海軍艦艇の名前には統一性と、
そこから見える意図があります。
旧日本海軍では、
主力となる
戦艦:旧国名(大和・武蔵等)
空母:飛翔名(瑞鶴・大鳳等)
重巡洋艦:山岳名(愛宕・妙高等)
軽巡洋艦:河川名(阿武隈・利根等)
そして補助艦艇である
駆逐艦:気象名(秋月・村雨等)
潜水艦:数字(伊58・呂60等)
これを踏まえた上で、
現在の海上自衛隊の艦艇を見ると、
ヘリコプター搭載護衛艦:
旧国名(いずも・かが等)
イージス艦:山岳名(あたご・みょうこう等)
汎用護衛艦:気象名(あきづき・あさひ等)
小型護衛艦:河川名(あぶくま・とね等)
どのような艦艇に
どのような役割が期待されているのか、
艦名からも見て取れます。
つまり、
旧国名:戦艦⇒ヘリコプター搭載護衛艦
山岳名:重巡洋艦⇒イージス艦
河川名:軽巡洋艦⇒小型護衛艦
気象名:駆逐艦⇒汎用護衛艦
となります。
なお、旧海軍の駆逐艦「秋月」型は
防空駆逐艦として
対空戦闘で活躍しましたが、
海上自衛隊の「あきづき」型も、
イージス艦の補助戦力として
艦隊の防空任務を担っており、
艦名には意図が隠れています。
さて、
海上自衛隊の潜水艦ですが、
長らく「〇〇しお」という名称が
使われてきました。
くろしお・おやしお等です。
しかし、2007年以降は飛翔名となり、
「そうりゅう」「うんりゅう」等
そうりゅう型潜水艦12隻が建造され、
新鋭の潜水艦として
第一線で活躍しています。
飛翔名は旧海軍では
主力である空母の艦名であり、
「蒼龍」「雲龍」は
実際に旧海軍の空母でもありました。
ここから、
軽空母に改造される
ヘリコプター搭載護衛艦、
イージス艦と並んで
潜水艦が
主力と位置付けられていく事が
見て取れます。
そんな中、
最新の新型潜水艦が
10月14日に進水式を迎えました。
そして命名された艦名が
「たいげい」です。
ん??飛翔名は??
となりますよね。
「大鯨」は
旧海軍の艦艇にも存在しました。
潜水艦への補給などを行う
潜水母艦「大鯨」です。
大鯨は真珠湾攻撃にも
潜水艦部隊と共に前線に進出し、
潜水艦を支援しています。
時に「鯨」と呼ばれる潜水艦に、
元潜水母艦の鯨の艦名、
おかしくは無いのですが、
ここから先、
実はマニアなネタがあります。
それは、
「大鯨」は真珠湾攻撃直後から
航空母艦への改装に入り、
1942年には空母「龍鳳」に
生まれ変わります。
つまり、潜水母艦「大鯨」は
空母「龍鳳」でもあるんです。
小型空母である為、
多くの時間を輸送船として過ごしますが、
マリアナ沖海戦に参戦、
戦力を失っていく海軍の中、
空母雲龍沈没後には
真珠湾攻撃から続く栄光の
「海軍機動部隊」の旗艦となります。
1週間程で
乗せる航空機も無いので
機動部隊は解散されますが、
帝国海軍機動部隊
最後の旗艦でもあります。
その後太平洋戦争を生き延び
1946年に解体される
歴戦の空母の名前が「大鯨」となります。
「鯨」の名を持つ旧海軍の潜水母艦は
大鯨の他に迅鯨、長鯨とあります。
しかし、空母に改装されたのは
大鯨⇒龍鳳のみです。
そして、同じ潜水母艦ですが、
剣埼、高崎は
それぞれ空母祥鳳、瑞鳳に
改装されています。
さて、10月14日に進水した
新鋭の潜水艦「たいげい」型、
2番艦以降の艦名は「〇〇げい」と
「鯨」を継ぐのか、
改装空母となった
潜水母艦の系譜を継ぐのか、
楽しみです。
「偏差値30の東大生」