トルコが

シリア領クルド人勢力支配地域に

軍事侵攻を開始しました。

 

この辺りの勢力分布は複雑で、

トルコは

シリア、イラク、イラン、アルメニアと

国境を接していますが、

それぞれの国に跨る形で

クルド人が居住しています。

 

第一次世界大戦直後から

何度か国家樹立を目指しますが、

長期政権樹立に成功したことは無く、

国家を持たない民として

各国で少数民族となっています。

 

 

トルコ政府は

国内のクルド人武装勢力を

反政府テロ組織と認定しています。

 

そして恐れているのは

ISとの戦いの結果、

ユーフラテス川西岸という

シリアの4分の1程の地域を

支配するに至った

シリアのクルド人勢力と

トルコの勢力が合流することでした。

 

 

シリア情勢を整理すると、

 

アサド政権をロシア、イランが支援。

 

シリア人反政府勢力を

欧米、トルコが支援。

 

クルド人勢力を欧米が支援。

 

という形となります。

 

この内、

シリア人反政府勢力は

ロシアの軍事支援を受けた

アサド政権側が攻勢を強め、

勢力はほぼ失われました。

 

中東の大半を支配した

オスマントルコ復活を目指している

とも言われる現トルコ政権ですが、

ロシアとの関係もあり

勢力が削られるのを

黙認する状況でした。

 

 

次にトルコの状況ですが、

トルコはNATO加盟国であり、

EU加盟も目指す

ヨーロッパの側面を持ち、

イラク戦争などでは

アメリカ軍の出撃拠点となった

アメリカのパートナー国であり、

現在はロシアとの関係が

非常に強固でもあります。

 

シリアのクルド人勢力を支援する欧米も、

トルコ国内のクルド人勢力を

表向き支援することは無く、

彼らをテロ組織認定するトルコを

非難する事はありません。

 

現トルコ政権は、

一気に舵をロシア寄りに切り、

欧米が強く反発した

ロシアの最新鋭対空ミサイルシステム

S400の導入を決め、配備をしました。

 

また、ロシアの天然ガスパイプラインを

国内経由でヨーロッパに引き、

ロシアのヨーロッパへの

天然資源経済進出の

先兵となっています。

 

シリア内戦初期は、

アサド政権を支援する

ロシアの戦闘機を撃墜させ、

決定的な対立をしたトルコですが、

プーチン大統領に

徹底的な経済制裁を受け謝罪、

以降は親ロシア路線で

友好関係を強化します。

 

 

S400対空ミサイルを

トルコは今年7月に購入、

それにより欧米との関係は悪化します。

 

そして10月、

欧米が支援する

シリアのクルド人勢力圏への

軍事侵攻開始。

 

仮に欧米がトルコへの

軍事的制裁を課そうとも、

最新鋭のS400を持つ以上、

欧米側に被害が出るリスクは高く、

恐らくその選択肢は

排除されるでしょう。

 

 

中東からの撤退を目指すアメリカ、

 

欧米と対立してでもS400を導入し

防空システムを強化したトルコ、

 

シリア人反政府勢力支配地域に

侵攻したトルコと黙認した世界、

 

アメリカの

クルド人勢力圏からの撤退表明、

 

今回のクルド人勢力圏への

トルコの軍事侵攻。

 

詰将棋の様に全てが繋がります。

 

なお、このS400は

中国にも輸出されています。

 

 

トルコとしては後ろ盾でもあると同時に

シリア情勢で微妙に立ち位置の違う

ロシアの機嫌を

本格的に損ねない事が

重要でしょうから、

キーパーソンは

プーチン大統領かもしれません。

 

 

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