ウクライナ、ジョージアです。

 

ここに踏み込まなければ

決定的な対決は避けられると、

外交的メッセージを発していました。

 

2008年の段階で

ウクライナがNATO加盟となった場合、

ドンバス地域、クリミア半島の為に

軍事行動を起こすと公式に発言しています。

 

この事は、

今年に入ってからでさえ

同じ発言をしていますので、

プーチン大統領の

国家防衛戦略は一貫しています。

 

その中で、2008年に

NATO加盟を求めるジョージアが、

ジョージア国内の

自治権を持っていた

親ロシア系住民が住む地域に侵攻し、

ロシアとの間で戦闘に発展します。

 

この事はロシアの最後の「一線」は

本気である事を示し、

ウクライナ、ジョージアの

NATO加盟に関しては、

棚上げ状態が続いていました。

 

この過程を知った上で、2014年、

選挙で選ばれたウクライナの親ロシア政権を、

オバマ政権を中心とした

西側が介入することで

選挙を経ずに倒します。

 

この結果が、

ロシア系住民が多数を占める

クリミア半島の独立からのロシアへの併合、

ドンバス地域の半独立です。

 

ロシアは直接的な

「軍事介入」は控えたものの、

2008年の段階で宣言した行動を取りました。

 

これを受け、

トランプ政権では動きは無かったものの、

バイデン政権や英仏独の政権が進めた事は、

ウクライナに対して

NATO加盟をちらつかせる外交でした。

 

これが意味する事を知っていたとすれば

「捨て駒」地域に対する悪魔の一手ですし、

知らなかったとすれば外交音痴が過ぎます。

 

ウクライナは喜び、

NATO加盟に向けて加速し、

ロシアとの戦端が開かれました。

 

外交という局面においては、

プーチン大統領は狂ったのではなく

首尾一貫して同じ事を言い続け、

同じ戦略を採っていますので、

外交の失敗は主にアメリカにあり、

それに踊らされた

ウクライナと言えるでしょう。

 

抑止の三条件の中の①、②

プーチン大統領は14年間示し続け、

バイデン大統領が

認識していなかったのか、

わざと戦争に引きずり込んだのかは、

その内歴史が証明するでしょう。

 

 

次に戦略レベルでの失敗ですが、

戦端を開いた上で、

民間人、民間施設、

ロシア兵、ウクライナ兵に

被害、犠牲を強いているこの戦略は、

プーチン大統領の明らかな失敗でしょう。

 

北から東から南から、

3方向からの同時侵攻をするのであれば、

徹底的に軍事施設を破壊し尽くして、

電撃戦で一気に首都ならびに要衝を押さえ、

政権を崩壊させなければいけません。

 

当初はそうなるかと思いましたが、

侵攻総兵力15万程度で

北から、東から、南から

じっくりと攻め込むので、

同程度の兵力を有する

ウクライナ軍並びに民兵組織との

それぞれの戦線で兵力不足が生じ、

それが民間施設、民間人の犠牲を

生んでしまっていますし、

目的に対する試算以上の

ウクライナ軍、ロシア軍双方の損害に

繋がっていると思います。

 

同時に、

核兵力、最新型ミサイルでは

世界最強でも、

通常兵力におけるロシア軍弱し、

を世界に印象付けた事は

ロシア側から見ても

プーチン大統領の失敗と言えます。

 

 

最後に戦術面での失敗ですが、

これはウクライナのゼレンスキー大統領が

その責任から逃れることは出来ないでしょう

 

国民に抵抗を呼びかけ、

最後の一兵まで戦うと言えば、

映画やドラマならば

美しいシーンとなっても、

自国民に犠牲を強いている事になります。

 

避難したウクライナ人以外の、

国内に残る国民は抵抗する意思のある

最後の一兵まで戦う意欲のある

人だとすれば、

彼らは

「市民」から「軍属」に変わってしまい、

当然ながら攻撃対象となります。

 

かつての日本が「一億総玉砕」と言い、

国民まで含めた総力戦に

出ようとした結果どうなったか。

 

サイパン陥落で講和しておけば、

特攻隊は無く、

民間人の犠牲の殆どもありませんでした。

 

国民を「軍属」に変える決断をした

大統領の戦術の失敗、

少なくとも私は支持しません。

 

こう言うと、

では中露などが日本を攻めた際、

抵抗せずに降伏するのか!?

と、批判する人もいるでしょう。

 

抑止の三条件を思い出して下さい。

 

相手の許容範囲を超えた

損害を被らせる戦力と意思があれば

大抵の為政者は侵攻を思い止まります

 

その為の戦力の整備、

外交関係の構築がなされず、

相手からの軍事侵攻のサインを

見落として、敵国の侵攻を許せば、

それは

外交の失敗、防衛整備の失敗、

そして政治の失敗です。

 

戦国期でも、優れた将は

勝ち目の無い籠城戦の折には

兵、民の助命を条件に

開城しています。

 

アメリカもヨーロッパも

援軍は出さないと明言し、

NATO加盟もEU加盟も

させないと開戦後に断言、

まさに援軍の無い籠城戦状態に

今のウクライナは陥っています。

 

民間被害が日増しに大きくなる

太平洋戦争期の日本のような

愚策を取る事無く降伏でも講和でもして

為政者がまず責任を取り、

その上で国家の復権を目指すのが

本当の愛国と言えます。

 

 

 

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