『西部前線異状なし』は

第一次世界大戦の

ドイツ・フランス戦線を描いた名作ですが、

「異状なし」というタイトルとは裏腹に、

主役を含めた主要登場人物が

命を落とす異状ある戦場を

ドイツ側から描いた作品です。

 

そう、戦争ですから

異状が無い訳がありません。

 

 

さて、

今日の記事のタイトルの西部前線は、

ウクライナ・ロシアの

国境地帯を指します。

 

ロシアにとっての西部前線です。

 

 

先日の記事で、

ロシアとトルコの緊張関係が

高まっていると記しましたが、

その緊張が

リビアやシリアの

双方が介入する

ロシアから遠く離れた場所でも、

アルメニア・アゼルバイジャンの

代理戦争の場所でもなく、

ロシア国境にまで

現在は迫りつつあります。

 

 

2014年、

ウクライナで政変が起き、

ロシアはロシア系住民を扇動することで

ウクライナ南部の黒海に突き出た

クリミア半島を併合します。

 

国際社会は反発し

経済制裁を科しましたが、

ロシアからクリミア半島への

海峡大橋も完成し、

ロシアのクリミア統治は

年々強固な状況となっています。

 

また、ウクライナ東部、

ロシアとの国境近くの

ドネツク、ルガンスク両地域も

ロシアの後ろ盾を得て独立を宣言し、

実効支配を確立しつつ、

現在も奪還を目指すウクライナ軍との

戦闘を続けています。

 

 

同時期、アメリカとの関係を

悪化させていたトルコは、

ヨーロッパとの関係も悪化させ、

ロシアに近付きます。

 

ロシア軍機撃墜事件を起こし

一時期反目しますが、

ロシアからの徹底的な経済制裁により

大統領自らが

公式に謝罪するまでに追い込まれ、

トルコはロシアの影響圏に

入ったと思われました。

 

しかし、

再びアメリカとの関係を再構築し、

双方から良いディールを引き出す

外交シーソーゲームを繰り広げ、

国力を蓄えてきました。

 

そして起こった2020年の

ナゴルノ・カラバフ紛争。

 

トルコが支援する

アゼルバイジャン軍が圧勝し、

ロシアを後ろ盾とする

アルメニアは多くの領土を失いましたが、

その要因となったのは

トルコ製の

無人攻撃機と言われています。

 

トルコは同分野に

非常に積極的に投資をし、

強力な無人偵察・攻撃機を開発、

各国への輸出を始め、

アゼルバイジャン軍にも提供しました。

 

だからこそ、

ナゴルノ・カラバフ紛争においては、

無人機からの映像が数多く提供され、

戦場のリアルが

日々映し出されていました。

 

 

これで自信を付けたトルコは、

ウクライナに接近します。

 

そしてウクライナ軍への

無人機の提供を発表。

 

ロシアとしては、この無人機に

支援するアルメニア軍が苦しめられた為、

警戒感を強めています。

 

また、

アメリカの軍艦が今週

黒海に現れましたが、

その為には地中海と黒海を結ぶ

トルコのボスポラス海峡を

通過する必要があり、

トルコがアメリカの軍艦を

黒海に招き入れた事になります。

 

さらに、トルコも加盟するNATOが

ウクライナへの支援を強めており、

2010年代後半は

ロシアが圧倒的優位だった

ウクライナ・ロシア国境地域の

パワーバランスに変化が生じそうです。

 

ロシアは8万人とも言われる兵力を

同地域に展開させ、

ラブロフ外相も記者会見で

ウクライナ支援をしないよう

国際社会に呼びかけ、

「それにはトルコも含まれる」と

敢えて国名を挙げ言及しています。

 

外相がわざわざ言及するとなると、

ロシア側の焦りの表れでもあるでしょう。

 

 

さらに、シリアでは

ロシアが支援するアサド政権が

全国土の回復を目指していますが、

トルコはトルコ・シリア国境から

30キロ以上シリア側に入った

侵攻して奪取した占領地域に

高い壁の建設を始め、

占領地の

完全なる支配権の確立を目指し、

ロシアの面目を

敢えて潰しにかかっています。

 

 

ロシア西部前線、

大いに異状が出てきました。

 

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