21世紀の安全保障、

国際政治を論じる上で、

非常に重要なキーワードが

テロ」となります。

 

21世紀の幕開けが、

2001年の

911米国同時多発テロから始まり、

その後対テロ戦争の時代、

その対テロ戦争が

より強大なテロ組織を産み、

それに対する

対テロ戦争が起こるという、

無限ループの

悪循環のような状況となっています。

 

その為、

様々な安全保障上のキーワードが

「テロ」を抜きには

論じられないような

状況となっています。

 

 

さて、

「テロ」とは一体何であるのか。

 

実はあまり明確な定義は存在しません。

 

「テロ組織」「ゲリラ部隊」

「民兵」「武装勢力」「反政府勢力」

 

したり顔で

定義を述べる人を見掛けたら、

疑ってかかった方が良いくらい、

境界線が曖昧な言葉たちです。

 

21世紀の今日、

『ゲリラ戦争』を著した

チェ・ゲバラが生きていれば、

「テロリスト」と呼ばれていたでしょう。

 

近年では「テロ」という単語が、

政治的に便利な言葉として

安売りされている感が

無くもありません。

 

ただ、これらの言葉の

共通項を上げるとすれば、

国家に属する正規兵ではない

と言う事になると思います。

 

その上で、

自分たちにとって都合の悪い勢力を、

21世紀最も嫌われる言葉

「テロ組織」に指定する事で、

生与奪権を権力者が握る、

その為の道具となる

単語と化しています。

 

分かりやすい例として

シリア内戦が挙げられると思います。

 

シリア内戦では、

シリア軍、

イランの支援を受ける民兵組織、

ロシア軍、

トルコ軍、

欧米やトルコの支援を受ける反政府勢力、

アルカイダ系組織、

IS、

クルド人勢力などが

入り乱れて戦っていました。

 

この中で、正規軍を指して

「テロ組織」とは

双方ともに主張はしませんでしたが、

シリア・ロシア側は

欧米やトルコの支援を受ける反政府勢力、

IS、アルカイダ系組織などを

「テロ組織」と呼び、

掃討戦への正当性を高めました。

 

一方で欧米は

イラン系民兵組織を「テロ組織」、

トルコは民兵組織やクルド人勢力を

「テロ組織」と名指しして、

攻撃への正当性を主張しました。

 

勿論、全ての勢力から

ISは「テロ組織」認定を受けています。

 

このように、立場が変われば、

「テロ組織」の認定も変わります。

 

つまり、

「敵」を示すための

便利な道具となっています。

 

 

そんな「テロ」を巡る

言葉の定義において、

重要な局面を現在迎えています。

 

イランの国会が

アメリカ正規軍、国防総省を

「テロ組織」とする法案を可決します。

 

これまでも、

倒すべき「敵」に対して

便利に使ってきた

「テロ組織」の言葉ですが、

それでも

国連加盟国やその正規軍に対しては

使われてきませんでした。

 

しかし、

今回米国を「テロ支援国」では無く、

国連安保理常任理事国の正規軍を

直接「テロ組織」として

法案レベルで認定した事は、

この言葉の価値を一段安いものとし、

自分たちにとって都合の悪い勢力は

全て「テロ組織」に認定し、

無条件で攻撃を加えられるように

なってしまいました。

 

イラン革命防衛隊による、

報復ミサイル攻撃もありましたが、

そちらは筋書きのあるドラマで

互いの面子を立てて終わりました。

 

しかし、「テロ組織」認定の方は

売り言葉に買い言葉なのでしょうけど、

「テロ」の単語を安くしたツケを、

世界が払う事に

ならなければ良いのですが。

 

 

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