ロシアのニュースを観ていると、

当然ながらロシア製ワクチンへの

絶対的な信頼があり、

新型コロナを

秋までには抑え込めるだろうと

自信を持っています。

 

その予定に対する

波乱要素があるとすれば、

それは変異種であり、

ニュースの中では

 

「変異種は主に

トルコから持ち込まれています」

 

と報じています。

 

事実かもしれませんが、

敢えて1ヶ国だけ固有名詞を出しています。

 

 

また別のニュースでは、

ロシアは2014年の

当時ウクライナ領だった

クリミア半島併合後の

欧米による経済制裁を受けて、

様々な分野の国産化に力を入れました。

 

農業もその分野の1つで、

その農業分野において、

ソ連時代も含めて

初めて輸出が輸入を上回ったようで、

喜ばしいニュースとして

プーチン大統領の執務室での

農業相との会合の様子と共に

報じています。

 

しかし、課題はあり、

それは小麦は国内需要の国産化に

成功したものの、

製粉作業は外国に頼り、

それを輸入しているのだとか。

 

そしてプーチン大統領が

「その製粉作業は

どこでやっているのですか??」

 

と農業相に聞き、

農業相

トルコです」

 

プーチン大統領

「それを改善しなければいけません」

 

と執務室でやっている映像が流れます。

 

 

さて、この2つのニュース、

ともにロシアのニュースで

トルコの名前が出てきたものです。

 

特に後半の小麦のニュースに至っては、

このプーチン大統領と

農業相のやり取りは

「台本通り」の演出でしょう。

 

このニュースを、

単にニュースとして観ると、

「へぇ~そうなんだ~」

で終わりますが、

国際情勢を知った上で観ると、

非常に深い戦略が

そこにあることが分かります。

 

 

トルコは先日、

EU大統領と

欧州議会の

元ドイツ国防相から転身した

女性委員長を迎えました。

 

この席において、

トルコ側が用意した席は

エルドアン大統領と、

EUのミシェル大統領の2つの席のみ。

 

格としては同格の

EU委員長には席が無く、

そして用意することもなく、

近くのソファーに適当に座らせました。

 

当然ながらEU委員長は立腹し、

トルコの女性蔑視が表れてる!!

と語気を荒げます。

 

報道上、

これはうっかりミスとなりますが、

当然ながらうっかりミスなどではなく、

最初から仕組まれた塩対応で、

EU委員長に各国メディアが入る場で

恥をかかせる予定だったのでしょう。

 

ここら辺も、

国際情勢を知った上で観ると、

非常に深い意味が見て取れます。

 

 

アメリカ・EU・トルコ・ロシア

 

 

この4つの勢力の関係性は

非常に複雑です。

 

トルコは、

かつてのオスマン帝国復活を目指し、

今ではそれを隠すことも

無くなってきましたが、

当然ながらその過程において

アメリカとの関係は冷え込みました。

 

しかも、

NATOには加盟しているものの、

長年加盟を望んでいる

EUには入れてもらえず、

ずっと加盟をちらつかされながら

トルコは我慢を強いられてきました。

 

こうなると、

トルコが頼れる先はロシアとなり、

トルコとロシアは

2010年代急速に接近します。

 

敵の敵は味方、

という国際関係における

オセロの法則です。

 

 

しかし、トルコとロシアも簡単な

関係ではありません。

 

かつてオスマン帝国の

領土を奪ったのはロシアでもあり、

シリア内戦、リビア内戦では

支援する勢力が異なります。

 

その結果、シリア内戦時に

トルコ軍機がロシア軍機を

撃墜させたことがあります。

 

当初は強硬姿勢だった

エルドアン大統領ですが、

プーチン大統領による

トルコへの経済封鎖を受けて、

一転して公式に謝罪をし、

ロシアの軍門に下ります。

 

全方位を敵にできるほど

トルコは強国では無いですからね。

 

こうしてトルコがロシアに下った時期、

シリア内戦は一気にロシアが支援する

アサド大統領側の有利となり、

国内のほぼすべての地域を掌握します。

 

 

しかし!!

これで終わらないのがトルコ。

 

急にアメリカに再接近し、

アメリカ・ロシアの両方に良い顔をする

シーソー外交を展開します。

 

これ、インドもやっていますが、

地政学的に双方が必要とする

重要地域であるからこそ成功します。

 

その結果、

シリア内戦に再介入し、

シリア北部地域を占領、

リビア内戦においても

ロシアが支援する勢力が有利でしたが、

トルコは反対勢力側に

地上軍を派遣して支援、

あからさまにロシアに対立していきます。

 

 

そして、

その極めつけが、

昨年のナゴルノ・カラバフ紛争です。

 

ロシアが支援するアルメニアに対して、

トルコが支援する

アゼルバイジャン軍が圧勝し、

地方紛争の代理戦争ではありますが、

トルコ側の力を

見せつける形となりました。

 

 

この流れを受けての

 

「ウィルスはトルコから」

 

「トルコからの輸入をやめねば」

 

の報道に繋がり、

反トルコ感情の醸成を目指しますし、

自信を付けたトルコは、

長年塩対応を続けるEUに対して、

わざと「うっかり」をすることになります。

 

 

裏を読み解かないと、

報道の意味って

掴み切れないんですよね。

 

 

 

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