ニュースを巡る言説を読み解くと、

 

「政権寄りの忖度報道ばかりだ!!」

 

つまり、右寄りの報道が多い、

というものと、

 

「反日偏向報道ばかりだ!!」

 

つまり、左寄りの報道が多い、

というものが混在しています。

 

 

右派、左派ともに

報道・ニュースを信じていないという意味では

意見の一致を見ますが、

何故「右寄り報道」と「左寄り報道」が

混在するのでしょうか。

 

それはニュースの本質と

人間の性質に由来します。

 

 

分かりやすく

巨人―広島戦のニュースで例えます。

 

広島の大瀬良投手の

好投に阻まれていた巨人は7回、

坂本選手が

ランナーを1人置いてホームラン、

これで3対2にしますが、

反撃もここまで巨人は悔しい敗戦です。

 

このニュースに対して、

広島ファンは広島の3得点の場面は無く、

巨人の敗戦が悔しいと報じられ

「随分巨人寄りの報道だ!!」

と思うかもしれませんし、

巨人ファンは

先発の菅野投手の好投に触れないで

大瀬良投手の好投とは

「随分広島寄りの報道だ!!」

と思うかもしれません。

 

 

何故このような事になるかと言えば、

ニュースとは現場の事実の中から、

記者の視点から

重要なポイントが抽出され、

それを受け手がさらに解釈する、

という3つの階層からなります。

 

このことは、W・リップマンが

名著『世論』の中で指摘し、

歴史学の巨人E・H・カーは

『歴史とは何か』の中で、

歴史とは誰かが重要だと思った事柄、

と同じような指摘をします。

 

ようは歴史もニュースも

誰かの視点で

作為的に作られたものという事です。

 

その上で、人間は

「見たいもの/聞きたい事しか

見ない/聞かない」

という性質があります。

 

自分が心地良いニュースを

見聞きするために、

特定の媒体に接しますが、

そこでの言説が

世の真実として固定化され、

その上でそれ以外の論を見聞きする事で

「右寄りが過ぎる!!」

「左寄りばかりだ!!」と

拒否感を持つようになります。

 

特にSNS時代となる中で、

事実を非常に矮小化した

特定の言説だけを抽出する

扇動型の情報も溢れるようになり、

その中に居る限り、

自分にとって心地の良い情報にしか

接さなくて済みます。

 

 

そこで

それとは異なる事実が付き付けられると、

捏造だ、忖度だ、偏向だと

反発する事になります。

 

その好例の1つが、

左派系と言われる

複数のニュース番組の視聴率の低下です。

 

番組のリニューアルに伴い、

かつてのような

激しい政権批判を控えた所、

左派系の視聴者からの

反発と離反を招いたと言われています。

 

「聞きたかった情報」と、

「聞こえる情報」との乖離が、

存在価値の低下に繋がるという事実は、

裏を返せば

「聞きたい情報」を「伝える」ことで

再生回数を増やせるSNS時代の

情報発信の危うさでもあります。

 

 

現在でも、

ロシアニュースでは

原子力ミサイルの爆発は伝えられず、

中国のニュースでは

香港のデモは伝えても

群衆の映像は少なく

「一部の暴徒」との

印象操作を行っています。

 

 

「右寄り」と思おうとも

「左寄り」と感じても、

ニュースとは誰かが意図的に

取捨選択した事実の一部分である、

という前提を忘れて信じてしまっては、

扇動された愚民となってしまいます。

 

 

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