以前名画『カサブランカ』に関する

記事を書きましたが、

『カサブランカ』と言えば

ハンフリー・ボガートの

 

「君の瞳に乾杯」

 

の台詞が有名です。

 

元の台詞は

 

「Here’s looking at you, kid」

 

ですので、

君の瞳には全然乾杯していません。

 

しかし、直訳すれば

「君を見ながら乾杯」な所を

翻訳家高瀬鎮夫氏が

「君の瞳に乾杯」とすることで、

映画史に燦然と輝く名意訳となりました。

 

英語の原文も

20世紀映画の名台詞トップ10

常連の台詞ですが、

これは翻訳が原文を超えたと言えますね。

 

 

そんな映画の名台詞1位は常に

『風と共に去りぬ』の

クラーク・ゲーブルの台詞なのですが、

日本では主人公演じる

スカーレット・オハラの

 

「明日は明日の風が吹く」

 

こそが代表的な台詞となります。

 

これは

 

「Tomorrow is another day」

 

への訳ですが、

風はどこにも吹きません(笑)

 

しかし、タイトル

『風と共に去りぬ』にもかけた、

明日に風を吹かせる訳を付ける事で、

原文を超えた名台詞となりました。

 

 

名作『ローマの休日』に至っては

タイトルが誤訳です。

 

原文は『Roman Holiday』、

少なくとも

「ローマでの休日」の事では無く、

「ローマ人の休日」です。

 

そしてこの言葉は慣用句で、

ローマ帝国時代の休日には

剣闘士たちの命を懸けた戦いがあり、

それがローマの娯楽でしたので、

そこから

「人の迷惑を楽しむ」

という意味となります。

 

王女の人騒がせな休日、

と言った所なのですが、

これも『ローマの休日』とされた事で、

原文を超えた価値を生み出した

名タイトルです。

 

 

ジャズの名曲に

「煙が目にしみる」

があります。

 

「Smoke gets in your eyes」

という原文タイトルですが、

この曲の歌詞が奥深いのは、

この一文を

二重の意味で使っている所です。

 

曲の前半では

恋に盲目な歌い手に、周囲が

 

「恋の炎が燃え上がっている時は

煙で周りが見えなくなるよ」

 

と忠告し、

曲の最後では

恋に破れ涙する歌い手が、

それ見た事かと笑う周囲に

 

「恋の炎が消える時、

煙が目に入るの」

 

と同じフレーズに

違う価値を持たせています。

 

そう、直訳すれば

「煙が目に入る」

だけなのですが、

 

「煙が目にしみる」

 

にする事で

原文を超えた訳詞となりました。

 

 

昔の翻訳、

上手い意訳が多かったなぁ~。

 

それに引き換え・・・

 

例えば2015年の映画『マネーショート』

 

クリスチャン・ベールや

ブラッド・ピット出演の

サブプライムローン危機の中で

勝利を手にした男達の物語です。

 

私も実際リーマンショックは

勝ち抜けましたが、投資をしますので

公開と共に観ましたが、

問題はタイトル。

 

原文は『The Big Short』。

 

「ショート」とは

投資の世界で「空売り」を指し、

上がり続ける局面で、

値下がりすると賭けた

男達の物語なのですが、

「Short」には足りないの意味もあり、

『マネーショート』と

原文とは違うタイトルを付け、

しかもそれをマネーと重ねたら、

もう『お金が無い!!』になります(苦笑)

 

センスの欠片も見当たらない邦訳です。

 

 

世界が感覚として小さくなり、

英会話スクールが隆盛で、

TOEICを入試や入社試験に

使うの使わないのと

言っている時代の方が

英語が下手って、どういうこと(苦笑)??

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