中国を指して

「支那」と書いたりすると

差別用語だと騒がれたりします。

 

その是非は置いておいて、

 

「中国」「支那」

 

の2つの呼び名があるという認識が

この時点では重要です。

 

 

差別用語と言われる「支那」ですが、

これは「シナ」であり、

「China」ですので、

中国自身が

自国の英語表記に用いている言葉が、

何故か差別用語とされています。

 

欧米人が

「China」と書いて差別にならないのに、

日本人が

「支那」と書くとお叱りを受けます。

 

しかし、

「チャイナドレス」

「チャイニーズレストラン」などは

日常的に使っていますし、

「シナ」に関しても、

「支那そば」

「シナチク=メンマ」

「東シナ海」など

日常的に呼称しているのですが・・・

 

こうなると、「支那」という単語に

どんな不都合があるのかという

疑問が湧きます。

 

 

さて、

問題の「シナ=China」ですが、

語源は

秦の始皇帝の「秦(しん)」です。

 

日本では「しん」ですが、

周辺国において、

「チン」「チーン」「シーン」

などと呼ばれ、

それが「シナ」や「China」と

なっていきますので、

単語そのものに問題はありません。

 

なお、

香港の航空会社でお馴染みの

「キャセイパシフィック航空」の

「キャセイ」ですが、

英語表記では「Cathay」となります。

 

人名のCathy=キャシーでは無く、

間違っても

「キャシーさんの太平洋航空」

では無いですよ(笑)

 

その「Cathay」もまた

中国を表す単語です。

 

マルコ・ポーロの

東方見聞録にも登場する単語で、

 

ジパングは「カタイ」の東の海上・・・

 

と日本の事が記されていますが、

長くヨーロッパでは

中国北部を「キタイ・カタイ」

南部を「マンジ」

と認識されていました。

 

語源は

モンゴルから満州にかけて

10世紀に建国された「遼」の国の

「契丹」です。

 

「契丹」とは

半農半牧のモンゴル系の

民の事を指します。

 

現在でも、

ロシアや中央アジア地域などを中心に、

中国は「Cathay」を語源とする

言葉で表記されます。

 

中国南部、香港の航空会社ですが、

北方民族を語源とする

単語なんですよね。

 

 

さて、

これで「中国」を指す言葉に、

 

「中国」「支那」「キャセイ」

 

の3種が登場しました。

 

 

この中で、

「支那」は

「China」であるにも関わらず、

差別用語とされ、

「キャセイ」も

中国では公式には使われません。

 

この謎を解くカギは、

「中国」と「China」「Cathay」の

領域の違いとなります。

 

 

まず、「キャセイ」は、

あくまでもモンゴルから満州を

10世紀に支配した

「遼」を指す言葉です。

 

現在の中国全体に対して、

非常に限られた地域を指します。

 

 

では中国政府自らも

英語で呼称している

「China」はどうでしょう。

 

その答えは古地図にあります。

 

著作権もあり載せられませんが、

20世紀初頭のアメリカで発行された

清の地図があります。

 

現在の中国ならびにモンゴル、

現在ロシアの

トゥヴァ共和国、アルタイ共和国

あたりまでを領域に持つ

「Chinese Empire」の地図です。

 

しかし、詳しく見ていくと、

「Mongoria=モンゴル」

「Jungaria=北疆」

「East Turkestan=東トルキスタン」

「Tibet=チベット」

「Manchuria=満州」

そして、

「China」

と地域名が記されています。

 

つまり、

「Chinese Empire」と

「China」は

異なる存在であり、

領域も異なるのです。

 

日本の戦国時代に存在した

「明」から受け継いだ漢民族地域が

直隷領「China」であり、

その周辺の

モンゴル、東トルキスタン、チベット

などとは同君連合を形成し

「清」となります。

 

現在の

「イングランド」「スコットランド」

「ウェールズ」「北アイルランド」の

同君連合で「イギリス」なのと

似ていますかね。

 

私は修士論文において、

満州事変時の

米国の報道を調べましたが、

1931年当時の

アメリカの新聞に掲載された

北東アジアの地図を見ても、

満州国建国以前でも

「China」と「Manchuria」の間には

国境線があり、

一体視していなかったことが

分かりました。

 

辛亥革命で清が倒れ、

中華民国が成立した折、

漢民族支配地域のみの

政権交代では無く、

その周辺地域も含めて

「China」とは異なる

「Chinese Empire」の

領域を引き継ぐべく、

中華思想の

「中華」を国名に使います。

 

つまり、

「中国」とは

清から受け継いだ

周辺諸民族地域も含む領域。

 

「支那=China」

漢民族支配地域。

 

「キャセイ」

モンゴル・満州地域。

 

と領域の異なる言葉となります。

 

 

ただ、現実的には、

語源は地域名ながら、

中国全体を指す言葉として、

中央アジアやロシア語では

キャセイをベースにした言葉、

ヨーロッパ語族を中心として

秦を語源とするChinaに類する

言葉が使われています。

 

これらは許容される一方で、

日本で同じ語源の

支那が禁じられるのは、

漢字文化であることが

関係していると思われます。

 

遠く欧米や中東の

異なる文字文化の中で、

漠然とした地域名としての

チャイナやキャセイで表記されても

重要度は低いものの、

自分たちが「中国」と呼称する中で、

同じ漢字文化圏の

日本が「支那」と書くと、

明確に領域の異なる単語となる為に

反発するのでしょう。

 

さらに言えば、

チベットや新疆ウイグル自治区など、

本来は「China」では無い地域の

支配の正当性を、

「支那」では表せなくなることへの

反発があるのだと思います。

 

それを中国以上に、

一部日本人が

言葉狩りのように反発するのは、

中国への忖度なのでしょうね。

 

 

 

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