世界から消えない

戦争、戦闘ですが、

その主たる要因の一つに

「民族」があります。

 

所謂「民族紛争」と

言われる形での戦闘です。

 

 

しかし、

これが本当に難しい。

 

 

民族が異なれば、

アイデンティティも異なり、

相容れない部分が多く、

対立は根深く、

妥協点を見出しにくく、

戦闘は激化していきます。

 

・・・一般論としては。

 

 

では「民族」とは何なのか。

 

 

実は明確な定義は存在しません。

 

例えば、

私たち日本人と

北欧の金髪碧眼の人たちや

アフリカの黒人を比べて、

違う人種だなぁ~とは

すぐに思います。

 

流石に肌の色も、

肉体的特徴も大きく異なるからです。

 

しかし、私たちが

「日本民族」なんて言葉を使った時、

それは明治以降に人為的に作られた

「幻想」でしかありません。

 

ヨーロッパで

各地の領主、君主の民という時代から、

「国家」が台頭していく

歴史のうねりの中で、

民衆を束ねる心の拠り所が必要となり、

「国民」の概念が必要となりました。

 

そして民族という

幻想が生まれて行くのですが、

この歴史のうねりに

当然ながら開国した明治の日本も

巻き込まれていきます。

 

そして「日本単一民族論」

提唱されていく形となります。

 

しかし、この中には

19世紀に入るまで

「日本」では無かった

沖縄の人も北海道のアイヌの人たちも

当然含まれます。

 

それぞれの藩が領民を抱え、

領民としても新しく出来た概念

「日本」なんて所に属している

「日本人」の意識は低く、

基本的には「〇〇藩の民」としての

アイデンティティしか

持ち合わせていませんので、

「日本民族」という幻想を広めることは、

明治日本にとっては

急務であり有益だったのですが、

ではどこまでが??

となると実は難しい問題でした。

 

 

これを現在の民族紛争に

置き換えていきます。

 

オリンピックには

様々な国が出場しましたが、

「エチオピア」から

1993年に独立した「エリトリア」、

バルセロナ五輪までは

「エチオピア人」でした。

 

「スーダン」から

2011年に独立した「南スーダン」、

北京五輪までは

「スーダン人」でした。

 

人にもよりますが、

エチオピア人であること、

スーダン人であることに

誇りを感じていた人もいるでしょう。

 

しかし、

独立運動が起き、

民族紛争に発展し、

独立することで、

「エリトリア人」

「南スーダン人」となります。

 

つまり「〇〇人」とは

普遍の存在ではありません。

 

では、エリトリアの分離独立で

エチオピアは一つに

まとまったのかと言えば、

現在でも他の民族紛争は起こっていて、

実際に今年も戦闘は起こり、

難民も大量に出ています。

 

 

大きな国を作るとき、

「〇〇人」「〇〇民族」という

キーワードが必要となり、

それは基本的に幻想に基づきます。

 

しかし、今度はそれを細分化して

民族自決、民族独立の流れに移った時、

どこまでが「〇〇民族」として

独立した存在なのか、

これもまた難しい問題であり

幻想となります。

 

 

「日本民族」ではない、

そもそも江戸幕府にも属してない、

と沖縄、北海道で

民族自決の動きが起こった場合、

現在の世界の潮流としては、

世界はそちらを支持する

可能性もあります。

 

では

「大和朝廷」に抵抗してきたのだ、と

薩摩隼人や蝦夷と呼ばれた東北人の

独立運動が起きた時はどうか。

 

さらに、

大和朝廷の勢力圏の外、

愛発・不破・鈴鹿の関の東側、

つまり「関東」と呼ばれた

福井・岐阜・愛知以東の地域が

独立するとなった場合はどうか。

 

そもそも

大和朝廷が支配を確立していた

奈良盆地以外の地域が

独立すると主張したらどうか。

 

つまり、

「単一民族論」における

「民族」も幻想ですが、

「民族自決」における

「民族」もまた

多くの場合幻想となります。

 

 

冒頭の黒人、白人、日本人の差、

これは「人種」の特徴的な差です。

 

「民族」とは

同一文化による集団とされますので、

同じと主張すれば同じ、

違うと主張すれば違うことになります。

 

アメリカに

白人の「アメリカ人」なんてものは

本来存在し得ませんが、

ネイティブアメリカンの人たちが

民族闘争を起こして

アメリカから独立したとしても、

白人が来る前には

それぞれの言語も風習も異なる

部族が対立していたように、

やはりそこから

民族紛争、独立闘争は起き、

アメリカは100を超えるような国に

分裂していくかもしれません。

 

それは世界中全ての地域が同じです。

 

 

例えば広大なロシアで、

東の果ての東シベリア地域の住民と、

モスクワの人たち、

そのモスクワから

シベリアよりも遥かに近い東欧の住民、

どちらが「人種」としても「民族」としても

近いのかは明らかです。

 

しかし、

ウクライナ人とロシア人は

今現在も戦闘を繰り返し、

シベリアの黄色黒髪の住民は

「ロシア人」として暮らしています。

 

 

「〇〇人」も「〇〇民族」も

全ては幻想の中にあります。

 

「〇〇民族」としての正当性を

領域全てに対して持った国なんて、

ほぼ存在しません。

 

それが存在しない中で、

「〇〇民族の自主独立」を掲げた紛争が

正当化されるんですから、

世界から紛争が消えるわけがありません。

 

 

世界から戦争が消えない理由の一つ、

民族の複雑な話でした。

 

 

 

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